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嵐の来訪者
第228話-槍の戦い方-
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普段ならまずは動かずに様子見から入るが今回はこっちから攻め込んだ。
相手が槍だとリーチの差でこっちのペースが掴みにくくなる。だったらこっちから打ち込んで出方を見てやる。
攻撃は槍の先端で防がれた。武器同士がぶつかって金切り音が響いて振動が手に響いてくる。
返しに槍の先端がこっちに突き出される。腕に溜めた力を爆発させて襲ってくる槍の速さは脅威的だ。それを攻撃の範囲の外に出てやり過ごす。
お互いが出方を見るように、相手との距離を掴むために一手攻撃を撃つごとに攻守が入れ替わる。
「やっぱり厄介ですね」
ユリが悔しそうに漏らした。
「槍って長さが売りだものね。仕方ないわ、ヤンなら大丈夫よ」
「勿論です。ただ、私は実際戦ってますので、厄介さが分かりますからもどかしいんです」
「そうだな。槍で厄介なのは攻撃範囲だけじゃないからな」
私の傍らの二人は流石と言うべきか私とは違う意味を持っているらしい。
「他の厄介要素って?」
「攻撃の手数ってやつですよ」
「オーランさんの言う通りです」
「手数?」
手数と言われてもピンと来ない。
「奇襲性とも言えるかも知れませんね。実際この前の試合はそこが厄介でしたから」
「側から見てると分からないかも知れないけど、戦ってると意外と死角が多くなるもんだから、その死角から攻撃が来るんですよ。槍ってのは」
二人の説明でなんとなく分かるような、分からないような、実際私は戦いの場に立った事がないからかも知れないけど、つまりそう言う事らしい。
「例えば剣って言うのは振って一撃です」
ユリが剣を振る動作を実演してくれた。
「槍は降って一撃、元の位置に戻すまでに一撃振るえます」
今度は槍の構えをしてくれて実演してくれる。
振り下ろした後に構え直すまでに切り上げた。
「でもそれって剣でも一緒じゃないの?」
「まぁ簡単に言うと動作自体は何でも出来ますから同じかも知れませんね」
「そしたら剣も変わらないもんじゃないの?」
「ではこうしたらどうですか」
今度はさっきの剣の実演に戻って振るった。ただ、さっきと違ったのは振り下ろしが途中で止まった。
「防がれました。ここから剣を振り上げても二撃目になりますか?」
「ならないわよね」
「その通りです。では次は」
今度は槍の構え、振り下ろして途中で止まる迄は一緒。ただ、そこからが違った。槍を持つ手は変えず、腕を交差させて下から攻撃する様な動作をとった。
「今のは棒の部分で下から攻撃を顎に向かって振るいました。これはニ撃目になりますか?」
「なるわね。しかも防御してた所とは別の所から攻撃が来る」
「その通りです。勿論これは一例です。死角と言うのは今の下方向からですね。視線は剣先に本来向かいますから」
なるほど。つまり二人が言いたいのは、槍は棒の部分でのアクションも踏まえて動作が剣より多いと言う事なのだろう。
言われてみればユリとの試合の時に同じ動きをしていた気がする。
「理解していても反応出来ない時は出来ない。それに理解しているからこそ、警戒しないといけない、様子見でもその攻撃がいつ飛んで来るか分からない。だから厄介なんだ」
まとめを言ってくれたのはオーランだ。
二人の説明を受けて少し、ほんの少しだけヤンの戦いがどれだけ大変なものなのかと理解出来た気がした。
相手が槍だとリーチの差でこっちのペースが掴みにくくなる。だったらこっちから打ち込んで出方を見てやる。
攻撃は槍の先端で防がれた。武器同士がぶつかって金切り音が響いて振動が手に響いてくる。
返しに槍の先端がこっちに突き出される。腕に溜めた力を爆発させて襲ってくる槍の速さは脅威的だ。それを攻撃の範囲の外に出てやり過ごす。
お互いが出方を見るように、相手との距離を掴むために一手攻撃を撃つごとに攻守が入れ替わる。
「やっぱり厄介ですね」
ユリが悔しそうに漏らした。
「槍って長さが売りだものね。仕方ないわ、ヤンなら大丈夫よ」
「勿論です。ただ、私は実際戦ってますので、厄介さが分かりますからもどかしいんです」
「そうだな。槍で厄介なのは攻撃範囲だけじゃないからな」
私の傍らの二人は流石と言うべきか私とは違う意味を持っているらしい。
「他の厄介要素って?」
「攻撃の手数ってやつですよ」
「オーランさんの言う通りです」
「手数?」
手数と言われてもピンと来ない。
「奇襲性とも言えるかも知れませんね。実際この前の試合はそこが厄介でしたから」
「側から見てると分からないかも知れないけど、戦ってると意外と死角が多くなるもんだから、その死角から攻撃が来るんですよ。槍ってのは」
二人の説明でなんとなく分かるような、分からないような、実際私は戦いの場に立った事がないからかも知れないけど、つまりそう言う事らしい。
「例えば剣って言うのは振って一撃です」
ユリが剣を振る動作を実演してくれた。
「槍は降って一撃、元の位置に戻すまでに一撃振るえます」
今度は槍の構えをしてくれて実演してくれる。
振り下ろした後に構え直すまでに切り上げた。
「でもそれって剣でも一緒じゃないの?」
「まぁ簡単に言うと動作自体は何でも出来ますから同じかも知れませんね」
「そしたら剣も変わらないもんじゃないの?」
「ではこうしたらどうですか」
今度はさっきの剣の実演に戻って振るった。ただ、さっきと違ったのは振り下ろしが途中で止まった。
「防がれました。ここから剣を振り上げても二撃目になりますか?」
「ならないわよね」
「その通りです。では次は」
今度は槍の構え、振り下ろして途中で止まる迄は一緒。ただ、そこからが違った。槍を持つ手は変えず、腕を交差させて下から攻撃する様な動作をとった。
「今のは棒の部分で下から攻撃を顎に向かって振るいました。これはニ撃目になりますか?」
「なるわね。しかも防御してた所とは別の所から攻撃が来る」
「その通りです。勿論これは一例です。死角と言うのは今の下方向からですね。視線は剣先に本来向かいますから」
なるほど。つまり二人が言いたいのは、槍は棒の部分でのアクションも踏まえて動作が剣より多いと言う事なのだろう。
言われてみればユリとの試合の時に同じ動きをしていた気がする。
「理解していても反応出来ない時は出来ない。それに理解しているからこそ、警戒しないといけない、様子見でもその攻撃がいつ飛んで来るか分からない。だから厄介なんだ」
まとめを言ってくれたのはオーランだ。
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