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後悔を焼き払う。
しおりを挟む「おらおらオラオラぁあアアアッッ……!」
魔力を奪えば全員格下。これは間違い無いし、つまり私最強である。
けど、流石にそう全部が私中心な訳も無い。
まず、魔力の干渉力って言うのは魔力同士にも影響を及ぼす。
つまり格上の銅竜から蒼炎で魔力を奪おうとすると、干渉力で負けてる私は相応のドレインしか出来ない事になる。
そして、蒼炎が対象から奪う魔力と、こうやって戦闘等に使う魔力は若干別物と言うか、入れ物が違う。
人はカロリーを脂肪に蓄えるが、しかし全身の細胞にカロリーが無いかと言うとそうじゃない。
魔力も同じで、ダンジョン由来の物質やダンジョン入りした生物は、その身の細胞一つ一つに魔力を宿すが、それはそれとしてカロリーを蓄える脂肪のような、魔力専用のプールも別に存在する。
蒼炎が奪う魔力はこの内の前者であり、魔力を奪われた細胞がそれを補う為に自身の魔力プールから損失を埋めるから、実質的に相手のプールから直接ドレインしたのと変わらない事になる。
ここで問題なのは、蒼炎で対象の細胞から魔力を奪っても、プールから補充してる間は細胞に含有する魔力量はほぼ変わらない。つまり、干渉力は低下しないし、格下からの干渉に抵抗を持つ。
結論、言うほど干渉力が下がらない。
じゃぁ最初の銅竜をぶっ飛ばしたのなんやねんって思うけど、良く考えると魔力って感情に呼応するエネルギーだったね。
私の昂った感情につられて力もマシマシだったかな?
ジェットエンジンの如く噴き出す蒼炎でも対抗してたから、そっちで感情に呼応した魔力が暴れてくれたんだと思う。
まぁ、あまり干渉力に効果が無いってだけで、ドレイン自体は通ってるのだ。続けていれば相手がダウンするのは自明の理。
要は、蒼炎とは持久戦最強の能力って事。
「ウるぅアァぁぁあああああッッ!」
蒼炎、爆炎を駆使して宙を跳ね回る私は、ありったけの拳を銅竜に叩き付ける。
三次元機動なんてカッコイイことは言わない。自分を爆風で吹っ飛ばしながら必死に動き回ってるだけ。
銅竜が薙ぐ裏拳の一閃を至近距離で蒼炎による自爆を使った吹き飛びで回避し、そして肘から大火力を噴射して銅竜へと殴りかかる。
インパクトの瞬間、肘も肩も背中も、拳の威力に直結するだろう場所からは絶えず蒼炎が噴き出し、さらに爆発による加圧も加えてぶん投げる。
銅竜に取っては羽虫が如く小さな私に横っ面を殴られるのが不服か、崩した体勢をそのままに翼と尻尾で広範囲を薙ぎ払われる。
攻撃の規模が違う。回避は無理。
「ぅぎいっ--……!?」
私は覚悟して殴打され、だけど吹き飛びながらも蒼炎の大噴射で殴り合いに復帰する。さっきまで、ニクスが白雪でやってたインファイトを蒼炎でやってる様な物だ。
-ガガガガギガゴゴッッ……!
拳と拳、または拳と鱗がぶつかり合って、生体パーツ同士がぶつかった音とは思えない騒音がコロシアムに響き渡る。
「魔力は感情に呼応する……!」
この怒りが、想いが、私を強くしてくれると言うのなら。
「いくらでも愛して、どれ程だって怨んでみせる……!」
家族を愛そう。優しくて綺麗な、自慢の家族を何処までも。
そして同時に、家族を傷付け焼き払ったお前を無限に怨み、憎み尽くす事を誓おう。
ああ足りない。力が足りない。
熱意が足りない。想いが足りない。怨みが、痛みが、憎しみが……!
あの日に横たわった最愛こそが私の始原ッ! あの時に吹き荒れた感情こそが私の命を繋いでくれたッッッ!
「もっと燃えろぉぉおおおあああああああッッ!」
暴走なんてつまらない結末はもう認めない。
私は、私の意思で、私の力を持って、今度こそコイツをぶっ殺す!
それで、やっと、今度こそ……! 私はナイトの横に立てるから!
「私はもう何も譲らない……!」
今度こそは、胸を張って家族の胸に飛び込める。心からの「ただいま」を言える。
あの日に置いて来た、置き去りの「私」を今度こそ、今日こそ家族の元に連れ帰る!
私はッ! 獣から人に戻るんだッッ!
「そのためにッ! お前は死ねぇぇええええッッッ……!」
火に焚べる薪なら無限に湧いてくる。滾る蒼が私を走らせる。
もはや、小さな戦闘機。蒼いジェットエンジンを吹かして飛び回る怪物だ。
「何時間でもぶん殴ってやるから覚悟しろオラァぁぁあああああッッ!」
足りない魔力はお前から貰えば良い。私はお前が朽ちるまで戦い抜いてやるから。
あの日の後悔は、今日ここで、全て焼き払って先へ行く。
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