Blue Flame Little Girl 〜現代ダンジョンで地獄を見た幼女は、幸せに成り上がる〜

ももるる。

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スキルと魔法。

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 サナの町へ来てから一週間が経過した。

 今日は私がお休みの日で、お母さんとニクスは四層でスローターしてる。

 この一週間で分かったことがいくつかあったので、情報整理の為にも纏めてみようと思う。

 まず六層への階段を見付けた。正確には『六層への階段っぽい場所』を見付けただけなんだけど。

 そこはサナの町から少し離れた場所に見付けた遺跡みたいなところで、扉を開けるには鍵が必要らしい。

 で、鍵と魔法はサナの町で条件を満たすと買える仕組みだった。もう完全にゲームのお使いシステムである。

 サナの町はカーバンクル系獣人のサナ族が住む町だ。当然、魔法に秀でてる種族だし、なら魔法に特化した人が居てもおかしくない。

 それで、その魔法に特化したサナ族の人が六層への鍵を持ってて、それを売ってもらうには条件をクリアする必要がある。

 その条件とは、まぁやっぱり魔法なのだ。

 入門書に書いてある魔法をレベル1だとして、大人用教本の上巻でレベル2、下巻でレベル3だとする。もっと専門的な魔法書に書かれてる魔法をレベル4だとして、レベル4に書かれてる魔法を道具に頼らず発動する事。これが鍵を売ってもらう条件だった。

 ただ、レベル4の魔法が鬼むずかしい。今の私達ではちょっと難しいので、鋭意練習中だ。

 ちなみに、教本の方も結構お高いし、条件を満たした後も鍵を買わないといけない。だからDDも結構かかって大変だ。

 私達はDDに困ってないから良いけど、他のアタッカーがここまで来たら、魔法の勉強をしながらDDまで稼がないと次にいけないのだ。

「なんと言うか、この階層の意味が少し分かってきたよ。要は此処でチュートリアルが終わりなんだね」

 銅級は丸々チュートリアルだったんだ。あそこでダンジョンとはどんなものかって雰囲気を覚えて、ステータスも伸ばしていく。そして銀級へ来たら一層からもうギミックがあって、五層もお使いクエストがある。

 さらに魔法なんて新要素が最後のシメとして用意されてて、此処を超えると多分、本当のダンジョンが始まるんじゃないかな。

 予想でしか無いけど、恐らく銀級五層を超えた先は更なる地獄だと思う。私の勘がそう言ってる。

「あとは、スキルと魔法の違いに、周囲環境か」

 他にも気が付いた事として、魔法とスキルの違いがある。というかコレに着いては違和感が痒かったから自分で聞いて回って調べたんだけどね。

 まず、魔法とは魔力を使って行使する技である。対して、スキルとは魔力に効果を与えてソレを操る技だった。

 この違いを知った時、背中のムズムズが消えたので良かった良かった。

 私はずっと勘違いしてたんだけど、スキルも魔法も、魔力を燃料にして動かす車みたいなイメージだったんだ。だけど、サナ族達に聞いてみると全然違った。

 魔法は魔力を燃料にして走る車ってイメージで合ってたけど、スキルの方はもう全然違った。スキルは燃料ガソリンを相手にぶっかけて火をつける様なチカラだった。そりゃ強いわ。効率悪いけど。

 スキルは魔力に効果が宿って、それを操るチカラ。魔法は魔力を燃料として消費して、結果を導くチカラだった。

 此処で重要なのは、スキルは魔力にチカラを与えるって事。

 つまり、私がボルトを使うと蒼く燃える弾丸を撃てるし、蒼炎を噴き出すシールドを張れる。そう、魔法とスキルは併用可能なのだ。

蒼炎・・に魔・・力を・・使うんじゃない。魔力・・を蒼・・炎に・・変えるのがスキル……」

 今までの私は、魔力に蒼炎って能力を付加してただ噴射してただけ。しかしこれからは、魔力に蒼炎のチカラを与えつつ、魔法って言う効率的な利用方法で戦える。

「ああ、そうか…………」

 スキルが欲しいなら、その人もリスクを負えばいい。そうは思っても、やっぱりちょっとズルいなって思ってた。

 けど、コレからは魔法が主体になる。スキルはその魔法にちょっとだけプラス‪の効果を与えるだけで、そこまで大きな差じゃない。

「スキル持ちは、こうやってダンジョンの先端を切り開いて、後続を引っ張る為に居るのか。銀級の五層までアタッカー達の指標にさえなれば、後は各々おのおのが勝手に歩き出すでしょ」

 マラソンで言うペースメーカーと言うか、多分そんな役割なんだ。その報酬の先払いとして、スキルっていうチカラを先払いされてる。

「…………なんてことだ。お休みにのんびりしてたら、真理に到達しちゃったぞ」

 宿屋のベッドに寝転がって独りごちる。すぐ側にはナイトがゴロゴロしてうにゃうにゃしてる。可愛い。

「んー、六層への行き方はもう良いとして、だけどサナの町がチュートリアルの終点だって言うなら、もっと他にも色々と調べるべきことは有るよね」

 調査は昨日やって、今日はお休みなんだけど。でもやりたい事を我慢する必要も無いよね。

「ナイト。コプト狩りに行こっか」

「わぅ?」

「暇じゃん?」

「ぁん!」

 コプトと言うのは、五層に生息する食用・・モンスターだ。五層の周辺環境を調査した時に見付けた。

 モンスターなんだけどノンアクティブで、アタッカーに敵対してない野生動物的なモンスターだ。だからモンスター特有の圧力も無く、そしてドロップも無い。

 狩って、処理して解体して、初めて意味を持つモンスターと言える。

「食堂にコプト持ってくと、美味しいお料理出て来るしさ。ナイトもローストコプト好きでしょ?」

 コプトは完全に狩猟用の獲物だけど、狩るに値するだけの獲物でもある。

 まずお肉が美味しい。煮ても焼いても揚げても旨いし、干しても良い。インベントリが使えないアタッカー達には重宝する存在だろう。

 そして皮も使える。防具にする程じゃ無いんだけど、保温性に富んでいてマントにすると素晴らしい出来になる。野営には持ってこいだ。

「よし、行こっか。お母さんとニクスが帰ってきた時、美味しいコプト料理で迎えてあげようね」

「わぅ!」

 少しずつ進むダンジョン攻略。その中で私はちょっとずつダンジョンに馴染みながら過ごしてる。

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