まだ見ぬ幸せ

紅 蓮也

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婚約破棄は突然に、そして追放へ

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「ソフィア、君との婚約は破棄する。」

  王城に呼ばれた私は、婚約者のマッカート王太子殿下からそう告げられた。

  呼び出されて、突然に婚約破棄と言われても意味がわかりません。
  両親や妹に何を言われるかわかりませんし、まあ、私に原因が無くてもあの両親や妹は私が悪いと言うに決まってますが、とりあえず理由を婚約者様に尋ねる事にした。

「突然、婚約破棄だと言われましても、婚約破棄の理由を伺ってもよろしいでしょうか。」

「理由は簡単だ。真実の愛を知ったからだ。」

  この婚約は王家と公爵家の間で取り交わされたもので、いわゆる政略結婚です。
  それは、簡単に破棄できるものではなく、王太子の一存で破棄できるものでないのですけど、国王陛下と王妃殿下からの了承は得ているのでしょうかね。

「婚約破棄の事は、国王陛下と王妃殿下から了承を得ているのでしょうか。」

「なぜ、私とソフィアが婚約破棄するのに父上と母上の許可がいるのだ。」
「私たちの事なのだから私が破棄だと決めたのならそれは決定なのだ。」
「そんなこともわからないのかお前は」
「まあ、後で父上と母上には婚約破棄したことは報告するがな」

  最初は君だったの今はお前でますか。言葉が乱暴になってきましたね。
  明らかに私を馬鹿にした言い方ですね。
  国王様と王妃様には、よくしてもらっていたので、大変申し訳ないのですが、私が何を言うと婚約破棄を取り消す気は無いでしょうから仕方ないですね。

「わかりました。婚約破棄は承知しました。」

「やっと、わかってくれたか。つべこべ言わず、お前はさっさと婚約破棄を認めればよかったのだ。」
「話は以上だ。帰っていいぞ。」

「では王太子殿下、私は失礼いたします。」

「そんな挨拶はいらん。さっさと私の前から居なくなってくれ。」

  私と婚約破棄して、真実の愛の相手が何処の何方か知りませんが、その相手との婚約を国王様と王妃様が認めてくれるのでしょうかね。
  王太子殿下は私の顔など二度と見たくないような言い草ですね。

  公爵家に戻って婚約破棄されたことを報告しなければなりませんが、両親や妹に何を言われるか。
  そんなことを考えるだけで私は疲れてきた。

「お父様、お母様、只今戻りました。」

「マッカート王太子殿下からの呼び出しは何だったんだ。失礼な事はしてないだろうな。」

「実は王太子殿下からの婚約破棄されました。」

「何!!お前が何か失礼な事をしたからではないのか。」

「いいえ、私は特に何もしていません。婚約破棄の理由は王太子様に他に愛する方ができたからとのことでした。」

「婚約者の心も捕まえておけずに別の女に取られ婚約破棄されるとは、お前はやはりクズで役立たずだな。」

「申し訳ございません。報告は以上です。私は自室に戻らせていただきます。失礼します。」

  婚約者の心を捕まえておけなかったの認めますが、政略結婚なのですから、そこに愛はありません。
  愛がないのに心を捕まえておくのは難しいことなのです。
  何を言ってもクズだ、役立たずだと言われそうなので、謝って自室に戻ることにした。

「ちょっと待て、部屋に戻ったら荷物をまとめて、公爵家から出ていけ。婚約破棄されたお前が公爵家に居ては、公爵家の汚点になりかねないからな。わかったな。」

「はい。わかりました。では改めて失礼します。」

「さっさとでていくのだぞ。」

  公爵家を汚点になりかねないから追放ですか。
  領地の経営を自分の手腕がいいから、領民からの苦情もなく、税も納められ公爵家らしいとても裕福な暮らしが出来ていると思い込んでいるようですが、尻拭いしている私が居なくなってくれ本当に大丈夫なんですかね。
  まあ、助けを求められても弟のラルフ以外は助けるつもりないですけどね。
  公爵家の使用人の皆さんは、私は追放され平民になってしまうので、雇ってあげることはできませんが、助けを求めてきたらできる限りの事はしてあげるつもりでいます。
  さっさと荷物まとめて、言われた通りでていきますかね。

    そんなことを考えながら自室に戻り、荷物をまとめ終えた。

「私はこの公爵家を出ていかなければならなくなりました。今までお世話になりました。」

「ソフィアお嬢様。ラルフ様には私共が説明しておきます。お体にお気をつけて、幸せになってくださいね。」

  私は、妹のレベッカはどこかに出掛けていていないようですし、居たとしてもお別れの挨拶はしませんけどね。
  弟のラルフは、寝てしまっていて起こすのも可哀想なので、今いる使用人の方たちに事情を説明して、ラルフには使用人たちが説明してくれるとのこと、お互い別れを惜しみつつ私は、公爵家を後にした。

「これからどうしたものかな……」
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