悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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時を操った少女

第379話-アリスの異変-

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 火を起こせない私たちの代わりにバレルさんが入れてくれたお茶の準備が終わると私たちはテーブルを囲んでいた。
 丸いテーブルにそれぞれ等間隔に座っている。誰が席を決めた訳でもない、ただそれぞれが各自で決めた配置だった。

「それでは……えっとどうしましょうか」
「そしたら僕から聞きたいことがあるからいいかな」
「はい。テール様から」
「そんなに気を使わなくても良いよ。少し失礼するよ」

 そう言ってテールさんはアリスの周りを一周した。
 どの角度からでもアリスをじっと見続けている。

「それじゃあ質問、君は以前に時間を巻き戻した事があるのは間違いない?」
「はい。間違いありません」
「今もそれは出来る?」

 確かにアリスは以前に時間を巻き戻していた。私はそれを知っている。身をもって味わった事だから。
 それが今もできるならテールさんの願いは叶う。今抱えている問題を人知れずなかったことにできるかも知れない。

「……出来ません」

 その返答に息を呑んでしまう。
 テールさんの考えは崩れた。
 
「ふむ。なら精霊の声は聞こえる?」
「いえ、もう長い間聞こえません」
「魔法は? 精霊の魔法じゃなくてもいい、使える?」
「普通の魔法は使えません。精霊の魔法もほとんど」

 気づけば手に力がこもっていた。コップを持つ手が若干だけど震えている。何故なのかは自分でも分からない、自分の身体の事なのに。

「分かった。ありがとう」

 テールさんはそれだけ言うと席に戻った。湯気の立って入るお茶を火傷しない様にゆっくりと口の中に入れていく。
 飲み込むと夜空の星を見るかの様に天井へと顔を見上げた。その視線の先にあるのは木出来た屋根だけだ。
 何かを考えているんだろうか。彼のリアクションには戸惑いを隠せない。

「すみません、ご期待に添えられなかった様で……」
「いや、気にすることはないよ」

 そうは言うが間違いなくテンションは低い。彼とはそんなに長い付き合いではないけどある程度の感情は理解しているつもりだ。

「何が分かった教えてくれませんかテールさん」
「私も気になる。教えてよ」

 ユリィと私はテールさんを捲し立てた。
 一人で納得して、一人で落ち込まれても私達が納得できない。

「分かったよ」

 考えることをやめたのか、それとも私達の勢いに負けたのかは分からないけどテールさんは考えるのをやめて私達の方へと視線を落とした。

「まず、君の身体のこと」
「私の?」
「君、足が弱ってきてるだろ。それは君に憑いている精霊の影響だ……」
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