悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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騎士と派閥と学園生活と

第146話-二人の思惑-

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「いらっしゃい。もし良かったら私のお昼を少し食べてみない? とってもおいしいのよ」

 私の対面に座るエルンさんのお昼は可愛らしい箱に入った具沢山のお弁当に小さなパンがいくつか詰められた2段弁当だった。見かけによらず結構食べるタイプなのかも知れない。
 ただこの世界に来て未だにお弁当だけは見慣れない。何故ならお弁当に米がないからだ。米は有るがそれをあまり食べない食生活なのだと、私はホリナとの生活の中で聞いた。

「流石に悪いのでお気持ちだけ頂いておきます。ありがとうございます」
「そう。残念」

 いつものメンバーと違うお昼にやっぱり調子が狂う。
 エルンさんの隣ではジェフさんが少しのパンに紅茶を合わせて飲んでいる。この部屋に入るなり「お茶はいるかな?」と聞かれて困惑したけど、話を聞く限り紅茶が好きらしい。
 そして目の前の光景にこの2人のお昼は普通逆じゃないかと心の中でツッコミを入れていま。

「遠慮することはない。お茶も必要になれば言ってくれ。美味しいのを淹れるから」
「ありがとうございます」

 招かれる側というのも気を遣われすぎてしんどい。

「さて、お昼を食べながらですまないが、本題に入ろう」

 来た。意外にも口火を切ったのはジェフさんからだった。今朝からの空気だとエルンさんの方がそう言う役割が向いてそうに思えたからだ。

「フランソワさん。君は昨日リオル総長に呼ばれていたと聞いてね。恐らくだが、派閥に入らないかと言われなかったかい?」

 まるで昨日の会話を聞いていたかのような質問だ。ただ、その質問の意図が読めなかった。

「えぇ。まぁそんな所です」
「単刀直入に聞くが、君は入るつもりはあるかい?」
「悩んでいます。私はあまり……その派閥に興味がないので」
「まぁ、それが普通だろうね。一般生徒からしたらあまり関与しないものだ。それに1年なら尚更」
「すみません。私からも質問よろしいでしょうか?」
「あぁ、勿論だ。気になる事はなんでも聞いてくれ」

 ジェフさんの答えにとなりでエルンさんが少し笑った。

「では私も単刀直入にお聞きします。今日のお話と言うのは私にお二人の派閥からのお誘いですか?」

 私の質問に二人は顔を見合わせて笑った。

「笑ってしまって申し訳ない。その質問に対しての答えは『違う』になるね」
「ジェフ、貴方の答えは言葉が足らないわ。『何故私も含めて笑ってしまったのか』から答えないと失礼になるわ」
「そうだった。悪い所が出てしまった」

 二人は仲が良さそうに夫婦漫才のような受け答えが目の前で繰り広げられる。

「それじゃあ、何故笑ってしまったかと言う答えを私からも説明するわね。それは貴方が『二人の派閥』と言ったからよ」
「お二人の以外にも勿論派閥の方はいらっしゃると思いますが、ただお二人が代表をしているのかと言う意味で言ったのであって……」
「私達二人しかいない派閥って言う意味じゃないことくらいは分かっているわ。そこじゃないの」
「そこじゃない?」
「ねぇ。貴方からは私達がどんな関係に見えているのかしら?」

 エルンさんの問いかけはどこか艶かしく、年相応とは言えない雰囲気が醸し出されていた。
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