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嵐の来訪者
第212話-アルの戦い-
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「こっち、こっち来てアルさんよ!」
どこからともなく自分を呼ぶ声が聞こえた。
たた、その声は意図的に枯らした様な声量だ。どこかで風邪でもひいてる生徒が自分を呼んでいるのかと思ってしまった。
結果は違ってどこかで見た顔から自分を呼ぶ声がしていた。隠れる様にしてこちらを呼ぶその姿はどこか情けなさそうに見える。
「どうしてここに? 急に休学してなかったっけ?」
その人物はいつも通っていた学校のモラゾだ。
そんなに仲が良かった訳ではないが、同じクラスだったから知っている程度だ。
少し前にいきなり休学になっていたはずだが……。
「そんな事はどうでもいいから、とりあえず今から話すことは本当のことだから、いきなりでも信じてくれよ。ここ血の気多いから好きじゃないんだよ」
「はぁ……」
突然の切羽詰まった様子にこちらが飲み込まれてしまう。彼が自分になんの用事なのか。
彼の話した内容はとてもじゃないけど信じられない内容だった。
フランソワ様に何かがあり、ヤンは襲われて監禁されていたなんてとてもじゃ無いが信じられなかった。
「それを信じろって? 無理な話だと思うけど」
「そうだけど! 本当なんだって、むしろ意味不明な事をいいにここに来ないって」
確かに。ここへわざわざそんな事を言いに来ても彼が得する事はない。
「聞くけど、なんでここに?」
「連れに頼まれたんだよ、あんたに連絡してくれってよ。まぁヤンの奴が連れにそう言ったんだけどよ」
「ヤンに直接は会ってないの?」
「あぁ……まぁ……」
どこかバツの悪そうな歯切れの悪い返事が引っかかる。
「何か言ってない事があるんじゃないか?」
「それは……さぁ……」
「それを聞かずに信じろってのは無理があるだろ」
「分かったよ。言えばいいんだろ」
話された内容は彼がフランソワ様への危害を加えるための加担をしていたという事。結果を聞いて怒りよりも呆れが出てしまう。
「それでヤンに顔を合わせずらかったって事か」
「そうだよ。悪いか、ぶん殴られそうでよ」
想像は容易に出来るけど自業自得だろうに。
とりあえず代わりに頬に加減をして拳を入れた。
地面に尻餅をついて、驚いた顔でこちらを見上げているその顔は固まっていた。
「僕からはこれでいいよ。結果として失敗してるしね、ヤンも助けてくれたんだろう」
「その割には酷い仕打ちだよなぁ!」
「当たり前だろ。それぐらいの事をしたんだ。なんならボコボコにしてやろうか?」
「お前見た目によらず過激だよなぁ……」
「よく言われるよ。それで、君の話を信じたとして、どうするの?」
「そうは言われてもよ。俺もあんたにさっきの事伝えてくれって言われただけでその先は何も聞いちゃいない」
さっき言われた事……事の流れとこれからヤンがしようとしている事だ。まぁ彼らしいと言えば彼らしい。
僕には身を守れと言っておいて彼は自分から攻めていくらしい。状況的に見れば確かに僕は今人質の様なものだろう。
ただ、さっきまでの話を信じるなら人質としてはいられない。周りは相手の息がかかった生徒たちばかりだろう。数には勝てない。だが、この学校はその数を一気に味方につける事ができる。
「分かった。信じるよ、それで僕は僕で勝手に身を守りながら動くよ」
「はい?」
「見といてくれてもいいし、このまま帰ってくれてもいいさ」
どこからともなく自分を呼ぶ声が聞こえた。
たた、その声は意図的に枯らした様な声量だ。どこかで風邪でもひいてる生徒が自分を呼んでいるのかと思ってしまった。
結果は違ってどこかで見た顔から自分を呼ぶ声がしていた。隠れる様にしてこちらを呼ぶその姿はどこか情けなさそうに見える。
「どうしてここに? 急に休学してなかったっけ?」
その人物はいつも通っていた学校のモラゾだ。
そんなに仲が良かった訳ではないが、同じクラスだったから知っている程度だ。
少し前にいきなり休学になっていたはずだが……。
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「はぁ……」
突然の切羽詰まった様子にこちらが飲み込まれてしまう。彼が自分になんの用事なのか。
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確かに。ここへわざわざそんな事を言いに来ても彼が得する事はない。
「聞くけど、なんでここに?」
「連れに頼まれたんだよ、あんたに連絡してくれってよ。まぁヤンの奴が連れにそう言ったんだけどよ」
「ヤンに直接は会ってないの?」
「あぁ……まぁ……」
どこかバツの悪そうな歯切れの悪い返事が引っかかる。
「何か言ってない事があるんじゃないか?」
「それは……さぁ……」
「それを聞かずに信じろってのは無理があるだろ」
「分かったよ。言えばいいんだろ」
話された内容は彼がフランソワ様への危害を加えるための加担をしていたという事。結果を聞いて怒りよりも呆れが出てしまう。
「それでヤンに顔を合わせずらかったって事か」
「そうだよ。悪いか、ぶん殴られそうでよ」
想像は容易に出来るけど自業自得だろうに。
とりあえず代わりに頬に加減をして拳を入れた。
地面に尻餅をついて、驚いた顔でこちらを見上げているその顔は固まっていた。
「僕からはこれでいいよ。結果として失敗してるしね、ヤンも助けてくれたんだろう」
「その割には酷い仕打ちだよなぁ!」
「当たり前だろ。それぐらいの事をしたんだ。なんならボコボコにしてやろうか?」
「お前見た目によらず過激だよなぁ……」
「よく言われるよ。それで、君の話を信じたとして、どうするの?」
「そうは言われてもよ。俺もあんたにさっきの事伝えてくれって言われただけでその先は何も聞いちゃいない」
さっき言われた事……事の流れとこれからヤンがしようとしている事だ。まぁ彼らしいと言えば彼らしい。
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ただ、さっきまでの話を信じるなら人質としてはいられない。周りは相手の息がかかった生徒たちばかりだろう。数には勝てない。だが、この学校はその数を一気に味方につける事ができる。
「分かった。信じるよ、それで僕は僕で勝手に身を守りながら動くよ」
「はい?」
「見といてくれてもいいし、このまま帰ってくれてもいいさ」
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