悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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騎士と派閥と学園生活と

第134話-オーランの条件-

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「良かったわ。本当の貴方と話が出来て」
「俺としてはあんたが不気味だよ。なんでそんなに知ってるんだか」
「それは秘密よ」

 さっきまでのオーランとは変わって目つきが鋭く感じる。口調は本物になったけど警戒は解かれていないらしい。

「なんでわざわざ猫被ってたの?」
「知っての通りで口が悪いもんでな。それにいきなり来たやつなら警戒して素性隠すだろ普通」
「おっしゃる通りで」

 それが普通の反応よね。私は舞い上がってそこが認識できてなかった。ただ自分本位にガツガツと行ってただけだ。

「それで本題だが、俺のどこを買った?」
「そうね、強いて言えば貴方の得意な隠密行動能力とかね」
「なんだそりゃ。見たことでもあるのかよ」
「あるわよ。ちゃんとね」
「そうか。俺もまだまだだな。当然だけどな」

 何かしょぼくれたオーランの受け答えがどこか引っかかる。だけど、彼の活躍なんてまだまだこれからだ。
 ゲームなら彼は裏でアリスの助けをしてくれて最終的に近衛騎士になっていった。

「それならそもそも俺を近衛騎士にする必要ないだろ。私兵として雇えばいいだろ」
「違うのよ! 私の目的は貴方を含めた4人を近衛騎士にしたいの!」
「意味分からねえ」

  私の反論に若干引いてるオーランがいた。

「理由はともあれ、貴方は能力もあるし、私が近衛騎士にしたいのよ。貴方がいれば、他の近衛騎士の負担も減るでしょ」
「つまり負担減らしの頭数合わせかよ」
「違うわよ。助け合い。貴方は1人の行動が多いでしょ。だからその背中を守るための仲間よ」
「仲間ねぇ。無縁な言葉だよ俺には」
「いいじゃない。今までは無縁。今から縁があるのよ」
「聞くけどよ。俺にもう仕えてるやつがいたらどうするよ?」
「えっ? いるの?」
「質問に答えてから、質問しろよ……」

 それは正直想像してなかった。
 まだ一年生だし、一応ゲーム上ではアリスの近衛騎士になるわけだし、いや、本当に想定してなかった。

「それで? いるの?」
「いないけどよ」
「びっくりさせないでよ」

 良かった。彼はまだフリーだ。それなら私に仕えてくれるチャンスはあるはず。

「それじゃあ、直球で聞くわ。どうすれば私のとこで近衛騎士になってくれる?」

 彼は腕を組んで目線を空に泳がせた。悩んでるんだ。つまり、脈はある。本当に脈がなかったら悩んでさえくれないはずなんだから。

「分かった。それなら今から言う物を俺は欲しい、仕事用具だ。それを買ってくれ」

 思いの外簡単な条件だった。
 言い方は悪いけど、お金で買える物なら契約金と考えれば安い物だ。
 それに仕事用具なら今後の彼の役にも立つはずだ。

「もちろん! 今からでも買いに行きましょ!」

 私は即答した。

「あぁ、もちろん。この街の中で売ってるから買いに行くんだ。それで終わりだ」

 彼の嬉しそうな笑顔はテーブルの上にある、美味しい料理以上に輝いて私には見えた。
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