42 / 153
ごひゃくえん。
しおりを挟む凄く悪い言い方をすれば、メイド喫茶とはメイドさんが愛想を振り撒く代わりに、その対価としてお客さんから程々にぼったくるお店である。
うん、悪く言えばだよ? サービスの内容によって料金が嵩むのは当たり前の事なんだし。
もちろん客側もそれを理解した上で楽しむ場所であり、メイド喫茶とは相互理解で成り立っている。
いや、普通の料金で楽しめる場所も普通にあるかも知れないけど、それだとメイドさん達のお給料と業務内容を考えると、普通の飲食店でバイトした方が楽って結論になる。だから多少高くても仕方ないのだ。
それで、だから、本当なら幼女二人だけで訪れる場所では無いんだよね。メイド喫茶って。
それでも来店してしまった私達。『指名したメイドさんとジャンケンなどの簡単なゲームをするだけでワンコイン以上がバンバン吹っ飛んで行く』サービスを幼女に説明するのは、かなり酷だと思う。
真緒は見るからに純真な可愛い女の子なので、メイドさんとジャンケンをする代わりに五百円かかりますとか言われても、「???」ってなるだろうし、メイドさんも困るだろう。私も困る。
「真緒。このメイドさんゲームは大きなお兄さんの為のゲームみたいだよ」
「あ、そっ、そうですね! こちらは大きなご主人様がお喜びになる物になります♪︎」
「えー、まおはダメなの……?」
見かねた私が助け舟を出すと、メイドさんはすかさず乗ってくれた。ただ『メイドさん♡げ~む』と書かれて楽しそうなメニューが遊べないと言われた真緒はしょんぼりしてしまい、それはそれでメイドさんが慌ててしまうのだった。
「真緒、マーちゃん、ほら、お姉ちゃんのお話し聞いて?」
「なぁに?」
「これはね、大きなお兄さん達の為のメニューだからね、一回遊ぶだけで沢山お金がかかるんだよ。マーちゃんが本当に遊びたいならお姉ちゃんが幾らでも出してあげるけど、マーちゃんは本当に遊びたい? ただジャンケンとか指遊びとか、簡単なゲームだよ?」
店内は言うほど広くなく、しかし客入りはなかなか良くて、幼女二人だけで来ている私たちは凄く目立っている。燃えてるナイトも居るから余計にね。
ナイトはこういう時、とてもお利口なので絶対に吠えない。
私たちが乗れるくらいに大きくなれたナイトは、同じようにぬいぐるみサイズまで小さくもなれて、今は私の腕の中で大人しく抱っこされている。
そんな目立つ私たちがメイドさんとわちゃわちゃしてれば、更に目立つので物凄く見られてる。お客さんにもメイドさんにも。
「……そうなの? じゃんけんなの?」
「そうそう。で、メイドさんに勝つと、一緒に写真が撮れたりするの」
「…………それだけ?」
「うん、それだけだよ。大きなお兄さんたちには、それが凄く嬉しい事なんだけど、マーちゃんはよく分からないでしょ? それでも本当に遊びたい? 遊ぶならお姉ちゃんが何回分でもお金出すけど、一回五百円だよ?」
「うーん……、それで、ごひゃくえん? うーん…………」
悩んだ末、真緒はメイドさんゲームを諦めてくれた。
浅田家は裕福な家庭だけど、それでも常識的な教育方針なのでお小遣いは普通の額だ。
だから七歳の真緒にとって、五百円はそこそこに重い額だと思われてるし、その金額で指遊びが一回だけ。勝ったらツーショットという内容に納得出来なかったのだろう。
大きなお兄さん達にとっては「えっ、たった五百円でメイドさんとジャンケンできる上に勝ったらツーショット!?」となるらしいけど、彼らの感性は幼女と違うのだ。
「じゃぁ、普通のものをメニューから選ぼうね」
「うんっ! メイドのおねーさんも、ありがとぉ!」
にぱぁって笑う真緒の笑顔に癒される。メイドさんも笑顔がモニョモニョしてる。良いでしょ、可愛いでしょ? この子私の妹なんですよえへへへ。
0
あなたにおすすめの小説
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
異世界帰りのハーレム王
ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。
で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか?
異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕!
異世界帰りのハーレム王
朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる