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第4話 歓迎
しおりを挟む馬車に揺られ、ノイヌーヴォ侯爵家にやってきました。
ここが私がこれからお世話になるノイヌーヴォ領なのね。
クライシス領より発展しているし、夜でも賑わっておりますわね。
「ソフィア、着いたよ。ここが今日から君が暮らすことになる侯爵家の屋敷だよ。」
侯爵家の屋敷は、クライシス公爵家の屋敷より立派ですね。
公爵家は屋敷内の装飾品や自分達が身につける宝飾品ばかりにお金を使い、屋敷自体は公爵家なので、立派でしたが、良く見ると所々に修繕しなければならない箇所がありましたからね。
庭園も来客があった際に目につくところだけきれいにして、他は枯れてたりしてましたしね。
そんなことを考えながら叔父様に屋敷内を案内された。
執事やメイドなど使用人が出迎えに来ませんでしたが、いないわけがないのですがどうしたのでしょうか。
「あの叔父様、使用人が見当たりませんし、出迎えもなかったのですが・・・」
「ああ、私はそういう出迎えとか貴族らしいのが好きでなくてね。使用人たちには、うちの屋敷では出迎え不要と言ってあるんだよ。」
「それに今、使用人が見当たらないのは、君の歓迎会をするためだよ。
うちの屋敷の使用人にもソフィアのファンは多いからね。
侯爵家にソフィアを呼び、今後は、侯爵家で暮らしてもらうと言ったら皆、ノリノリで準備を始めていたよ。」
その時の光景を思い出したのか笑いながら叔父様は話してくれましたわ。
歓迎会までしていただけるなんて、嬉しいですがちょっと恥ずかしいですね。
それに私のファンって何でしょうか。
「ソフィアの部屋も準備してあるし、部屋に案内するのもいいが、使用人たちが準備してくれているから、そちらを先にしてしまおう。」
「はい。」
「ここだ。入ってくれ」
案内されるとたくさんの料理や飲み物、部屋も飾り付けされ、凄く歓迎されて、使用人の皆さんが頑張ってくれたのが伺える。
「皆さん、私のためにこのような準備をしていただきありがとうございますわ。」
「いえいえ。私、執事長をやらせていただいております。マルスと申します。以後お見知りおきを。
ソフィア様、ようこそノイヌーヴォ侯爵家へ。私たち使用人一同、ソフィア様が来られたことを嬉しく思っております。今後ともよろしくお願いします。後程、ソフィア様を担当する使用人をご紹介させていただきます。」
「はい。ソフィアです。こちらこそよろしくお願いしますわ。」
「折角、皆が準備したのであろう。挨拶はあとにして、歓迎会を始めようではないか。」
「かしこまりました。ドナルド様。」
「ソフィア、我らは歓迎する。今日は楽しんでくれ。使用人たちも私たちに気を遣わず楽しんでくれ。無礼講構わぬ。」
叔父様の言葉で私の歓迎会が始まりました。
とは、言っても叔父様は結婚されておりませんし、婚約者がいるわけでもありませんので、叔父様と私、あと見知らぬ男性と
使用人たちのみでそれほど多くはない人数での歓迎会となっております。
見知らぬ男性はあとで叔父様がご紹介してくれるのでしょうかね。
「ソフィア、紹介があとになったが、私の代わりに領地経営をしている代官のカインだ。」
「カイン・フォン・イノベートと申します。よろしくお願いします。ソフィア様。」
「ソフィアと申します。カイン様、こちらこそよろしくお願いしますわ。カイン様の足を引っ張らぬよう補佐を努めさせていただきますわ。」
「補佐」
カイン様は私の言葉に気になることがあったらしく、叔父様をみて問いかけてました。
「カイン、実はな。ソフィアにカインに代わり領地経営を頼んだのだが、似たようなことを今までやってきたのに、領地経営などできないと言ってな。
補佐なら何とかと言ったので、カインの補佐をすることになった。」
「そうなのですか。私より有能だと思うのですが、それでいいのですか。」
「仕方ないだろう。ソフィアが納得しないのだからな。最初は使用人としてとか言ってたのだからな。誰に似たのか頑固なのだ」
「それはまた。なんとも」
「わかりました。すぐに入れ替わるでしょうしね。」
「カインもやはりそう思うよな。」
二人で、本人を前にして、困った顔をしながら言ってくれますね。
私、多少頑固だとは自覚しておりますが、困った顔をされるほど、頑固者ではないですよ。
そのあと使用人たちの紹介をされ、私の専属執事にはマルスの息子のトリスが、専属メイドにはアリス、ミサ、ナナだと紹介された。
歓迎会も終わり、私のために用意された部屋に案内されたが、すごくセンスのいい私好みの部屋だった。
そして、明日から補佐としてしっかりやっていくことを決意し、眠りについた。
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