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二章 魔道学校編
第20話 お出かけの仕切り直し
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「――というわけで、わたしは悪くないんだよ!」
わたしはことのあらましをホリンくんに語った。
ちなみに現在カフェでアップルパイを食べている。財布を盗まれたというのを聞いたホリンくんがおごってくれた。おごってくれた! 大事なことです。
「なんでわざわざ冒険者ギルドのある通りを行くのか」
「だからまだ土地勘がないんだってば。ホリンくんがはぐれるのがいけないんだよ!」
「俺ははぐれたりなんかしてねー。エルが迷子になったんだ」
「誰が迷子か! ホリンくんこそ迷子だったんだろっ」
「王都で俺が迷うかよ。まったく目を離してらんねー」
呆れ気味のホリンくんだった。なんか納得いかない。
「エルがちっちぇえから探すの大変だったんだぞ」
「誰が小さいか! わたしは普通だよ。ホリンくんがでかいだけじゃん」
わたしの身長は女子の中でも平均的だ。大きすぎず小さすぎず、ベストサイズと言っても過言じゃないね。
それに対してホリンくんは大きいというか体格が良い。まともに体を鍛えてはいないであろう貴族連中と比べるとそれがよくわかる。
身長は頭一つ抜きん出ているし、肩周りだってがっちりしている。
別れる前のウィリアムくんがけっこうたくましくなっていたけれど、ホリンくんと比べると見劣りしてしまうほどだ。まあ他の貴族の男子と比べれば充分ウィリアムくんはたくましい部類に入るのだけど。
そんな男子の中でも体格に恵まれたホリンくんと、女子の平均的であろう背丈のわたしとじゃあ身長差があって当然だ。
まったく、比べないでもらいたいもんだよ。
わたしはアップルパイを口いっぱいに入れて咀嚼する。異世界にもアップルパイがあるんだね~。女になったからなのか前世の時よりもおいしく感じる。
「……女のくせに食うのが速いな」
「ん? おいしいものはすぐ食べなきゃ。じゃないと冷めちゃうよ」
「そうだな。同感だ」
そう言ってホリンくんが笑う。今笑うとこあったか?
女だからってちびちび食べなきゃいけないルールなんてないでしょうに。まあ食べるスピードなんて人それぞれなんでしょうけど。
「あー……、あと財布盗んだって奴の外見を憶えている限りでいいから教えろ」
「んー、と言われましてもあんまり憶えてないんだよね。ちょっと肩と肩がぶつかっただけって意識だったし」
小柄な男。わたしが憶えているのはそこまでだ。あんまり特徴とかなかった気がする。
そんな感じなことをホリンくんに伝えた。彼はそれに頷くだけだった。
まあ財布が戻ってくるなんて期待してない。全財産ってわけでもないから忘れることにしよう。
スリがいたりガラの悪い冒険者がいたりと王都ってのは物騒なところだ。気をつけねば。もぐもぐ。
わたしが思った以上に王都のことを知らなかったみたいで、見かねたホリンくんがいろいろと案内してくれた。田舎者ですみません。
さて、このマグニカ国の王都には出入り口の門が四つある。
それは東西南北に分かれている。ついでに冒険者ギルドも四つあり、それぞれ門とほどよく近いところにある。
わたしが見た冒険者ギルドは北門の側にあるところだった。冒険者ギルド『ノース』。まんまの名前だった。
ちなみにここでの魔道学校の数も四つ。四つ四つと四って数字が好きなんですかねー。ちょっと不吉な感じがしますよー。
王都は中央にそびえ立つ城を中心に円を描くように広がっている。やはりと言うべきか、富裕層であるほど城に近いところに住んでいるようだ。
それぞれの魔道学校は東西南北、城と門のちょうど中間に存在していた。アルバート魔道学校は北側に位置している。
あまり富裕層側に行くと高級店ばかりが並ぶので反対側を案内してもらう。
本屋や服屋。魔法付与品である魔道具なんかを売っている店なんかもあった。さすがはファンタジーと呼べる品が出てきた時はテンションが上がった。
しかし、今回はお金がないので見るだけに留めた。さすがにこれ以上おごってなんて言えないし、お金の貸し借りはしたくなかった。
くそ~、あのスリ野郎! 今度会ったら血祭に上げてやる。
いろいろと後ろ髪を引かれる思いではあったけれど、今回は見るだけで我慢するはめになった。
「そろそろ帰るか」
気づけば夕方。もう少ししたら日が暮れるだろう。
わたし達は帰路に着く。
いやー、堪能したね。今度お金を調達して魔道具を買いに行こう。あー、本も欲しいのがあったんだ。うーむ、悩ましい。
脳内で欲しい物リストに書き込んでおく。いやー、多すぎて困っちゃうね。
「今日はありがとねホリンくん」
「楽しかったか?」
「もちろんっ。いやー、いろんなお店があって目移りしちゃうよねー」
「そうか」
ん? ホリンくんの口数が少ないような。気のせいかな。
たぶん疲れちゃったんだろうね。いっぱい案内させちゃったし。わたしのテンションが上がってた分大変だったんだろう。
……わたしばっかりが楽しくてホリンくんは楽しくなかったのかもしれない。
や、やばいっ。これは失敗した!?
わたしがわたわたしているとホリンくんが口を開いた。
「悪かったな」
「へ?」
何に対しての「悪かった」なのだろうか。全然思いつかなくて首をかしげるしかない。
わかってないわたしには口を挟めない。ホリンくんの続きの言葉を待つ。
「最初にはぐれちまってよ。危険な目にも遭わせた」
わたしが冒険者連中とケンカしたのを気にしているようだった。というかずっと気にしてたのかな? そんな素振りはなかったようにみえてたのに。
わりと落ち込んでいる風だったのでわたしは胸を張って自信満々ポーズをとる。
「全然問題ナッシング! わたしの魔法の実力知ってるでしょ? その辺の輩に負けたりなんかしないよ」
これでも同級生の中じゃあ一番なのだ!
まだまだ知らない人も多いけれど、二年や三年の先輩にだって負ける気がしない。それくらいの実力があるって自負してる。
「むしろアップルパイおごってくれてありがとうね。すごくおいしかったよ」
「そうか。……また行くか?」
「うんっ」
やったぜ! また遊びに行ける口実ができた。
もしかしてわたしってリア充ライフ送ってる? 友達と遊びに行けるなんてなんて楽しいんだ!
アルバート魔道学校の門が視界に入る。
今日はおいしく晩ご飯が食べれそうだ。
「あら?」
とか思っていると、門をくぐったところで取り巻きを引きつれたコーデリアさんとばったり会った。
「ホリンさ……、ホリンさんはどこかへ出かけてらしたの?」
「ああ。こいつとちょっとな」
と、わたしを指差すホリンくん。人を指差すなっちゅーねん!
コーデリアさんの目がこっちを向く。ホリンくんがでかくてわたしに気づいていなかったようだ。
「ああ、エルさん。エルさんといっしょなら安全ですわね」
「そんなこともねえけどな」
ニヤリとした顔をするホリンくんだった。わたしが冒険者連中とケンカしたことに対する皮肉なんですかねー。
ていうかわたしがいたら安全って。まあわたしの魔法の実力を知っているからこそのセリフなんだろうけどさ。ボディーガードとしては男女逆じゃあないですかねー。
「では、わたくしはこれで。ご機嫌よう」
コーデリアさんは取り巻き連中を引きつれて去って行った。男女含めた取り巻き連中はわたしに見下した視線を送ることを忘れない。感じ悪っ。
最後にケチがついた感じがするけれど、わたしの王都での初お出かけは無事終了したのであった。
わたしはことのあらましをホリンくんに語った。
ちなみに現在カフェでアップルパイを食べている。財布を盗まれたというのを聞いたホリンくんがおごってくれた。おごってくれた! 大事なことです。
「なんでわざわざ冒険者ギルドのある通りを行くのか」
「だからまだ土地勘がないんだってば。ホリンくんがはぐれるのがいけないんだよ!」
「俺ははぐれたりなんかしてねー。エルが迷子になったんだ」
「誰が迷子か! ホリンくんこそ迷子だったんだろっ」
「王都で俺が迷うかよ。まったく目を離してらんねー」
呆れ気味のホリンくんだった。なんか納得いかない。
「エルがちっちぇえから探すの大変だったんだぞ」
「誰が小さいか! わたしは普通だよ。ホリンくんがでかいだけじゃん」
わたしの身長は女子の中でも平均的だ。大きすぎず小さすぎず、ベストサイズと言っても過言じゃないね。
それに対してホリンくんは大きいというか体格が良い。まともに体を鍛えてはいないであろう貴族連中と比べるとそれがよくわかる。
身長は頭一つ抜きん出ているし、肩周りだってがっちりしている。
別れる前のウィリアムくんがけっこうたくましくなっていたけれど、ホリンくんと比べると見劣りしてしまうほどだ。まあ他の貴族の男子と比べれば充分ウィリアムくんはたくましい部類に入るのだけど。
そんな男子の中でも体格に恵まれたホリンくんと、女子の平均的であろう背丈のわたしとじゃあ身長差があって当然だ。
まったく、比べないでもらいたいもんだよ。
わたしはアップルパイを口いっぱいに入れて咀嚼する。異世界にもアップルパイがあるんだね~。女になったからなのか前世の時よりもおいしく感じる。
「……女のくせに食うのが速いな」
「ん? おいしいものはすぐ食べなきゃ。じゃないと冷めちゃうよ」
「そうだな。同感だ」
そう言ってホリンくんが笑う。今笑うとこあったか?
女だからってちびちび食べなきゃいけないルールなんてないでしょうに。まあ食べるスピードなんて人それぞれなんでしょうけど。
「あー……、あと財布盗んだって奴の外見を憶えている限りでいいから教えろ」
「んー、と言われましてもあんまり憶えてないんだよね。ちょっと肩と肩がぶつかっただけって意識だったし」
小柄な男。わたしが憶えているのはそこまでだ。あんまり特徴とかなかった気がする。
そんな感じなことをホリンくんに伝えた。彼はそれに頷くだけだった。
まあ財布が戻ってくるなんて期待してない。全財産ってわけでもないから忘れることにしよう。
スリがいたりガラの悪い冒険者がいたりと王都ってのは物騒なところだ。気をつけねば。もぐもぐ。
わたしが思った以上に王都のことを知らなかったみたいで、見かねたホリンくんがいろいろと案内してくれた。田舎者ですみません。
さて、このマグニカ国の王都には出入り口の門が四つある。
それは東西南北に分かれている。ついでに冒険者ギルドも四つあり、それぞれ門とほどよく近いところにある。
わたしが見た冒険者ギルドは北門の側にあるところだった。冒険者ギルド『ノース』。まんまの名前だった。
ちなみにここでの魔道学校の数も四つ。四つ四つと四って数字が好きなんですかねー。ちょっと不吉な感じがしますよー。
王都は中央にそびえ立つ城を中心に円を描くように広がっている。やはりと言うべきか、富裕層であるほど城に近いところに住んでいるようだ。
それぞれの魔道学校は東西南北、城と門のちょうど中間に存在していた。アルバート魔道学校は北側に位置している。
あまり富裕層側に行くと高級店ばかりが並ぶので反対側を案内してもらう。
本屋や服屋。魔法付与品である魔道具なんかを売っている店なんかもあった。さすがはファンタジーと呼べる品が出てきた時はテンションが上がった。
しかし、今回はお金がないので見るだけに留めた。さすがにこれ以上おごってなんて言えないし、お金の貸し借りはしたくなかった。
くそ~、あのスリ野郎! 今度会ったら血祭に上げてやる。
いろいろと後ろ髪を引かれる思いではあったけれど、今回は見るだけで我慢するはめになった。
「そろそろ帰るか」
気づけば夕方。もう少ししたら日が暮れるだろう。
わたし達は帰路に着く。
いやー、堪能したね。今度お金を調達して魔道具を買いに行こう。あー、本も欲しいのがあったんだ。うーむ、悩ましい。
脳内で欲しい物リストに書き込んでおく。いやー、多すぎて困っちゃうね。
「今日はありがとねホリンくん」
「楽しかったか?」
「もちろんっ。いやー、いろんなお店があって目移りしちゃうよねー」
「そうか」
ん? ホリンくんの口数が少ないような。気のせいかな。
たぶん疲れちゃったんだろうね。いっぱい案内させちゃったし。わたしのテンションが上がってた分大変だったんだろう。
……わたしばっかりが楽しくてホリンくんは楽しくなかったのかもしれない。
や、やばいっ。これは失敗した!?
わたしがわたわたしているとホリンくんが口を開いた。
「悪かったな」
「へ?」
何に対しての「悪かった」なのだろうか。全然思いつかなくて首をかしげるしかない。
わかってないわたしには口を挟めない。ホリンくんの続きの言葉を待つ。
「最初にはぐれちまってよ。危険な目にも遭わせた」
わたしが冒険者連中とケンカしたのを気にしているようだった。というかずっと気にしてたのかな? そんな素振りはなかったようにみえてたのに。
わりと落ち込んでいる風だったのでわたしは胸を張って自信満々ポーズをとる。
「全然問題ナッシング! わたしの魔法の実力知ってるでしょ? その辺の輩に負けたりなんかしないよ」
これでも同級生の中じゃあ一番なのだ!
まだまだ知らない人も多いけれど、二年や三年の先輩にだって負ける気がしない。それくらいの実力があるって自負してる。
「むしろアップルパイおごってくれてありがとうね。すごくおいしかったよ」
「そうか。……また行くか?」
「うんっ」
やったぜ! また遊びに行ける口実ができた。
もしかしてわたしってリア充ライフ送ってる? 友達と遊びに行けるなんてなんて楽しいんだ!
アルバート魔道学校の門が視界に入る。
今日はおいしく晩ご飯が食べれそうだ。
「あら?」
とか思っていると、門をくぐったところで取り巻きを引きつれたコーデリアさんとばったり会った。
「ホリンさ……、ホリンさんはどこかへ出かけてらしたの?」
「ああ。こいつとちょっとな」
と、わたしを指差すホリンくん。人を指差すなっちゅーねん!
コーデリアさんの目がこっちを向く。ホリンくんがでかくてわたしに気づいていなかったようだ。
「ああ、エルさん。エルさんといっしょなら安全ですわね」
「そんなこともねえけどな」
ニヤリとした顔をするホリンくんだった。わたしが冒険者連中とケンカしたことに対する皮肉なんですかねー。
ていうかわたしがいたら安全って。まあわたしの魔法の実力を知っているからこそのセリフなんだろうけどさ。ボディーガードとしては男女逆じゃあないですかねー。
「では、わたくしはこれで。ご機嫌よう」
コーデリアさんは取り巻き連中を引きつれて去って行った。男女含めた取り巻き連中はわたしに見下した視線を送ることを忘れない。感じ悪っ。
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