Blue Flame Little Girl 〜現代ダンジョンで地獄を見た幼女は、幸せに成り上がる〜

ももるる。

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リアルわんわんお。

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「わんわんわんわんわぁぉぉぉぉお~~~んっっ!」

 グレートソードを咥えたナイトが横滑りするように駆け抜け、九層の荒野に出没する砂色巨大タランチュラの脚を切断する。

 ナイトが斬った反対側の脚に私が駆け寄り、しなるシャフトをそのままにゴスドラを叩き付ける。

 ゴスドラが持つ斬れ味と重さによって脚一本で留まらず、連続した手応えを感じる頃には片側四本中三本の脚を斬り飛ばしてた。残りは腕代わりに使う前肢のみ。

 こうしてエヅォルエイトって名前らしい大蜘蛛を達磨・・にしたら、ナイトに合図した後、次が来ない内に私はコイツを生き・・たま・・ま解・・体だ・・

「凍っちゃぇぇえええッッ!」

「墜ちなさいっ……!」

「わぉんっ!」

 九層でまた二人に無茶をやらせながら、私はその内に蜘蛛を解体。お尻を斧で叩き割って蜘蛛糸を回収する。

「むふぅ、これを使えばもっと丈夫な防具が作れるね。ここまで用意すれば、銀級も多少は安心でしょ」

 新装備を手に入れた私達であるが、実のところ私は全然満足して無い。というか永遠に満足する事は無いだろう。

 例え核弾頭の直撃も耐えられるレベルのスペシャルな防具を手に入れたとして、私はそれでも安心なんて微塵も出来ない。

 だって、銅級のボスであれだよ? ローキック一発で高層ビルを粉々に吹っ飛ばせそうな化け物だよ? なら銀級は? 金級は? どんな化け物が居るの?

 その化け物と核弾頭って、どっちの方が強い?

 私には安心出来ない。今だって家族に無茶させてるストレスで頭掻き毟って舌噛み千切りたいのを、それでも私とナイトさえ居れば死なずに済むからって無理やり納得して、ギリギリ我慢しながらレベリングしてるんだ。

 なのに、安全かどうかも分からない防具で耐えられるかも分からない攻撃を食らう? 冗談じゃない。

 だから限界まで準備する。ほんの0.1%だって家族の危険が退くなら、今のうちに何でもやる。

 ストレスで私の脳内がブチッと出血しそうなのも我慢しながら、それが必要なら唇を噛み千切りながらやってみせる。

「んー、どうせ研究や試作にも必要だろうし、もう少し数を確保しとこうかな」

「ナーくん、しばらく二人をよろしくね」

「わんわんぉーん!」

 リアルでわんわんおって言う犬初めて見たよね。うちのナイトは留まるところを知らないな。

 ああ、そうだ。凄く今更だけど、リアルわんわんおであるナイトも、家のパソコンからDMアカウントを作り直させたら、やっぱりスキルを発現してた。

 可愛いお足あんよでキーボードをかちゃかちゃするナイトは鼻血出るほど可愛かったけど、そうやって『NAITO』って入力してDMにログインすれば、そこには私と同じでレベル8の勇者が居た。

「…………守護霊、か」

 ナイトがスキルに付けた名前だ。辞書やら広辞苑をひっくり返して「これ、これ!」とナイトが指し示したので、その通りに私が入力したスキル名。

 その効果は、霊体となって守護したい対象にき、魔力を消費する事で物理法則や魔道則を捻じ曲げてあらゆる方法によって対象を守護する。そう言う効果だった。

 もう、ね。私はこの事で何回泣けば良いんだよって、ボロボロ泣いちゃった。

 DMにしては珍しく、守護霊化についても詳しい記述があったので読んだのだ。

 霊となった存在は、その精神も霊体も何もかもが魔力由来なので、魔力を使い切った時点で二回・・目の・・死を・・迎え・・って。

 ナイトは、ダンジョンで、私を助ける度に文字通りに命を削ってたんだ。あの三ヶ月、私のヘマをどれだけ助けられたかを思い出すと涙が溢れて止まらない。鼻の奥がツーンとして、鼻をずるずるとすすりながら戦うしかない。

「…………八つ当たりさせろっ」

 蒼炎を噴いて軽く滑空しながら蜘蛛に迫る。前肢と鋏角を広げて威嚇する虫ケラを、私は構わず叩き潰す。

 肘や膝、足の裏、更にはゴスドラから蒼炎を噴いてコマのように回転、遠心力を増し増しに乗せた一撃で半身をクシャッと斬り潰した。

 殺しはしない。これで瀕死だ。

 コイツ、何故か殺すとお尻の蜘蛛糸が問答無用で硬化していくのだ。回収するには半殺しからの生きたまま解体ってルートしかない。

 まぁ、数狩れば普通にドロップもするんだけどね。解体でも手に入るならそりゃ狙うよ。

 半身を叩き潰した蜘蛛のお尻をカチ割ろうとすると、別の個体が空から降って来る様子が気配で分かった。いやどっから来たテメェ。

 七層から九層までは荒野であり、私達は上を気にしなくていい場所を選んで戦ってた。身の丈を超えるデカい岩とか無い場所ね。頭の上から、空から降って来るのは絶対おかし…………、

「--ああ、いや、あっちの大岩から大ジャンプして来たんだな? よっし死ねッ」

 降って来る場所とタイミングさえ分かってれば問題無い。着地地点に合わせてゴスドラをフルスイングして真芯にミートした。胴体から真っ二つだ。

「……もう、蒼炎すら要らないなぁ」

 下手すると武器も要らない。殺してしまったからもう良いやと、握った拳で斬り裂いた死骸を殴って吹っ飛ばす。

「…………私でも、武器縛りして重りでも背負えば、まだ此処でレベルアップ出来るかな?」

 ま、今はお母さんとニクスのレベリングが先だからね。自分は後回しで良いや。と言うか、銀級行けば普通にレベリング出来るんだろうし。

 ナイトの方を見れば、今も必死にエヅォルエイトと戦ってるお母さんとニクスをナイトが「わんわんお!」と吠えながら守ってる。

 ナイトが使ってる蒼炎は私の魔力から持ち出しなので、ナイトに負担はほぼ無い。

 ナイトも普通にアタッカーと同じで時間経過で魔力を回復出来るらしく、私の許可を得て蒼炎をジャックする程度なら大した消費にならないそうだ。

 あの様子ならサポートをミスる事も無いだろう。まぁ、そも、そんな事はミリも考えてないんだけど。三ヶ月も死にかけまくった馬鹿わたしをゴールに導いたスーパーお犬様だもん。

 今更、初心者二人の安全かつスパルタなキャリー行為なんて、朝飯前のはず。いや今は時間的に夕飯前なんだけども。

「さてさて、そろそろキャンプ作っちゃおうかね」

 苦行としか言えない戦闘を続ける家族を尻目に、私は寝泊まりの準備をする。

 銀級ではもっと本格的にダンジョン泊が必要になるし、今のうちに予行練習だ。

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