恋喰らい 序

葉月キツネ

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プロローグ

私の初恋

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「ずっと昔から好きでした。俺の彼女になってください」
 初めて告白されたのは、小学6年生の修学旅行だった。
 定型文のような告白の言葉ではあったが、初めて言ってもらえる言葉にとても嬉しかった、しかも、相手はスポーツができ、人望もあるクラスの中心の男の子だった、断るはずもなく即答でOKを返した。
 園児の頃などに男の子と結婚の約束をすることはあったかもしれないが、それは所詮子どもの約束事、正真正銘これが私の初恋であり、初めての彼氏だった。
 そんな中心になる男の子が告白し、彼女ができたという噂は次の日には学年中に広がっていた。
 彼氏と言ってもキスもしていないし、手をつないですらいない。
 いくらカップルになったとはいえ修学旅行中だ、自由に動ける時間など限られていて、基本は班での行動なのだから接点などほとんどなかった。
 そんな初彼とのデートは通常の日常に戻ってからだった。
 お母さんには修学旅行で彼氏ができたことを伝え、週末にはデートに事を伝えて洋服を新しく仕立ててもらった、とても可愛い水色のワンピース。
 父にはメールで告白されたことを伝えた。父は幼いころから一人での出張が多く、家にいることが少なかった。父もあまり帰れず私に父と思われていないんじゃないかと不安がっていたと昔聞いたことがある。しかし、父は私のことが大好きで、今ではメールなどでやりとりをしている、返信メールには「おめでとう」という言葉とおもむろに思い出の話が書いてありびっくりした。
 デートの当日は快晴の雲一つない空。
 彼は先に待ち合わせ場所にいて、周りをばれないように見回していた、私は緊張しながらも彼に声をかけ初めてのデートが始まった。
 地元の大きな水族館へ行き、背伸びをしてベンチで2人でジュースを飲んだり、詳しくもない魚を見てはしゃいだ、そんな彼との時間はとても楽しかった。
 日も暮れはじめ明日にはまた学校が待っている、しかし、学校に行くことは彼ともまた会えることだ。
「今日は楽しかったね。また明日学校で会おうね」
 素直な気持ちを言葉にした。
 だが彼は苦虫をかんだような複雑な表情から驚きの言葉で言い放った。
「い、言いにくいんだけど、前園さん。俺と別れてほしい」
 人生の初デートの日は同時に初失恋の日になった。
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