111 / 435
ガルド城の秘密
第83話-開いた扉の先に-
しおりを挟む
厚い扉の開いた先には大人が屈めば入れそうな穴があった。その先は暗くて見づらいけど階段が続いている。
「本当にあったなんて」
「あぁ、びっくりだな」
ユリも驚きを隠せないらしい。冷静なユリが驚いているのには新鮮さがあった。
「とりあえず入ってみない?」
未知への好奇心に抗えずに驚いている2人を尻目に私は穴に手をかけていた。
「中暗いけど大丈夫か? 危なそうなら俺が先に行くが」
「大丈夫。外の光で少し先なら見えそう。火でもあれば安心だけど」
後ろの2人は首を振った。
「ないならないで進みましょう」
私はそのまま屈んで穴の中に足を踏み入れた。
中は冷たい空気で満ちている。入り口から入り込む風と下から吹き上がる風がせめぎ合っている。
かろうじて見える足元を慎重に一歩ずつ進んでいく。
少し階段を降りると目の前は行き止まりになっている。
左手に続いていた。ここからはほとんど光が差し込んでいない。
左手に進んだところで何かが足に当たった。
音は金属音だ。思わず手を壁につくとそこには何かが紐のようなもので繋がれていた。
手触りで繋がれているものを推測するにおそらく電球のような物のような気がする。
そこから下にある今足にぶつけたもの。それは恐らく電源だ。
「もしかしたら今から明かりがつくかもしれません」
足元の金属の塊に手を這わす。
四角い箱の上部に取っ手がある。それを握って動く方へと動かすと暗闇の一面が晴れた。
人工の光が謎の空間を明るく照らし出した。
さっき壁にあったのはやっぱり電球だった。紐のように見えたのは導線だ。
「おぉ。こりゃすげぇな」
バレルさんの言う通りこの空間は恐ろしく広い場所だった。
電源がある所から見て左右に道が広がっている。右手にはさらに壁がある。左手には電球が設置されていないため詳しく見えないけどずっと城の方に続いていた。
「まさしく秘密の抜け道ですね。場所的に左手にお城でしょうか」
「だろうな。そしたらこの右手には何があるんだろうな」
「右手にだけ明かりがつくようになってますし。誰かがこの場所に来ていたと言うことになりますね」
2人が話している間に私は右手に進んでいく。目の前には壁ある。ただ行き止まりじゃない。先に続く大きめの通路があった。
その道を通るとまた広い空間に出た。
ここまで明かりは伸びている。ここも明るく照らされていた。
「すごい。こんな空間があるなんて」
「だな。けど今の通路はさっきと少し作りが違ったし後から追加した空間って感じだな」
「本当に詳しいんですねバレルさん」
「褒めても何も出ないぞ」
冗談を言い合うくらいには緊張がほぐれていた。明かりがついたからだろうか。それとも探し物に近づいて来ているからだろうか。
少なくとも私は高揚している。早くこの先に進んで行きたい。気持ちが抑えられない。
「ユリも早く行き……」
「フランソワ様! 岩陰に隠れてください!」
突然ユリの大きな声が響いた。私は反射的に壁に背をつけるようにして出っ張った岩の影に身を預けた。
「本当にあったなんて」
「あぁ、びっくりだな」
ユリも驚きを隠せないらしい。冷静なユリが驚いているのには新鮮さがあった。
「とりあえず入ってみない?」
未知への好奇心に抗えずに驚いている2人を尻目に私は穴に手をかけていた。
「中暗いけど大丈夫か? 危なそうなら俺が先に行くが」
「大丈夫。外の光で少し先なら見えそう。火でもあれば安心だけど」
後ろの2人は首を振った。
「ないならないで進みましょう」
私はそのまま屈んで穴の中に足を踏み入れた。
中は冷たい空気で満ちている。入り口から入り込む風と下から吹き上がる風がせめぎ合っている。
かろうじて見える足元を慎重に一歩ずつ進んでいく。
少し階段を降りると目の前は行き止まりになっている。
左手に続いていた。ここからはほとんど光が差し込んでいない。
左手に進んだところで何かが足に当たった。
音は金属音だ。思わず手を壁につくとそこには何かが紐のようなもので繋がれていた。
手触りで繋がれているものを推測するにおそらく電球のような物のような気がする。
そこから下にある今足にぶつけたもの。それは恐らく電源だ。
「もしかしたら今から明かりがつくかもしれません」
足元の金属の塊に手を這わす。
四角い箱の上部に取っ手がある。それを握って動く方へと動かすと暗闇の一面が晴れた。
人工の光が謎の空間を明るく照らし出した。
さっき壁にあったのはやっぱり電球だった。紐のように見えたのは導線だ。
「おぉ。こりゃすげぇな」
バレルさんの言う通りこの空間は恐ろしく広い場所だった。
電源がある所から見て左右に道が広がっている。右手にはさらに壁がある。左手には電球が設置されていないため詳しく見えないけどずっと城の方に続いていた。
「まさしく秘密の抜け道ですね。場所的に左手にお城でしょうか」
「だろうな。そしたらこの右手には何があるんだろうな」
「右手にだけ明かりがつくようになってますし。誰かがこの場所に来ていたと言うことになりますね」
2人が話している間に私は右手に進んでいく。目の前には壁ある。ただ行き止まりじゃない。先に続く大きめの通路があった。
その道を通るとまた広い空間に出た。
ここまで明かりは伸びている。ここも明るく照らされていた。
「すごい。こんな空間があるなんて」
「だな。けど今の通路はさっきと少し作りが違ったし後から追加した空間って感じだな」
「本当に詳しいんですねバレルさん」
「褒めても何も出ないぞ」
冗談を言い合うくらいには緊張がほぐれていた。明かりがついたからだろうか。それとも探し物に近づいて来ているからだろうか。
少なくとも私は高揚している。早くこの先に進んで行きたい。気持ちが抑えられない。
「ユリも早く行き……」
「フランソワ様! 岩陰に隠れてください!」
突然ユリの大きな声が響いた。私は反射的に壁に背をつけるようにして出っ張った岩の影に身を預けた。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)
水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――
乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】!
★★
乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ!
★★
この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる