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一日目
【人狼ゲーム】の始まり②
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――人狼ゲーム。
よく高校時代に友達と遊んだっけ。徹は「興味ない」と言って参加してくれなかったけれど。
小説とか舞台でも取り上げられているから、結構メジャーなゲームだと俺は思うが、どうやら長根、江頭あたりのおじさんチームはピンときていないらしい。
「じんろう?なんだ、そのゲームは?」
「これよりご説明いたします。」
最上さんが手に持っていたリモコンを操作すると、部屋に置かれていたモニター画面が起動した。
そこに、まずは白い背景に黒の文字で【人狼ゲーム】と表示される。
「【人狼ゲーム】とは、プレイヤーに村人側と人狼側に分かれていただき、互いの勝利条件を目指して騙し合う、推理ゲームでございます。」
最上さんがリモコンを操作すると、【人狼ゲーム】の文字が消え、代わりにかなりデフォルメされた人間と狼のイラストが映った。
「村人側の勝利条件は人狼を特定し、排除することです。それに対して、人狼側の勝利条件は、村人を襲撃し、自分たちの数より村人の数を減らすことです。――本来の【人狼ゲーム】の場合は。」
画面がまた変わり、今度は13人の人間のイラストが映し出された。
「私たちがこれから行う【人狼ゲーム】は少々ルールが異なります。」
13人のうちの一人がくるりと人狼へと変貌する。
「まず、村人の中に【人狼】が一人紛れ込んでいます。【人狼】は夜になると、村人を一人選んで襲撃することができます。しかし、襲撃された村人が死ぬことはありません。その村人は人狼側に寝返ることになります。」
夜中に人狼に襲撃された村人の一人が、くるりと人狼と似た姿に変わる。
「ゲームが進めば進むほど、村人側が何もしなければこうして、人狼側の人間が増えていくわけです。」
くるり、くるり。夜が来る度に村人の数は減っていき、最終的に村人皆が人狼に変わってしまった。
「本ゲームにおける人狼側の勝利条件は、村人を全員人狼側に寝返らせることです。」
「それって、鬼ごっこのバリエーションの一つの増え鬼と同じじゃない。人狼側に都合が良すぎるわ。」
「藤山様がおっしゃる通りです。そこで、村人側には特別な役職を準備いたしました。」
最初の村人が13人いる画面に戻る。
最上さんがリモコンのボタンを押すと、村人のうちの一人が真っ白なローブを身に纏った人間へと姿を変えた。
「【聖職者】です。この役職を割り当てた人は、人狼側の人間を村人側へ引き戻すことができます。」
「村人側の勝利条件は何ですか?」
御堂さんが問いかける。
「【人狼】を見つけ、投票によって【人狼】を村から追い出すことです。」
「つまり、今から行う【人狼ゲーム】は、【人狼】と【聖職者】で、村人を奪い合うゲームであるともいえますね。」
「御堂様の解釈で、問題ございません。」
【人狼】が村人を自分のものにするのが先か、それとも【聖職者】が村人を守りつつ【人狼】を特定するのが先か――。
待て。
さっき最上さんは、“投票によって【人狼】を村から追い出す”と言っていたな。
もし【人狼】ではない村人が選ばれたらどうなるんだ?
そもそも、村から追い出される状況って、ゲームに参加できなくなるってことか?
まさか屋敷自体から強制的に追い出される?それならそれで、俺と学斗は全然構いやしないけど。
「さて、【人狼ゲーム】には、昼のフェーズと夜のフェーズがございます。昼のフェーズに行えるのは、【投票】です。【人狼】だと疑わしい人物に投票し、その場にいる人数の過半数以上の票が集まった人を追放することができます。」
これは本来の【人狼ゲーム】でもよくあるルールだ。
「夜のフェーズでは、割り当てられた役職によって様々な行動を行うことができます。例えば【人狼】の場合は、村人を一人寝返らせることが可能です。【聖職者】の場合は、人狼側の人間を一人村人に戻すことができます。他にも【狩人】や【占い師】などの役職もございます。」
「そういうところは普通の【人狼ゲーム】のままなのね。」
「左様にございます、藤山様。これらの役職は自動的に振られます。皆様、各自のスマートフォンをご覧ください。」
スマートフォン!何でその存在を今の今まで忘れていたのだろう!
俺はポケットに入っていたスマートフォンを取り出した。
これで外部と連絡を取って、迎えに来てもらえば良いじゃないか!
そう思って画面を見たら、右上に『圏外』と表示されていた。
「け、『圏外』!?」
「嘘でしょ!?」
俺と同じことを考えていたのか、『圏外』であることに皆驚いて、何度スマートフォンの画面を見直したり、タップしたりしていたが、状況は変わらなかった。
ただし、御堂さんと新田さんだけはある程度予想していたのか、特に驚いた様子はない。
「皆様のスマートフォンに少々細工を施させていただいております。『圏外』にしているため、外部と連絡を取ることはできません。また、外部と通信を行うあらゆる電波も遮断させていただいております。」
淡々と述べる最上さんに、俺はようやく、とんでもない事態に巻き込まれたことが実感してきた。
「皆様のスマートフォンに勝手ではございますが、本ゲームで使用するアプリをインストールさせていただきました。このゲームが終了した際に自動的に消去されますので、ご安心ください。」
「ご安心って……!」
「役職は自動的に振られます。それぞれの役職をご確認いただけるのは、本日23時になってからです。詳細はアプリでご確認いただけます。」
色んなアプリの中に見慣れないアイコンがあると思ったら、どうやら勝手にインストールされた【人狼ゲーム】専用アプリだったらしい。
そのアプリを起動させてみると、メニュー画面に『人狼ゲームのルール』『役職』『特殊カード』の3つのアイコンが並んでいた。
『特殊カード』?何だそれ?
だが、俺がそのことを聞く前に、高橋さんが突然言い放った。
よく高校時代に友達と遊んだっけ。徹は「興味ない」と言って参加してくれなかったけれど。
小説とか舞台でも取り上げられているから、結構メジャーなゲームだと俺は思うが、どうやら長根、江頭あたりのおじさんチームはピンときていないらしい。
「じんろう?なんだ、そのゲームは?」
「これよりご説明いたします。」
最上さんが手に持っていたリモコンを操作すると、部屋に置かれていたモニター画面が起動した。
そこに、まずは白い背景に黒の文字で【人狼ゲーム】と表示される。
「【人狼ゲーム】とは、プレイヤーに村人側と人狼側に分かれていただき、互いの勝利条件を目指して騙し合う、推理ゲームでございます。」
最上さんがリモコンを操作すると、【人狼ゲーム】の文字が消え、代わりにかなりデフォルメされた人間と狼のイラストが映った。
「村人側の勝利条件は人狼を特定し、排除することです。それに対して、人狼側の勝利条件は、村人を襲撃し、自分たちの数より村人の数を減らすことです。――本来の【人狼ゲーム】の場合は。」
画面がまた変わり、今度は13人の人間のイラストが映し出された。
「私たちがこれから行う【人狼ゲーム】は少々ルールが異なります。」
13人のうちの一人がくるりと人狼へと変貌する。
「まず、村人の中に【人狼】が一人紛れ込んでいます。【人狼】は夜になると、村人を一人選んで襲撃することができます。しかし、襲撃された村人が死ぬことはありません。その村人は人狼側に寝返ることになります。」
夜中に人狼に襲撃された村人の一人が、くるりと人狼と似た姿に変わる。
「ゲームが進めば進むほど、村人側が何もしなければこうして、人狼側の人間が増えていくわけです。」
くるり、くるり。夜が来る度に村人の数は減っていき、最終的に村人皆が人狼に変わってしまった。
「本ゲームにおける人狼側の勝利条件は、村人を全員人狼側に寝返らせることです。」
「それって、鬼ごっこのバリエーションの一つの増え鬼と同じじゃない。人狼側に都合が良すぎるわ。」
「藤山様がおっしゃる通りです。そこで、村人側には特別な役職を準備いたしました。」
最初の村人が13人いる画面に戻る。
最上さんがリモコンのボタンを押すと、村人のうちの一人が真っ白なローブを身に纏った人間へと姿を変えた。
「【聖職者】です。この役職を割り当てた人は、人狼側の人間を村人側へ引き戻すことができます。」
「村人側の勝利条件は何ですか?」
御堂さんが問いかける。
「【人狼】を見つけ、投票によって【人狼】を村から追い出すことです。」
「つまり、今から行う【人狼ゲーム】は、【人狼】と【聖職者】で、村人を奪い合うゲームであるともいえますね。」
「御堂様の解釈で、問題ございません。」
【人狼】が村人を自分のものにするのが先か、それとも【聖職者】が村人を守りつつ【人狼】を特定するのが先か――。
待て。
さっき最上さんは、“投票によって【人狼】を村から追い出す”と言っていたな。
もし【人狼】ではない村人が選ばれたらどうなるんだ?
そもそも、村から追い出される状況って、ゲームに参加できなくなるってことか?
まさか屋敷自体から強制的に追い出される?それならそれで、俺と学斗は全然構いやしないけど。
「さて、【人狼ゲーム】には、昼のフェーズと夜のフェーズがございます。昼のフェーズに行えるのは、【投票】です。【人狼】だと疑わしい人物に投票し、その場にいる人数の過半数以上の票が集まった人を追放することができます。」
これは本来の【人狼ゲーム】でもよくあるルールだ。
「夜のフェーズでは、割り当てられた役職によって様々な行動を行うことができます。例えば【人狼】の場合は、村人を一人寝返らせることが可能です。【聖職者】の場合は、人狼側の人間を一人村人に戻すことができます。他にも【狩人】や【占い師】などの役職もございます。」
「そういうところは普通の【人狼ゲーム】のままなのね。」
「左様にございます、藤山様。これらの役職は自動的に振られます。皆様、各自のスマートフォンをご覧ください。」
スマートフォン!何でその存在を今の今まで忘れていたのだろう!
俺はポケットに入っていたスマートフォンを取り出した。
これで外部と連絡を取って、迎えに来てもらえば良いじゃないか!
そう思って画面を見たら、右上に『圏外』と表示されていた。
「け、『圏外』!?」
「嘘でしょ!?」
俺と同じことを考えていたのか、『圏外』であることに皆驚いて、何度スマートフォンの画面を見直したり、タップしたりしていたが、状況は変わらなかった。
ただし、御堂さんと新田さんだけはある程度予想していたのか、特に驚いた様子はない。
「皆様のスマートフォンに少々細工を施させていただいております。『圏外』にしているため、外部と連絡を取ることはできません。また、外部と通信を行うあらゆる電波も遮断させていただいております。」
淡々と述べる最上さんに、俺はようやく、とんでもない事態に巻き込まれたことが実感してきた。
「皆様のスマートフォンに勝手ではございますが、本ゲームで使用するアプリをインストールさせていただきました。このゲームが終了した際に自動的に消去されますので、ご安心ください。」
「ご安心って……!」
「役職は自動的に振られます。それぞれの役職をご確認いただけるのは、本日23時になってからです。詳細はアプリでご確認いただけます。」
色んなアプリの中に見慣れないアイコンがあると思ったら、どうやら勝手にインストールされた【人狼ゲーム】専用アプリだったらしい。
そのアプリを起動させてみると、メニュー画面に『人狼ゲームのルール』『役職』『特殊カード』の3つのアイコンが並んでいた。
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だが、俺がそのことを聞く前に、高橋さんが突然言い放った。
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