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新たなる始まり
第323話-目覚める友達-
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「な、なんで……。それよりも……逃げて下さい」
ユリィの言葉は聞こえるけど、ここから逃げる気はない。友達を放ったらかして行ったら絶対に後悔する。
かと言って私に出来ることはたかが知れてる。短刀を突き出して追手を牽制するくらいだ。
「手荒い真似はしたくないので何もしないで頂きたいのですが」
私達の目の前まで追ってきた男が言った。
敵は四人、男の後ろに構えるように三人が立っている。
「私達は何もないのよ。手を出さないで」
「本当に何もなければ、何もしませんからね。ほら」
両手を上げたがそれには何の意味もないだろう。いや、ただのパフォーマンスだ。
「信じられないから嫌なのよ」
「そう言われましてもね」
男の言葉が終わった瞬間に私の足の横を何かが掠めた。掠めた場所からは傷になって血が滴っている。痛みはそこまでないが傷ついたと認識してしまうと痛みを普通以上に感じてしまう。
「もうめんどうくせぇよ。まだゴタゴタするなら動けなくして連れて行くぞ」
私の足を掠めたのは後ろに構えていた男の魔法だった。荒い言葉で私達を攻め立てる。
さらにもう一発、脅しに逆足を魔法が掠めた。
目の前に迫る危険に言葉が出せなくなってしまった。足が震える。汗が湧いてくる。後ろには友達がまだ倒れている。引けない。かと言って前にも進めない。
私には何の力も無いんだから。
「優子さん……もう大丈夫ですから」
友達の声が助け舟のように聞こえた。ここまでの決意が無駄になってしまったとしても。
「嫌だ……。嫌!」
私はそう言うしかできなかった。抵抗する術もない私には。
「誰か……誰か助けてよ! ヤンじゃなくても良いから! 誰か!」
言葉は虚しく林の中にこだまするだけだ。私の耳には何も反応はない。
ただし、耳じゃなくて頭の中には響いてきた声があった。
『トモダチ……ヒトノコ……タスケル?』
頭痛とはまた違う頭への違和感があるが、痛みはない。ただこの声は私にしか聞こえていないのか周りの人達の反応はない。
『トモダチ……タスケル?』
響いてくる言葉に私は縋るしかない。これが妄想だったとして、何も起こらなくてもいい。それならそれで良い。だけど、もし今この状況が変わるのなら……。
「助けてよ! 私の友達!」
私の言葉が終わると突然目の前に立っていた男達が何かに薙ぎ払われた。それも突然の風圧と共に。
目の前の地面は抉れて、土の中を露わにしている。
何が起こったのか理解できなかった。
私の頭の上を何かが通った。
腕だ。手のひらに見えなくも無い、凶悪そうな爪がついた物体。そこから糸の繊維が集まったような腕のようなもの。まるで皮と肉のない筋肉が剥きでたようなもの。
それが何も無いであろう空から出てきている。
「な、なんなんだ。やっぱりお前は精霊憑きじゃないか」
薙ぎ払われた男が一人だけ立ち上がった。他の男達は立ち上がらない。
恐怖が混ざった声は夜の林の中でよく響く。
『モウイッカイ』
「もう辞めて優子さん!」
頭の言葉に私は頷いた。
また手が横に木々を薙ぎ倒して、ついでに男を潰した。
頭がぼんやりしてきた。口の中は血の味する。
なぜか涙が出てきた。何に泣いているんだろうか。
手で拭うと手は真っ赤に染まっている。涙じゃ無い。目から血が流れているんだ。ならこの鼻水と思ったのも多分血だ。
「優子さん!!」
ユリィの声が聞こえたら緊張の糸が途切れた。
頭の中に響く声の主に「ありがとう」を伝えると私の意識はそこで途切れた。
ユリィの言葉は聞こえるけど、ここから逃げる気はない。友達を放ったらかして行ったら絶対に後悔する。
かと言って私に出来ることはたかが知れてる。短刀を突き出して追手を牽制するくらいだ。
「手荒い真似はしたくないので何もしないで頂きたいのですが」
私達の目の前まで追ってきた男が言った。
敵は四人、男の後ろに構えるように三人が立っている。
「私達は何もないのよ。手を出さないで」
「本当に何もなければ、何もしませんからね。ほら」
両手を上げたがそれには何の意味もないだろう。いや、ただのパフォーマンスだ。
「信じられないから嫌なのよ」
「そう言われましてもね」
男の言葉が終わった瞬間に私の足の横を何かが掠めた。掠めた場所からは傷になって血が滴っている。痛みはそこまでないが傷ついたと認識してしまうと痛みを普通以上に感じてしまう。
「もうめんどうくせぇよ。まだゴタゴタするなら動けなくして連れて行くぞ」
私の足を掠めたのは後ろに構えていた男の魔法だった。荒い言葉で私達を攻め立てる。
さらにもう一発、脅しに逆足を魔法が掠めた。
目の前に迫る危険に言葉が出せなくなってしまった。足が震える。汗が湧いてくる。後ろには友達がまだ倒れている。引けない。かと言って前にも進めない。
私には何の力も無いんだから。
「優子さん……もう大丈夫ですから」
友達の声が助け舟のように聞こえた。ここまでの決意が無駄になってしまったとしても。
「嫌だ……。嫌!」
私はそう言うしかできなかった。抵抗する術もない私には。
「誰か……誰か助けてよ! ヤンじゃなくても良いから! 誰か!」
言葉は虚しく林の中にこだまするだけだ。私の耳には何も反応はない。
ただし、耳じゃなくて頭の中には響いてきた声があった。
『トモダチ……ヒトノコ……タスケル?』
頭痛とはまた違う頭への違和感があるが、痛みはない。ただこの声は私にしか聞こえていないのか周りの人達の反応はない。
『トモダチ……タスケル?』
響いてくる言葉に私は縋るしかない。これが妄想だったとして、何も起こらなくてもいい。それならそれで良い。だけど、もし今この状況が変わるのなら……。
「助けてよ! 私の友達!」
私の言葉が終わると突然目の前に立っていた男達が何かに薙ぎ払われた。それも突然の風圧と共に。
目の前の地面は抉れて、土の中を露わにしている。
何が起こったのか理解できなかった。
私の頭の上を何かが通った。
腕だ。手のひらに見えなくも無い、凶悪そうな爪がついた物体。そこから糸の繊維が集まったような腕のようなもの。まるで皮と肉のない筋肉が剥きでたようなもの。
それが何も無いであろう空から出てきている。
「な、なんなんだ。やっぱりお前は精霊憑きじゃないか」
薙ぎ払われた男が一人だけ立ち上がった。他の男達は立ち上がらない。
恐怖が混ざった声は夜の林の中でよく響く。
『モウイッカイ』
「もう辞めて優子さん!」
頭の言葉に私は頷いた。
また手が横に木々を薙ぎ倒して、ついでに男を潰した。
頭がぼんやりしてきた。口の中は血の味する。
なぜか涙が出てきた。何に泣いているんだろうか。
手で拭うと手は真っ赤に染まっている。涙じゃ無い。目から血が流れているんだ。ならこの鼻水と思ったのも多分血だ。
「優子さん!!」
ユリィの声が聞こえたら緊張の糸が途切れた。
頭の中に響く声の主に「ありがとう」を伝えると私の意識はそこで途切れた。
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