悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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教団と大精霊

第357話-湖畔の案内人-

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「宿の紹介なんて貰っちゃってなんかすみません」
「いいの、気にしないで。旅の人を歓迎するなんて当たり前だから」

 少年たちに連れられて宿に向かった中で出会った彼女は親切にも宿へも一緒に来てくれた。
 彼女の知りうる中で一番私達に適していそうな所を教えてくれて紹介をしてくれた。
 気づけば私達も大所帯になっていたからこそ馬車が置ける所も必要で普通の宿ではなかなか入りにくいらしい。

「そう言えば今更なんですけど名前を聞いていませんでしたね」

 ユリィの言う通りだ。完全に流れのまま歩いてきていたかは名前を聞いてなかった。

「スウェイって言うの。よろしくね」
「よろしくお願いします。私はユリィ。あちらは優子さん。その隣がチェルさんです」

 簡単な会釈を順にして紹介が終わった。スウェイさんも返すように会釈をしてくれる。
 立ち振る舞いに綺麗な髪に可愛らしさを残した姿に欠点がなさ過ぎて眩しい。

「剣を下げられていると言うことは剣士として活動されているのですか?」
「簡単にですが。剣は持っていてもあまり剣の扱いは上手く無いもので」

 謙遜なのかえらく腰の低い物言いだった。

「そんなことないよー! 昔は王国の騎士団に至ってママ言ってたもん!」

 そんなスウェイさんを否定したのは私達をここまで連れて来てくれた男の子だった。
 子どもらしい純粋な気持ちでスウェイさんの肩を持った。

「ははは。合わなくて帰って来ちゃいましたが」

 笑って自虐しているけど私からするととりあえずすごいんだろう程度の認識でしかない。

「へぇ、すごい。王国の騎士団って言ったらかなりの手だればっかりだって聞いたことあるな」
「チェルさん知ってるんですか?」
「まぁ大体の人は知ってることかな」

 つまりこの世界では常識ってことか。それをぼかして言ってくれている。

「中心に位置する王国だからエリートね」
「そんなに言われてちゃうと気が引けちゃうな」

 照れている姿を誤魔化すように彼女は笑う。

「そしたら今はこの村でこれからの事を探している最中なんですか?」
「あーそれ言われると内緒って言っちゃいたくなるんだけどなぁ」

 ユリィの聞き方に毒はない。これは純粋な気持ちが刃物になっている。
 つまり彼女は今職探し中なんだろう。

「今は……一応この村の警備をさせてもらってるから」
「それは大変ですね。今の世の中物騒ですから立派なお仕事です」

 ユリィらしい質問と答えは紛れもなく無垢だった。
 ユリィがどんなに旅慣れをしていても根っこはどこかお嬢様なんだよなぁ。
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