悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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嵐の来訪者

第210話-推測の組み立て-

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「なるほど。何となくだけど分かった」
「あくまで推測でしかない。確証はない」
「お嬢を監視してた奴がいて、それを追いかけて来たらここに辿り着いた。そこには俺がいた。状況だけ見たら間違いなく俺は人質だろうな」
「多分。それと気になったのは馬車に一緒に乗っていた奴」

 この状況で一番最初に頭に浮かぶのはユリと試合をしていたあいつの事だ。

「心当たりはある。金髪の男にしちゃ長い髪のやつだったか?」
「そんな感じだったな。馬車を運転してたのは短髪の体格のいいやつだった」

 そいつもユリと試合してた奴だろう。ってことは間違い無さそうだ。

「俺のせいか……」
「何がだ?」
「お嬢がなんでそんな奴といるかってとこだ」
「それは……分からない。俺も表立ってやってはないんだ」
「分かってるよ。気にすんな」

 こいつの雇い主が誰かは分からないが、捜査を命令したのであれば、それだけお嬢は他人から見るとおかしかったんだろうってのは分かる。
 それとこいつを前にけしかけてきたやつは学院にいるって事だ。まぁそこは今はどうでもいい。

「仮にだ、あのウェルズってやつがこの一連の黒幕だったとしたらだ。俺は人質、ユリは負傷、アルは不在って事でお嬢の周りには助ける事の出来る奴が居ねえって事ははっきり分かる」
「そうだな。あなたが停学になる話まで加味すると近衛騎士以外にも危害を加えられる対象になっている可能性がある」
「あの身軽なやつが見張ってたって事ならそうだろうな。俺はてっきり襲って来た奴はお前かと思ってたよ。あんな身のこなし出来る奴はそう居ないだろうしな」
「褒めて貰えるのはありがたいけど複雑な気分だ。それでこれからどうする?」

 情報はまとめ終えた。ウェルズの奴が犯人で間違いはないと内心思っている。ここにいる見張りの奴に聞ければ早いが生憎気絶していて今すぐ話せる状態でもない。
 ただ、どちらにしてもお嬢には会わないと話しは進まねぇ。

「お嬢のとこに行く。さっさと行かねえと、ここに異常があった事がバレたらまずいからな」
「分かった。ここに居た奴はあんたの代わりに閉じ込めておく、交代の見張りが来たら出して貰えるだろうしな」

 そうなると身支度だ。荷物は部屋の中では見つからかったが、自分の武器だけは無造作に置かれていたから救いもんだ。

「お前連れがいるって言ってたよな」
「あぁ」
「そいつをアルの所に向かわせてくれねぇか。事情話しとけばあっちはあっちで身を守りだろうしな」
「分かった。あんたに従うよ」

 そう言うと外に出て、連れに声をかけている。連れの方は渋々と言った声を上げている。その声はどこか聞き覚えがあったが思い出せない。

「こっちも準備す……」

 立ち上がった瞬間眩暈がした。視界は黒くなって、平衡感覚がなくなった。幸い完全に倒れる前に椅子に手をかけて留まった。
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