悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

孤独を愛して

第401話-疑惑の家主-

　「魔法教団」その名前が出るとその場の空気が変わった。変わったのは私達だけでソフィアは何も変わっていない。
　ソフィアはこっちの変化に気づいて不思議そうな顔をしている。

「あぁ、先に言っておくと私は教団には入っていないから。たまたま買い物先の町で話をして魔法についての話を聞くことがあるだけ」

　その言葉が本当なのか、嘘なのかこっちには分からない。判断のしようもないから厄介だ。

「ちゃんと精霊憑きなのは隠してる、教団の人たちが精霊憑きを探してるのは噂で聞いてるからね」

　淡々と言うソフィアの顔に嘘は見えない。

「町では有名な話だよここらへんに教団が集まってるって言うのは、だいぶ前からあるって聞いたけど」
「まぁそれには間違いねぇが、実際有名ではあるからな」

　バレルさんの口調もいつもより重い。それだけソフィアの事を疑いの眼差しで見つめていると言う事なのかもしれない。

「ですよね！　だから本当に無関係なんですよ」
「無関係な人に魔法のコツを教えてくれるんですか？」
「あぁ、教団の中には魔法好きもいるからな、あの軍団も一枚岩じゃねえ、実際うちの商団の中にも見返りもなく教えてもらったやつはいるらしいからな」

　私の質問にバレルさんが答えてくれた。独占したがったり、人によっては教えてくれたり、不思議な集まりな事で。

「でも、その人がわざわざ名前を出したってことは隠すことでもないってことじゃないの。だからそこまで警戒しなくてもいいんじゃないかしら」
「確かにそう言った見方もできるな、俺も少し教えてもらったことはある。全然ダメだったがな」

　その場で冷静な見方をしたのはチェルさんとスウェイさんだった。
　ヤンの方に目を向けても、ヤンは首を振るだけだ。信用できないって言う考えか、それとも分からないと言う意味なのか、いまいち理解できないけど、分からないって意味合いだと受け取って判断材料からは除いた。

「私はソフィアさんを信じます」
「ユリィが信じるなら私も信じるわ、ごめんなさいソフィアさん」
「勝手に疑われて、勝手に解決されて、勝手に謝られても複雑なんですけどね」

　私の謝罪を受け入れてもらえたかどうか少し怪しいけど、笑いながら言ってくれる所を見ると受け入れてもらえたと受け取った。