悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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黒い獣

第334話-闇夜に紛れる獣達-

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 陽も落ちて静まり返った村の外側で私たちは集まっている。
 周りにはバレルさんの商団の人たちも見回りをしていて人は多いけど静かな場所になっていた。

「おっさん、ここに人を割り当て過ぎじゃねぇか?」

 確かにヤンの言う通り、この場所には多すぎる人たちがいる。後から入った私たちを除いたとしても多い。

「ここは一番襲われやすい場所らしくてな、重点的にしてるだけだ。一応人は多いからお前らへの負担も少ないはずだ」
「ここがねぇ」

 ここは家畜を育てている場所。今は静まって寝ている動物達がいる。

「ここに人こんなに置いてたら来るものも来ないだろうな」
「それなら別の場所が頑張るようにそうするだけさ」

 実際襲ってくるのは定期的じゃないらしい、だからこうやってヤマを張って警備しているとのこと。
 数も未知数。敵の詳細も不明となると少し怖く感じる。

「チェルさんも警備に?」
「いや、あいつは町の中で負傷者が出た時の対応だ。俺と一緒で治癒魔法が使えるからな」
「似たもの同士なんですね」
「こんな時にからかうなよ……」

 からかうつもりでは無かったけど、そう聞こえてしまったらしい。

「実際の所来るんでしょうか……」
「分からん。ただ気はある程度抜いとけ、ずっと気張ってると持たないからな。眠い時は寝ろよ」
「ありがとうございます」

 ユリィはヤンの言う通り、一緒にここにいる。さっきから周りの人達に温かい飲み物などを配る人達の手伝いをしていたが、今は私たちのところで座っている。

「来たところで鐘を鳴らす手筈になってるからな。寝っぱなしもないだろうしな」
「そ、そこまで眠り入りません」

 恥ずかしそうに否定するユリィに張っていた気が少し緩んだ。
 その瞬間町の反対側から鐘の音が聞こえて来た。
 突然のことに思わず肩が震えた。静かな町の中を走る鐘の音は夜の静寂を打ち消すには充分だ。

「お前ら。あっちに八人走れ!」

 バレルさんの一言で打ち合わせすることもなく、八人が鐘の音の方へ走りだす。バレルさんも同時に走り出した。

「俺もあっちにいくが、気抜くなよお前ら」

 私たち含め全員にその言葉を言った。
 その場にいるほとんどの人がバレルさんの言葉に頷いた。
 ただ頷かなかった少数が異変に気づいて言葉を上げた。

「こっちからも来ましたボス」
「数は!?」
「少なくとも五!」

 バレルさんは走り出した足を止めて、その場に留まる。

「こっちも応戦するぞ。構えろお前ら」
 
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