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瞳子ちゃんの班長記録(小学六年生)
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「みんな揃ったわねー? 列を作って学校に行くわよ」
男の子も女の子も「はーい!」と元気よく返事してくれた。
六年生になったあたしは集団登校の班長になった。
あたし以外にも六年生の子がいるんだからと断ろうとしたのだけれど、「木之下さんが一番しっかりしているから」と先生に言われてしまうとわがままなことは口にできなかった。
幸いにも、同じ班の子達はみんな良い子ばかりであまり困らされることはなかった。他のところはいたずらっ子がいるところもあるし、こっそり安堵していたりする。
「瞳子ちゃんが班長ならみんな安心だね」
あたしが集団登校の班長になると聞いて、俊成はそんなことを言った。自然に出た言葉からは信頼されているのが伝わってきて、がんばろうって、そう思えたの。
「とーこおねえちゃん」
「なあに? どうしたのかしら?」
今年入学したばかりの女の子があたしのスカートをくいくいと引いていた。その行動に少しだけ困ってしまうけれど、向けてくれた笑顔にどうでもいいかと目線を合わせる。
「あたし、とーこおねえちゃんとお手てつなぎたい」
「っ!? も、もちろんいいわよ」
伸ばされた手は幼くて、そんな手を見てしまったら、なんだか胸のあたりがもどかしいような変な感覚に襲われた。
六年生と一年生。最上級生と新入生。昔はあたしもこうやって見上げる立場だったのに、今はお姉さんの立場なのよね。
班長の責任として、あたしがこの子の面倒を見なきゃいけないわ。あたしが低学年の頃に、高学年のお兄さんやお姉さんにしてもらったように。俊成が優しくしてくれたように……。
手を差し出すと、小さな手が離れないようにとぎゅっと握ってくる。
「……っ」
この子を危険から守りたい。あたしは湧き上がる使命感を胸に抱きながら、通学路を歩き始めた。
自動車や自転車が近くを通る時は班のみんなに声かけをする。低学年の子達が溝に落ちたりしないように注意を促す。
もうすっかりと慣れた道。でも、新入生の子からすれば目新しい道だ。それを証拠にキョロキョロと頭を動かして小さなことにも興味を示している。危なっかしくて目を離せられないわね。
初めてのことばかりで登校するだけで楽しい。学校に到着してからも、授業や休み時間に友達と遊んだりするのだろう。
そうして、いつしか学年が上がり、今のあたしみたいに新入生の面倒を見るようになるのだろう。
そう考えると、なんだか不思議よね。
「とーこおねえちゃん。右と左、どっちだっけ?」
「学校はこの分かれ道を右に進むのよ」
「はーい」
まずは、通学路をしっかり覚えるところからね。
学校が近づいてくると、他にも同じように班で登校している集団が増えてきた。
「俊成と葵の班……」
二人も列を作って集団登校をしている。低学年の子達を始めとしてちゃんとまとめているみたい。
最初の頃は俊成と葵が手をつないで歩いているだけで頭に血が上っていたのよね。集団登校しているのに、一人で勝手に列から抜け出して二人のところに行ってたっけ。……その時の班長には本当に迷惑をかけていたわ。ごめんなさい。
「もうすぐ学校だね」
「そうね。でもよそ見していたら転んじゃうんだから。ちゃんと前を見て歩きなさい」
「転ばないもーん」
あたしは小さな手をしっかりと握る。弱いけれど、力いっぱい握り返してくれる感触に自分の頬が緩むのがわかる。
あたしは班長。学校に辿り着くまで、あたしは班長としての責務を果たすのだ。
男の子も女の子も「はーい!」と元気よく返事してくれた。
六年生になったあたしは集団登校の班長になった。
あたし以外にも六年生の子がいるんだからと断ろうとしたのだけれど、「木之下さんが一番しっかりしているから」と先生に言われてしまうとわがままなことは口にできなかった。
幸いにも、同じ班の子達はみんな良い子ばかりであまり困らされることはなかった。他のところはいたずらっ子がいるところもあるし、こっそり安堵していたりする。
「瞳子ちゃんが班長ならみんな安心だね」
あたしが集団登校の班長になると聞いて、俊成はそんなことを言った。自然に出た言葉からは信頼されているのが伝わってきて、がんばろうって、そう思えたの。
「とーこおねえちゃん」
「なあに? どうしたのかしら?」
今年入学したばかりの女の子があたしのスカートをくいくいと引いていた。その行動に少しだけ困ってしまうけれど、向けてくれた笑顔にどうでもいいかと目線を合わせる。
「あたし、とーこおねえちゃんとお手てつなぎたい」
「っ!? も、もちろんいいわよ」
伸ばされた手は幼くて、そんな手を見てしまったら、なんだか胸のあたりがもどかしいような変な感覚に襲われた。
六年生と一年生。最上級生と新入生。昔はあたしもこうやって見上げる立場だったのに、今はお姉さんの立場なのよね。
班長の責任として、あたしがこの子の面倒を見なきゃいけないわ。あたしが低学年の頃に、高学年のお兄さんやお姉さんにしてもらったように。俊成が優しくしてくれたように……。
手を差し出すと、小さな手が離れないようにとぎゅっと握ってくる。
「……っ」
この子を危険から守りたい。あたしは湧き上がる使命感を胸に抱きながら、通学路を歩き始めた。
自動車や自転車が近くを通る時は班のみんなに声かけをする。低学年の子達が溝に落ちたりしないように注意を促す。
もうすっかりと慣れた道。でも、新入生の子からすれば目新しい道だ。それを証拠にキョロキョロと頭を動かして小さなことにも興味を示している。危なっかしくて目を離せられないわね。
初めてのことばかりで登校するだけで楽しい。学校に到着してからも、授業や休み時間に友達と遊んだりするのだろう。
そうして、いつしか学年が上がり、今のあたしみたいに新入生の面倒を見るようになるのだろう。
そう考えると、なんだか不思議よね。
「とーこおねえちゃん。右と左、どっちだっけ?」
「学校はこの分かれ道を右に進むのよ」
「はーい」
まずは、通学路をしっかり覚えるところからね。
学校が近づいてくると、他にも同じように班で登校している集団が増えてきた。
「俊成と葵の班……」
二人も列を作って集団登校をしている。低学年の子達を始めとしてちゃんとまとめているみたい。
最初の頃は俊成と葵が手をつないで歩いているだけで頭に血が上っていたのよね。集団登校しているのに、一人で勝手に列から抜け出して二人のところに行ってたっけ。……その時の班長には本当に迷惑をかけていたわ。ごめんなさい。
「もうすぐ学校だね」
「そうね。でもよそ見していたら転んじゃうんだから。ちゃんと前を見て歩きなさい」
「転ばないもーん」
あたしは小さな手をしっかりと握る。弱いけれど、力いっぱい握り返してくれる感触に自分の頬が緩むのがわかる。
あたしは班長。学校に辿り着くまで、あたしは班長としての責務を果たすのだ。
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