70 / 153
フラッパーゲート。
しおりを挟む焼肉ではしゃぎ倒した私たちはついに、東京都銅級ダンジョン管理区に辿り着いた。仰々しく言ってるけど要は代々木公園である。
けど、銅級ダンジョンが発生したせいで代々木公園は公園では無くなり、ダンジョンを管理する為の場所になってる。未だに代々木公園と呼ばれるのは、それが一番分かり易いからだ。
なので正式には東京都銅級ダンジョン管理区代々木公園跡地、が正しい呼び方なのかな?
とにかく、私たちは代々木公園までやって来た。
ダンジョン管理区に生まれ変わっても、結局はダンジョンと言うある種の公共施設である事には変わりなく、つまり代々木公園はそこまで大きく変化はして無かったりする。
もちろんダンジョン周辺は管理する為に手を加えられてるので例外だが。
そんな代々木公園だが、それでもあえて変化を挙げるなら、ダンジョンに来るアタッカーの為の駐車場が足りなかったので増設された事だろうか。
とは言っても、代々木公園の周辺に大型のパーキングビルが三棟ほど建っただけで、代々木公園の形が変わった訳じゃない。
やっぱりダンジョンその物から近い代々木公園内の駐車場が人気だけど、パーキングビルは公園から遠い分だけ料金が安く、ダンジョン泊までして潜ってるガチ勢はむしろパーキングビルを好んで使ってるらしい。
「さてさて、お母さんは自分の武器を持ってね。ケースからはまだ出せないから、そのままね」
「あら、どこで装備するのかしら? ダンジョンの中?」
「うんにゃ。ダンジョンの近くに専用の更衣室があるの。そこでやっと装備品をケースから出せるよ。ちゃんと場所を限定しないと銃刀法的にダメなんだってさ」
代々木公園は立派に政府の土地なので、武器の装備は余裕でNGだ。管理区に生まれ変わったと言ってもまだ公園の側面を持ってる代々木公園は、一般来場者も多い。
園内で好き勝手に武器を持たせてちゃトラブルばっかりで話しにならない。
「そんな訳で、ダンジョンと外を繋ぐ『中継地点』が設けられてるの。ダンジョンアタッカーはその区画でだけはダンジョンの中とほぼ同じ様に振舞って大丈夫。まぁ法律は適用されるからトラブルはご法度だけど」
そのダンジョンと外を繋ぐ中継地点数を、アタッカー達は通称『ロビー』と呼んでるそうだ。
ダンジョンアタッカーの数に対応する為、大量のプレハブで更衣室を作ったらしく、ちょっとしたアパート団地みたいな空間になってるらしい。
「更衣室は時間貸しで、鍵も受付で管理してくれるんだってさ。ライセンスに紐付けで管理してくれるから盗難とかは考えなくて大丈夫。一応、ライセンスを発行してないモグリでも、身分証をライセンス代わりにして対応してくれるシステムらしいよ」
ダンジョン泊の予定は無いけど、それでも特に園内の駐車場を使う意義を見いだせなかった私達は普通にパーキングビルを利用して、荷物を担いで管理区に入った。まぁ荷物が有るのはお母さんだけなんだけど。
銅級ダンジョン本体は代々木公園中央広場辺りに発生してて、中央広場はほぼ全域がロビーになってる。つまりプレハブ村だ。
元々の中央広場はどこからでも入れた広々とした場所で、私はその場所のドッグランを目指してナイトとお散歩してたら迷宮事変に巻き込まれた。
だけど、ダンジョンを管理する関係上、プレハブ村もダンジョンも勝手に入れる形だとトラブルが目に見えてる。
なので、中央広場跡地だけはグルっと壁に覆われてしまって、入場を管理されてる。
他の場所は前の代々木公園そのままなんだけど、中央広場だけは完全にダンジョン管理区とした変わってしまった。
そんな管理区の入り口に行くと、迷彩服を着たお兄さんが数人、ゲートの管理をしてるのが見えた。私達も用事を済ませる為にそこに向かう。自衛隊の人かな?
ゲートは所謂『フラッパーゲート』と呼ばれる物で、簡単に言うと駅の改札にあるアレだ。切符かICカードに反応してフラップを解放して通してくれるアレ。
種別としてはアレがフラッパーゲートなんだけど、まぁフラッパーゲートにも種類がある訳で、管理区のフラッパーゲートは格子状で大きなフラップで閉じられた頑丈な物だった。
「お仕事お疲れ様です。入場手続きをお願いします」
「ご入場で…………、子供? えっ、あっ」
本来なら子供が来る場所じゃないので、だけどすぐに私が蒼乃フラムだと気付き、なにやら少し混乱してしまうお兄さん。
「これライセンスです。特例で発行して頂いた物なので、確認はダンジョン課の笹木さんまで…………」
「ああいえっ、蒼乃様については伺っております! どうぞお通り下さい!」
なるべくトラブルにならない様にと気を付けてたら、なんか凄いすんなり許可が出てビックリした。
「あ、えっ? 良いんですかね?」
「大丈夫です! さぁどうぞ!」
いくら蒼乃フラムだからって、私はまだ子供だ。流石にトラブルくらいは起きると思ってたんだけど、全くそんな事は無かったね。
笹木さんがしっかり根回ししてくれたのかな。
ダンジョンアタッカーは資格の要らない仕事である。だって仕事場がダンジョンだからね。資格もなにも無いんだ。
でも、武器の所持に関しては法律の元に管理される。なので基本的にアタッカーはライセンスの発行が必要であり、武器の購入にもライセンスが必要で、こう言った管理区に入るのにもライセンスの提示が基本となる。
ライセンスが無くても入れはする。だけど、ライセンスが無いと武器を持てない。ライセンスは武器の購入だけじゃなくて所持や運搬の許可証でもあるから。
もちろん法が届かないダンジョン中で武器を手にする分には誰も罰せないけどね。だからライセンスの申請が面倒なら、ライセンス持ってる人と組んでダンジョンの中まで武器の面倒を見てもらうって手も有りだ。
実際、そう言う武器の運搬や管理をメインにしてるアタッカーも居るらしい。所謂ポーターってタイプのアタッカーだ。
そうじゃなくても、パーティで誰か一人がライセンスを持ってたら何とかなったりする。
まぁ、犯罪歴さえ無ければ大体の場合が通ってしまう申請なので、普通に考えたらライセンスは取得するべきだけど。
要は、資格が要らないと言いつつも、実質的にはライセンスが必要なのだ。
でも未成年にライセンスは取得出来ない。つまり子供はアタッカーになれないのが現実。
そう、私以外。
正確には真緒もだけど、真緒は私の特例ライセンスとセットな所あるからノーカンだ。
「はいマーちゃん、装備品だよ。もうロビーに入ったから装備しても大丈夫だけど、荷物預けたりするのに結局は更衣室を借りなくちゃだから、それまでは普通に運んでね」
「あーい!」
私は蒼炎を使ってインベントリの中身を取り出して、真緒に荷物を持たせた。可能な限り自分でやらせる方針だ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
異世界帰りのハーレム王
ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。
で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか?
異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕!
異世界帰りのハーレム王
朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
無属性魔法しか使えない少年冒険者!!
藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。
不定期投稿作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる