Blue Flame Little Girl 〜現代ダンジョンで地獄を見た幼女は、幸せに成り上がる〜

ももるる。

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スキル名。

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「…………ごめんなさい」

「優ちゃん、さっそく足を引っ張ってごめんなさいね」

「んーん、気にしてないよ。二人とも、覚醒おめでとう。それと、私のために怒ってくれてありがとう。大好きだよ」

 お目覚めの二人は、あの時の私と違ってハッキリと事態を覚えてた。

 そして目覚めた瞬間から落ち込んで、へにょへにょしてる。

 MPは回復させたけど、精神的な疲れや肉体的な緊張が抜けてないって理由もあるんだろう。

 不謹慎だけど、落ち込んでる家族が可愛くてニヨニヨしちゃう。

 ナイトも「大丈夫? どこか痛いの?」って二人の顔をぺろぺろしてて可愛い。もう私の家族みんな可愛い。お父さんだって可愛いんだぞ。お休みの日にお家のソファでお昼寝してるお父さんは最高だ。

 取り敢えず、私は足を引っ張れたなんて思ってないし、今後も家族が私のダンジョンアタックに着いてくるなら、どっちみち覚醒は必要だった。

 今日のことは素直に幸運と思っておこう。トラウマが爆発する事を幸運と言っていいのかはまた別途審議が必要かもしれないけど。

 でも、後々に覚醒させるなら、二人を動けなくした状態で、私が目の前でモンスターに殺されかけるくらいのアクシデントを演出しないと難しかっただろうし、やっぱり今覚醒出来たのは幸運だったと思う。

 私もそんな真似したくないし。

 私のために泣いてくれる家族の前で、自分から命を危険に晒していくなんてしたくない。そんな不義理な真似しなくて済んで、本当に良かった。

「さて、二人とも。二時間も寝てたのでぶっちゃけ時間が有りません。更衣室は六時間レンタルだから、延長含めてあと六時間あるけど、二時間寝てた事実は変わりません」

「はい、気を引き締めます」

「ごめんなさい……」

 一区切り着いたところで、私は優ちゃん先生に戻って授業の再開をした。時間が惜しいのはホントの事だから。

 二ヶ月しか無いしね。っていうか二ヶ月後にダンジョンブレイクだから、二ヶ月いっぱい使うのはアウトなのだ。出来ればヒートゲージを下げるのに一ヶ月は欲しいから、一ヶ月で二人を仕上げないと行けない。

「寝てたのは回復の為だから謝らなくて良いよ。でも、時間が惜しいのもホントの事だから、ちょっと急ぐね」

 私は二人に、今後の育成方針を説明していく。

 本来は膂力を伸ばすつもりだったけど、覚醒者となった二人には魔力を優先的に伸ばしてもらう。これは決定事項だ。

「えっと、優ちゃん?」

「ん? どしたの?」

「その、能力を伸ばすとかどうとか、お母さんなんの事だか……」

「おねーちゃん、ステータスって、えらんでのばせるの?」

 ……………………ohおぉ~、その説明もまだだった。うっかり。

「テレビでもそんな事は言ってなかったわよ?」

「どーいうことなの?」

「うん、説明します」

 世間のレベリング理論は間違ってる。私はこれを確信してる。

 そして正しいレベリング理論についても、私は大凡おおよその答えが見えている。

 伊達に、無補給で三ヶ月もダンジョンで過ごしてないよ。

 でも…………、

「うん、でも、それについてはダンジョンの中で説明するね。DMが強制配信してくれる状況で説明した方が良いと思うし、これが世間に広がれば、私の負担も減るかもだし」

 この先ずっと、最新鋭のダンジョンを私ばっかりが討伐しないとって形は困るし、何より不健全だ。一人に寄りかかる形で固まるのは頂けない。

「ああ、そうだ。二人とも覚醒したし、スキルの確認は端末でしといてね。ついでに、ダンジョンネームも決めちゃった方が良いかな? もう手遅れ感あるけど、一応の身バレ対策……?」

「優ちゃんの、蒼乃フラムって名前みたいな物ね? 芸名って考えれば良いのかしら…………」

「はいっ! まおはおねーちゃんとおそろいがいいなっ!」

「じゃぁ一緒に考えようね」

「うんっ♪︎」

 にこにこして可愛い真緒と、あとせっかくだからお母さんも一緒にシリーズっぽいダンジョンネームを考え、それからスキルの確認まで済ませる。

 お母さんのスキルはやっぱり電気を操る能力で、攻撃性や使い勝手は私の蒼炎と似ている。そして私の蒼炎で言う『』に当たる能力だけど、ちょっと面白い能力だった。

 効果に名前を付けるとするなら『概念攻撃』とでも呼ぼうか。

 物理的なダメージに加えて、お母さんが指定する概念的な物にもダメージを通せる効果だった。

 簡単に言うと、お母さんが魔力を意識すれば、攻撃された対象は魔力も吹っ飛ぶ。

 モンスターがスキルを持ってるなら、そのスキルを攻撃しようとお母さんが願えば、紫色の雷は相手のスキルも傷付けて使用を困難にするらしい。

 スキルが攻撃された場合は制御が難しくなったり、使用魔力が増えたり、単純に威力が落ちたり、様々な現象が起こる。
 
 概念に通したダメージでどんな効果が起きるかまでは指定出来ないそうなんだけど。

 このスキルは私の蒼炎になぞらえて、『紫電しでん』って命名される事になった。

 やっぱスキル名を自分で決めていいのは嬉しいね。これで『呪殺』とか『隷属』とか、変な名前のスキルが覚醒したらイメージが悪すぎるもん。

 さて、次に真緒のスキルは白い風。霧だか粉雪だかを飛ばして相手を凍らせるスキルだけど、これにも能力があった。

 それは簡単に言えば『停滞』の強制付与。つまり速度デバフだ。

 凍ったら結局は止まるから意味無いじゃんって事は無く、凍ったか凍らなかったかに関わらず停滞は付与出来るらしい。

 そして、氷結効果と停滞効果の強弱は真緒が込めた魔力次第。つまり魔力を節約して『敵が凍らないし、ちょっとゆっくりになる』程度の使い方も可能であり、使い勝手が良さそうだ。

 二人とも、私の時と同じで効果の殆どを本能的に理解させられてるらしく、ステータスの簡単な説明文と併せて見れば詳細は結構簡単に判明した。

 真緒のスキルも私に揃えて『白雪』と命名された。可愛い名前だなぁ。

「じゃ、次はダンジョンネームかな。それ決めたらすぐダンジョン行こっか」

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