悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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教団と大精霊

第348話-魔法のありかた-

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 テイルさんが加わった私達は結局その場で一夜を過ごすことになった。理由としてはわざわざ広げたものを片付けることもないだろうと言うバレルさんからの意見だった。
 バレルさんは料理だけじゃなくて洗い物もそのまま近くの川で終わらせてきた。私達が手伝うと言っても全く触らせてくれないものだから申し訳なさでいっぱいすぎる。

「あの人頑固だから」

 さらにチェルさんは笑って「気にすることはないよ」と言ってくれた。
 夜になると見張りは交代で行う。この時ばかりはバレルさんには休んでもらった。今度からも出来れば抱え込まずに、作業を分担してくれた方がいいのにと少し攻撃的に思ってしまう自分がいた。

「冷えないか?」
「大丈夫」

 今日の見張りは私とヤン。ヤンは早朝まで、私は途中でユリィと交代の予定。
 見張りと言ってもただ起きておくだけ、だからやることは自分で適当に見つける。

「よっ!」

 私は魔法の練習をしていた。使えば使うほど魔法の特徴が分かってくる。どうすれば皆んなの役に立てるかを考えて練習している。

「何回見てもすげぇな」

 ヤンが漏らした感想は至って簡単だった。

「俺は才能ねぇからな」
「これは私が才能あるんじゃないからさ」

 私の魔法はあくまで次元の精霊のおかげだ。だから私がすごいんじゃない。たまたま手に入れた能力でしかない。

「そうでもないよ。精霊の魔法でも使い手によって変わるからねぇ。使いこなせるかはセンスの問題だよ」

 そうフォローしてくれたのはテイルさんだった。
 突然起きてきたテイルさんはまだ眠そうな顔をしながらでも寝床を出てきてらしい。どこか足元がふらついてる。

「だから多少は誇ってもいいんじゃない」
「大精霊様のお墨付きだってよお嬢」
「馬鹿にされてる気がするなぁ」
「はっ、まさか」

 ヤンは大体こんなもんだけど、初対面からしたら確かにそう思われても仕方ない。

「魔法って言うのはイメージだよ。頭の中で思い浮かべた事象、動きを現実にするんだ。精霊はそれをあくまで補助してくれてるだけさ。主となるのは君たちだからね」
「イメージが出来てもうまくいかねぇ時はどうするんだ?」
「素直にイメージ力を鍛えたらいいんじゃないかな」

 さっきの仕返しとばかりにイタズラ顔でテイルさんは返した。

「でもまぁイメージ出来てもそれを現実にするための器量があるかは個人の差があるからね、身の丈にあった事をするのがいいよ」
「身の丈ねぇ」
「自分の一番想像できる姿から出す魔法。そうすることが近道かな。後は自信を持つこと」
「そりゃ難しいな」
「えっ! ヤンいつも自信満々じゃん!」
「んなわけあるかよ」

 テイルさんは水を飲むために出てきたらしく、言いたい事を言って水だけ飲んで寝床に帰った。

「イメージかぁ」

 自分の魔法を発動させながら私はどうやって今瞬間移動させているのかを考えてみたけど、なんとなく行きたいところを思い浮かべているだけだった。そしたら目の前の景色が変わる。そんなすごい魔法を私は使っている。

「わかんなーい」

 考えることに匙を投げて地面を背にして寝転んだ。
 夜空は青黒いから真っ暗へと変わっていた。見えるのは点々と明かりが輝く星だけ。ユリィとの交代まではまだまだ先は長い。



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