まだ見ぬ幸せ

紅 蓮也

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第22話 公爵家

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 私は、本日の王妃教育の内容を終えて、国王陛下をはじめとした王族の方々と叔父様と一緒にお菓子と紅茶を口にしながら、談笑していた。

 ラルフが公爵家からいなくなったのが、私の仕業だと思った元父と元母は、私が王妃教育を受けているだろうから王城にいるだろうと、ここ数日、毎日何度も王城に来ているらしい。

 貴族でも王城での役職についているわけではない元父は、約束もないのに王城内入ることは許されず、毎日追い返されている。
 貴族で、最も爵位の高い公爵家の当主が、約束なしで、王城に来るなど普通考えられないのだが……

 私がそんなことを思っていると門番の兵士の方が慌てた様子でやってきた。

「国王陛下、談笑中に失礼致します。ご報告しきことがございます。」

「構わぬ。どうした。申してみよ。」

 何事でしょうか。あの二人が何かやらかしたのでしょうかね。

「はい。本日もサイ公爵と公爵夫人が来られたのですが、帝国の貴族から買った薬の話をお二人で私たち門番の前でし始めまして……」

「帝国の貴族から薬だと!! 最近、貴族の間で広まっている麻薬のことか」

「公爵夫人が仲のいい貴族家の夫人に分けているとおっしゃっておりましたし、サイ公爵も中毒性が高いらしいことを言われていたので、可能性は高いかと思われます。」

 あの二人の頭はどうなっているのでしょうか。
 ミュゼルバ王国では、麻薬は使用、所持、売買は違法です。
 発覚し、捕まれば処刑となるので、普通なら誰にも知られてはならない事ですが、あろうことか王城の門番の前で話をするとは……

「まだ、公爵たちは、門の前にいるのか。」

「はい。ソフィア様を出せと言って今もいらっしゃいます。」

「では、ソフィア嬢はいないと伝え、帰ってもらえ。あとの事はこちらで対処する。」

「かしこまりました。失礼します。」

 兵士は退室し、戻っていきました。

「陛下、予想外でしたね。」

「そうだな。あるとすれば散財による自滅だと考えていたが、まさか麻薬とは……」
「ドナルド、二人の後をつけさせろ。おそらく公爵夫人は麻薬を貴族家の夫人に渡しに行く可能性がある。現場をおさえ、夫人を捕縛し、その後王都の公爵邸に行き、サイ公爵を捕縛せよ。」

「かしこまりました。騎士団長に伝えて参ります。。」

 叔父様は退室し、騎士団長室に向かいました。
 これでクライシス公爵家は終わりですね。ですが、レベッカは、マッカートと結婚したので免れますが、私とラルフが連座になる可能性がありますわね。
 私は、不安になった。

「どうした。ソフィア嬢。」

「はい。連座のことを考えてました。」

「不安がる必要はない。何があってもいいようにソフィア嬢とラルフは、ノイヌーヴォ侯爵家の養子にしておいたからな。養子の実家の者が罪を犯しても養子は連座を免れるからな。安心するといい。」

「陛下。ありがとうございます。」

「礼には及ばん。サイ公爵の罪によりソフィア嬢が連座になっては王国の損失ははかりしれんし、ラルフもことも色々ドナルドから聞いているからな。」

 私は安心して泣いてしまいました。

 そして、元父と元母は捕縛され、処刑されました。
 元父に麻薬を売っていたサタオール帝国の貴族家は、シュミトス子爵家というらしいのだが、ハーミッド帝国はミュゼルバ王国の敵対国なので、麻薬をミュゼルバ王国蔓延させ、ミュゼルバ王国が混乱している隙に攻め込んでくるつもりでいた可能性もあるので、国王陛下は、帝国に抗議をしたが、帝国側からは、シュミトス伯爵家は、賊に襲われ伯爵家の者は全員殺され、跡取りもおらず、伯爵家はお取り潰しになったの回答がきたらしい。
 国王陛下や叔父様の考えでは、おそらく、失敗により用済みとして始末されたのだろうとのことだ。

 クライシス領だが、ノイヌーヴォ侯爵家の領地となり、ノイヌーヴォ侯爵家は、陞爵され公爵家となった。
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