週末は別の人の彼女

扇野那由多

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自分の親を殺せますか

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私の母は30代で障害者になった。
まだ10代だった私は
まだ母親の有り難さを知らなかった。
当たり前が当たり前ではなくなった日々。
現実を受け入れられず
一切の介護を断った。
父は介護鬱になり
母が倒れて数年後、仕事を辞めた。 

当時お付き合いしていた彼がいた。
心の拠り所だった。
ある日突然父は包丁を持ち出しながらこう言った。
「お前だけずるい」
少し経ってから彼とは別れた。
別れさせられた。

それから私は家族のために働いた。
10年間、
殆どのお給料を家に入れた。 
親を殺せば楽になると思い続けながら。

でも出来なかった。
父親に洗脳されていたあの頃。
否定されてばかりのあの頃。
言うことを聞くしかなかった。
結局親の為に家も建てた。
老後は介護してくれだって。
私は親の為に生きてるのか。
あれから5年経っても
自分ばっかり殺して
まだ親を殺せてないのかよ、私は。
あの時、介護を断った私が悪いのか。
自分の為に生きていきたい。
自由に生きていきたい。
今思えばこの気持ちが、
私を不倫に走らせる第一歩だった。
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