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一日目
【人狼ゲーム】の始まり④
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「お、俺はここを出ていくぞ!こんな!こんなゲームなんか、参加できっかぁ!」
「ま、待ってください、社長~~~っ!」
扉から長根と、長根を追う江頭が飛び出していく。外に出るために玄関へ行くつもりなのだろう。
俺も部屋から出ようとすると、背中に引っ付く学斗が止めた。
「どどど、どうするんだよ!?こ、こんなゲーム、参加するのか!?」
「とりあえず、部屋出ない?俺、もう眠いし。」
「は、はあああ!?何言ってんだ、アキラ!むしろ皆でまとまって行動した方がいいだろ!」
それは無理だろう。現に長根と江頭はさっさと出ていった。
「私も失礼するわ。」
そして、今、藤山さんが俺の横を通り過ぎて行ったし。
「ほら。どんどんいなくなるよ?」
「ほ、他の大人たちはいいんだよ!それより、柳生教授や拓兄と一緒にいた方が安全だろ!ね、ねぇ、ももも、最上さん!夜はどこで寝ても、い、いいんですよね!?」
「はい。しかし、どこで寝たとしても、仮に人狼に襲われた場合は特殊な条件を除いて防ぐことはできません。」
「……暴れたり、大声を出したりすれば、襲われないとか?」
「力技で人狼から逃げることは不可能でございます。」
つまり、いくら人数で自衛したところで意味はないってことか。
「どこにいても同じなら、一度部屋に戻ろう。俺たちの部屋の横は拓兄や教授の部屋だし、何かあったら叫んで助けを求めればいいだけの話だろ。」
「た、確かにそうだけど……。」
学斗はまだ納得いかないらしい。
だが、俺は正直、こんな事態になっても、この場にいるのが辛いと感じてしまう。
「柳生教授はまだこの部屋に残りますよね。」
「あぁ。あの状態の清水さんを残してはいけないから、ね。」
清水先輩は拓兄にしがみついて、わんわん泣いていた。
拓兄はそんな清水先輩を抱きしめ、背中をさすりながら、耳元で何かを囁いている。
――あれは、恋人同士の距離だ。
「……行こうか、学斗。」
俺の視線の先に気づいた学斗は、チラチラと俺と拓兄を交互に見た後、「お、おう……。」と頷いた。
廊下に出ると、今自分たちがいた部屋は一階に位置していることが分かった。廊下もエントランスホールも煌々として明るい。
俺たちが2階に上がるための階段に向かおうとした時、「なぜ扉も窓も開かないんだ!」と喚く長根の声が響いてきた。
「なぁ。」
「ん?」
「何で皆といることを選ばなかったんだよ。」
俺のあとから付いてくる学斗はやはり不服だったのか、俯きがちにそう口にした。
「高橋さんの件から、結局俺たちは強制的に初瀬山勇次郎が仕組んだ【人狼ゲーム】に参加せざるを得ない状況になった。ここまではいいな?」
「あ、あぁ。」
「最上さんは、とりあえず命の保証はしてくれた。でも、他の参加者たちはどうだろう。」
仮に皆で一緒に一晩過ごすこととする。
その際、23時に示された役割を皆が一斉に開示されたらどうなるか。
相手の役割を確認するため、無理矢理スマホを奪いにくる人がいるかも知れない。
【人狼】に割り当てられた人は、混乱したプレイヤーによって襲われる可能性もある。
逆に【人狼】からしてみれば、早めに【聖職者】を排除したほうが都合がいいだろう。
学斗にそう説明すると、さっきのせいで血の気が引いた顔が、さらに真っ青になっていった。
「正直、今晩はさっさと部屋に戻って、鍵をかけていた方が安全だと俺は思うね。」
「早く戻ろう!すぐ戻ろう!」
学斗は血相を変えて、2階の階段を駆け上がって行った。
部屋に着くと、学斗は勢いよくドアを閉め、鍵をかけた。さらに、ドアチェーンも付けている。俺も一応、窓の鍵を確認しておいた。
あらゆる鍵の施錠を確認した学斗は、ようやくそこで安心したのか、ベッドにダイブした。
「こ、これで、大丈夫だな!?」
「まぁ、【人狼】以外の人間は入って来られないだろ。」
「くぅー!何で安心させてくれねぇのかな!?お前は!」
「こればっかりは、なるようになるしかないからな。」
部屋の中にテレビはないから、外の情報も入手できない。本当に通信を遮断して、最上さんは俺たちを【人狼ゲーム】に参加させたいようだ。
さて、気づいたら、役職が割り当てられる23時まであと数分。
時間は迫ってきていた。
俺はアプリを起動させる。
【役割のお知らせ】
ポップアップ画面が現れた。
【八城アキラ様の役割は――。】
「あ、俺、【村人】だ。ほら。アキラは?何だった?特殊な役職、振られてた?」
【人狼】ではなかったことにほっとしたのだろう。
学斗は自分のスマホ画面を俺に向け、どこか興奮気味に尋ねてきた。
「あぁ……。そう、だな……。」
「ん?どうした?アキラ。」
学斗が俺のスマートフォン画面を見ようと、寄ってきた。
俺の肩に自分の顎をのせ、画面を覗く。
そして、息を呑む音が聞こえた。
「え?アキラ?これって……。」
「悪いな、学斗。」
俺――【人狼】だわ。
「ま、待ってください、社長~~~っ!」
扉から長根と、長根を追う江頭が飛び出していく。外に出るために玄関へ行くつもりなのだろう。
俺も部屋から出ようとすると、背中に引っ付く学斗が止めた。
「どどど、どうするんだよ!?こ、こんなゲーム、参加するのか!?」
「とりあえず、部屋出ない?俺、もう眠いし。」
「は、はあああ!?何言ってんだ、アキラ!むしろ皆でまとまって行動した方がいいだろ!」
それは無理だろう。現に長根と江頭はさっさと出ていった。
「私も失礼するわ。」
そして、今、藤山さんが俺の横を通り過ぎて行ったし。
「ほら。どんどんいなくなるよ?」
「ほ、他の大人たちはいいんだよ!それより、柳生教授や拓兄と一緒にいた方が安全だろ!ね、ねぇ、ももも、最上さん!夜はどこで寝ても、い、いいんですよね!?」
「はい。しかし、どこで寝たとしても、仮に人狼に襲われた場合は特殊な条件を除いて防ぐことはできません。」
「……暴れたり、大声を出したりすれば、襲われないとか?」
「力技で人狼から逃げることは不可能でございます。」
つまり、いくら人数で自衛したところで意味はないってことか。
「どこにいても同じなら、一度部屋に戻ろう。俺たちの部屋の横は拓兄や教授の部屋だし、何かあったら叫んで助けを求めればいいだけの話だろ。」
「た、確かにそうだけど……。」
学斗はまだ納得いかないらしい。
だが、俺は正直、こんな事態になっても、この場にいるのが辛いと感じてしまう。
「柳生教授はまだこの部屋に残りますよね。」
「あぁ。あの状態の清水さんを残してはいけないから、ね。」
清水先輩は拓兄にしがみついて、わんわん泣いていた。
拓兄はそんな清水先輩を抱きしめ、背中をさすりながら、耳元で何かを囁いている。
――あれは、恋人同士の距離だ。
「……行こうか、学斗。」
俺の視線の先に気づいた学斗は、チラチラと俺と拓兄を交互に見た後、「お、おう……。」と頷いた。
廊下に出ると、今自分たちがいた部屋は一階に位置していることが分かった。廊下もエントランスホールも煌々として明るい。
俺たちが2階に上がるための階段に向かおうとした時、「なぜ扉も窓も開かないんだ!」と喚く長根の声が響いてきた。
「なぁ。」
「ん?」
「何で皆といることを選ばなかったんだよ。」
俺のあとから付いてくる学斗はやはり不服だったのか、俯きがちにそう口にした。
「高橋さんの件から、結局俺たちは強制的に初瀬山勇次郎が仕組んだ【人狼ゲーム】に参加せざるを得ない状況になった。ここまではいいな?」
「あ、あぁ。」
「最上さんは、とりあえず命の保証はしてくれた。でも、他の参加者たちはどうだろう。」
仮に皆で一緒に一晩過ごすこととする。
その際、23時に示された役割を皆が一斉に開示されたらどうなるか。
相手の役割を確認するため、無理矢理スマホを奪いにくる人がいるかも知れない。
【人狼】に割り当てられた人は、混乱したプレイヤーによって襲われる可能性もある。
逆に【人狼】からしてみれば、早めに【聖職者】を排除したほうが都合がいいだろう。
学斗にそう説明すると、さっきのせいで血の気が引いた顔が、さらに真っ青になっていった。
「正直、今晩はさっさと部屋に戻って、鍵をかけていた方が安全だと俺は思うね。」
「早く戻ろう!すぐ戻ろう!」
学斗は血相を変えて、2階の階段を駆け上がって行った。
部屋に着くと、学斗は勢いよくドアを閉め、鍵をかけた。さらに、ドアチェーンも付けている。俺も一応、窓の鍵を確認しておいた。
あらゆる鍵の施錠を確認した学斗は、ようやくそこで安心したのか、ベッドにダイブした。
「こ、これで、大丈夫だな!?」
「まぁ、【人狼】以外の人間は入って来られないだろ。」
「くぅー!何で安心させてくれねぇのかな!?お前は!」
「こればっかりは、なるようになるしかないからな。」
部屋の中にテレビはないから、外の情報も入手できない。本当に通信を遮断して、最上さんは俺たちを【人狼ゲーム】に参加させたいようだ。
さて、気づいたら、役職が割り当てられる23時まであと数分。
時間は迫ってきていた。
俺はアプリを起動させる。
【役割のお知らせ】
ポップアップ画面が現れた。
【八城アキラ様の役割は――。】
「あ、俺、【村人】だ。ほら。アキラは?何だった?特殊な役職、振られてた?」
【人狼】ではなかったことにほっとしたのだろう。
学斗は自分のスマホ画面を俺に向け、どこか興奮気味に尋ねてきた。
「あぁ……。そう、だな……。」
「ん?どうした?アキラ。」
学斗が俺のスマートフォン画面を見ようと、寄ってきた。
俺の肩に自分の顎をのせ、画面を覗く。
そして、息を呑む音が聞こえた。
「え?アキラ?これって……。」
「悪いな、学斗。」
俺――【人狼】だわ。
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