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サンタさんはいるんだよ(小学五年生)
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「お前まだサンタさんなんて信じてんのかよ。ダッセー」
今年もこの時期がきてしまった。
十二月になれば自然と多くなる話題。そう、クリスマスの時期だ。
年下の男の子の高い声が響く。「ダッセー」なんて言っているけれど、その声色からはウキウキした気持ちが込められていた。
みんなクリスマスが待ち遠しいのだ。私だってその一人。
私とトシくんと瞳子ちゃんの家族が集まってやるクリスマス会。今年は私の家ですることになっている。
いつも楽しいクリスマス会。もちろん今年も楽しみにしている。
「ダメだよ」
「え?」
「サンタさんがいないだなんて、そんな大きい声で言っちゃダメ」
私は自分よりも年下の男の子に向き合っていた。突然声をかけたからか、彼は顔を赤くして固まっている。
その男の子はちょっとの間だけ私を見つめていたけれど、目を逸らすと唇を尖らせる。
「だって本当のことじゃん」
「そうだね」
私が頷くと男の子は目を丸くした。まさか肯定してもらえるとは思ってなかったみたい。
「でもね、わかっていても口に出すものじゃないんだよ。口に出しているうちはまだまだ子供。大人は簡単には言わないの。君はどっちかな?」
にっこり笑いながらそう言うと、男の子は顔をさらに赤くして「俺は大人だ」と力強く頷いてくれた。わかってくれたみたい。これならもう大きな声でサンタさんのことを言わないだろう。
「お待たせ葵。あれ、どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
ちょうど男の子と別れたところで瞳子ちゃんがやってきた。
よかった。瞳子ちゃんの耳には入らなかったみたい。ギリギリセーフだね。
もうすぐクリスマス。私と瞳子ちゃんは家族といっしょにトシくんのクリスマスプレゼントを選びに来たのだ。
「でも、俊成がサンタさんにもらうプレゼントと被ったらどうしようかしら……」
そう、そうなのだ。瞳子ちゃんは小学五年生になった今でもサンタさんの存在を信じている。
いつも大人っぽくて、かっこ良い彼女だけど、サンタさんについてだけはとても純粋な面を見せてくれる。
そんな彼女を守りたい……。私の心の内では強い火が灯っていた。
「大丈夫だよ瞳子ちゃん。絶対に被らせないようにするから!」
瞳子ちゃんの不安を取り払うように、自信を持って握り拳を作る。
絶対にトシくんへのプレゼントは被らせない。だってトシくんのお母さんから何を用意するかちゃんと聞いてきたのだから。
「すごい自信なのね葵」
ふふっと大人っぽく笑う瞳子ちゃん。しかしその心は純粋無垢だった。
サンタさんを信じている瞳子ちゃん。彼女がそうやって信じている限り、サンタさんは実在しているのだ。
たとえいつか真実に辿り着いてしまうとしても、それまではこのかわいい幼馴染を守り抜くつもりだ。
「瞳子ちゃん」
「何よ葵? 良い物でも見つかった?」
「瞳子ちゃん、かわいいね」
「へ? な、何よいきなりっ!?」
お店にはクリスマスソングが流れている。シャンシャンシャンと鈴の音が気持ちを楽しくさせてくれる。
サンタさんの存在が、私を少しだけ大人にしてくれた。
今年もこの時期がきてしまった。
十二月になれば自然と多くなる話題。そう、クリスマスの時期だ。
年下の男の子の高い声が響く。「ダッセー」なんて言っているけれど、その声色からはウキウキした気持ちが込められていた。
みんなクリスマスが待ち遠しいのだ。私だってその一人。
私とトシくんと瞳子ちゃんの家族が集まってやるクリスマス会。今年は私の家ですることになっている。
いつも楽しいクリスマス会。もちろん今年も楽しみにしている。
「ダメだよ」
「え?」
「サンタさんがいないだなんて、そんな大きい声で言っちゃダメ」
私は自分よりも年下の男の子に向き合っていた。突然声をかけたからか、彼は顔を赤くして固まっている。
その男の子はちょっとの間だけ私を見つめていたけれど、目を逸らすと唇を尖らせる。
「だって本当のことじゃん」
「そうだね」
私が頷くと男の子は目を丸くした。まさか肯定してもらえるとは思ってなかったみたい。
「でもね、わかっていても口に出すものじゃないんだよ。口に出しているうちはまだまだ子供。大人は簡単には言わないの。君はどっちかな?」
にっこり笑いながらそう言うと、男の子は顔をさらに赤くして「俺は大人だ」と力強く頷いてくれた。わかってくれたみたい。これならもう大きな声でサンタさんのことを言わないだろう。
「お待たせ葵。あれ、どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
ちょうど男の子と別れたところで瞳子ちゃんがやってきた。
よかった。瞳子ちゃんの耳には入らなかったみたい。ギリギリセーフだね。
もうすぐクリスマス。私と瞳子ちゃんは家族といっしょにトシくんのクリスマスプレゼントを選びに来たのだ。
「でも、俊成がサンタさんにもらうプレゼントと被ったらどうしようかしら……」
そう、そうなのだ。瞳子ちゃんは小学五年生になった今でもサンタさんの存在を信じている。
いつも大人っぽくて、かっこ良い彼女だけど、サンタさんについてだけはとても純粋な面を見せてくれる。
そんな彼女を守りたい……。私の心の内では強い火が灯っていた。
「大丈夫だよ瞳子ちゃん。絶対に被らせないようにするから!」
瞳子ちゃんの不安を取り払うように、自信を持って握り拳を作る。
絶対にトシくんへのプレゼントは被らせない。だってトシくんのお母さんから何を用意するかちゃんと聞いてきたのだから。
「すごい自信なのね葵」
ふふっと大人っぽく笑う瞳子ちゃん。しかしその心は純粋無垢だった。
サンタさんを信じている瞳子ちゃん。彼女がそうやって信じている限り、サンタさんは実在しているのだ。
たとえいつか真実に辿り着いてしまうとしても、それまではこのかわいい幼馴染を守り抜くつもりだ。
「瞳子ちゃん」
「何よ葵? 良い物でも見つかった?」
「瞳子ちゃん、かわいいね」
「へ? な、何よいきなりっ!?」
お店にはクリスマスソングが流れている。シャンシャンシャンと鈴の音が気持ちを楽しくさせてくれる。
サンタさんの存在が、私を少しだけ大人にしてくれた。
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