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34話
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「フェイおはよう」
「おはようミーア」
抱き寄せて軽い口付けを交わす。とりあえず、予定されていた行事は熟したのでホッとしながら、
「今日は、とりあえず、ギルドで勇者パーティーの様子を探ろうか」
「そうね、でも先に宿を確保しない」
「ま、どっちにしろとりあえずの行き先はギルドだな」
治療院の人たちにお世話になった礼を言うと
「そのうち、また来な。あ、でも今回みたいな意識のない状態じゃなく自分の足で歩いてくるんだよ」
パルミラさんの軽口に、ミーアが
「今度は何かお土産持ってきますね」
両親を亡くした僕たちにパルミラさんは、まるで母親のように温かいぬくもりで送り出してくれた。それは僕たちにとって何事にも代えがたい嬉しさを感じさせてくれるものだった。
「とりあえず、ギルドね」
ミーアの声に
「うん、色々情報集めるにしても何か行動を起こすにしても僕たちじゃギルドを頼るしかないからね」
僕たちは1月ほどお世話になった治療院を辞しギルドに向かった。
「おはようございます」
ギルドの入口をくぐった僕は誰へというわけでもなく声を掛けた。すでに早朝の依頼争奪戦は終わっており、比較的閑散としたギルドでも今や不本意ながら英雄と呼ばれる僕たちは注目の的で、ひそひそと小声で話す声が聞こえてくる。
「サウザンドブレイカー」
「隣にいるのがトルネードレディか」
なんだか恥ずかしくなりそうな名前を呼んでいる人がいる。気付かないふりをしながら受付に向かおうとすると、目の前に縦にも横にも巨大な筋肉の塊のような男が立ちふさがった。
「サウザンドブレイカーだと。トルネードレディだと。こんなガキがスタンピードをたった二人で潰したなんて信じられるかよ」
面倒ごとの予感しかしなかったので僕としては歩法で抜ける。横ではミーアも似たようなことをしてついてきていた。ちょうど僕に掴み掛ろうとしていた男の手は空を切ったはずだ。後ろで”バタン”と倒れる音がしたけれど僕もミーアも振り返ることも無い。バランスを崩して転んだというところだろう。周囲からは何やら失笑の気配がするけれど、関わるつもりはない。
受付にたどり着く前にレーアさんがやってきた。
「フェイウェル様、ミーア様、いえ今ではハモンド卿とハモンド婦人と呼んだ方がよろしいですね」
「レーアさん、そういうのは勘弁してください。今まで通りフェイウェルか、フェイでお願いします。な、ミーアもそう思うだろ」
「あたしもミーアって呼ばれるほうが気楽でいいです。せっかく姓をいただきましたけど正直違和感がひどいです」
ミーアの苦笑にレーアさんも
「わかりました。とりあえず、お二人ともこちらへどうぞ」
今日はギルドマスターのゲーリックさんはスタンピードの件で聖騎士団と同行しているそうで不在だった。そこで今回は主に高位冒険者との打ち合わせに使われるという会議室に案内された。
レーアさんは自ら淹れてくれたお茶を僕たちに勧めながら口を開いた。
「それで今日はどのようなご用件でしょうか」
「今朝まで治療院に居候させてもらっていたんですが、一通りの事が終わったのでどこか宿をと思いまして、夜の羊亭も良いんですが、少々豪華すぎるというか」
「なるほど事情は理解しました。しかし、お二人の現状からすれば、やはり夜の羊亭をお勧めします」
「僕たちの現状ですか」
「あなた方は、あなた方自身がどう思っているかとは無関係に救国の英雄なのです。そのような方が一般の宿に泊まっていたら……」
「混乱が起きますか」
僕の短い答えにレーアさんが頷いた。
「心配なさらなくても、夜の羊亭には前回のような最上級の部屋以外にももう少し一般的な部屋もあります。それに前回の部屋でもお2人なら別に金銭的には困らないのではないですか」
「まあ、今の僕たちは色々報酬を頂いていますから。では、この後僕たちは夜の羊亭に行ってみます。ミーアもそれで良いね」
「うん、ちょっと豪華すぎて落ち着かないところはあるけど、夜の羊亭自体は好きだからいいよ」
「では宿のことは、それで良いとして他にも何かありそうですね」
やはりレーアさんは鋭い。
「そうですね、実はあと2つあります」
「二つですか」
「ひとつは村の再建についてです。あの村は魔獣の拡散侵攻を防ぐ要石ですからね、短期間ならともかく放置するわけにはいかないでしょう。とは言っても、今回のスタンピードで生き残ったのは、僕らを合わせて36人。村を再建するにはちょっと。こんなことを僕が勝手に聞くのも本当は違うと思うのですが、生き残った皆もそろそろ落ち着いてきていると思いますので手配等お願いします」
「わかりました、そのあたりギルドマスターと話しまして国の方へ出しておきますね」
「お願いします。村の皆も安心してくれると思います」
「それで3つ目のお話はどのような内容でしょうか」
僕は冷めかけているお茶を一口含み話を進めることにした。
「勇者様のパーティーの件なんですが……」
レーアさんは、何かを察したような表情で
「そう言えば、あなた方の幼馴染がメンバーにいましたね。スタンピード前にギルドの酒場で何かもめたようでしたが」
「酒場でもめた件は解決済みです。そうではなく彼らの現状について妙な噂を聞いたものですから。一度彼らに直接会ってみたいと思いまして」
「おはようミーア」
抱き寄せて軽い口付けを交わす。とりあえず、予定されていた行事は熟したのでホッとしながら、
「今日は、とりあえず、ギルドで勇者パーティーの様子を探ろうか」
「そうね、でも先に宿を確保しない」
「ま、どっちにしろとりあえずの行き先はギルドだな」
治療院の人たちにお世話になった礼を言うと
「そのうち、また来な。あ、でも今回みたいな意識のない状態じゃなく自分の足で歩いてくるんだよ」
パルミラさんの軽口に、ミーアが
「今度は何かお土産持ってきますね」
両親を亡くした僕たちにパルミラさんは、まるで母親のように温かいぬくもりで送り出してくれた。それは僕たちにとって何事にも代えがたい嬉しさを感じさせてくれるものだった。
「とりあえず、ギルドね」
ミーアの声に
「うん、色々情報集めるにしても何か行動を起こすにしても僕たちじゃギルドを頼るしかないからね」
僕たちは1月ほどお世話になった治療院を辞しギルドに向かった。
「おはようございます」
ギルドの入口をくぐった僕は誰へというわけでもなく声を掛けた。すでに早朝の依頼争奪戦は終わっており、比較的閑散としたギルドでも今や不本意ながら英雄と呼ばれる僕たちは注目の的で、ひそひそと小声で話す声が聞こえてくる。
「サウザンドブレイカー」
「隣にいるのがトルネードレディか」
なんだか恥ずかしくなりそうな名前を呼んでいる人がいる。気付かないふりをしながら受付に向かおうとすると、目の前に縦にも横にも巨大な筋肉の塊のような男が立ちふさがった。
「サウザンドブレイカーだと。トルネードレディだと。こんなガキがスタンピードをたった二人で潰したなんて信じられるかよ」
面倒ごとの予感しかしなかったので僕としては歩法で抜ける。横ではミーアも似たようなことをしてついてきていた。ちょうど僕に掴み掛ろうとしていた男の手は空を切ったはずだ。後ろで”バタン”と倒れる音がしたけれど僕もミーアも振り返ることも無い。バランスを崩して転んだというところだろう。周囲からは何やら失笑の気配がするけれど、関わるつもりはない。
受付にたどり着く前にレーアさんがやってきた。
「フェイウェル様、ミーア様、いえ今ではハモンド卿とハモンド婦人と呼んだ方がよろしいですね」
「レーアさん、そういうのは勘弁してください。今まで通りフェイウェルか、フェイでお願いします。な、ミーアもそう思うだろ」
「あたしもミーアって呼ばれるほうが気楽でいいです。せっかく姓をいただきましたけど正直違和感がひどいです」
ミーアの苦笑にレーアさんも
「わかりました。とりあえず、お二人ともこちらへどうぞ」
今日はギルドマスターのゲーリックさんはスタンピードの件で聖騎士団と同行しているそうで不在だった。そこで今回は主に高位冒険者との打ち合わせに使われるという会議室に案内された。
レーアさんは自ら淹れてくれたお茶を僕たちに勧めながら口を開いた。
「それで今日はどのようなご用件でしょうか」
「今朝まで治療院に居候させてもらっていたんですが、一通りの事が終わったのでどこか宿をと思いまして、夜の羊亭も良いんですが、少々豪華すぎるというか」
「なるほど事情は理解しました。しかし、お二人の現状からすれば、やはり夜の羊亭をお勧めします」
「僕たちの現状ですか」
「あなた方は、あなた方自身がどう思っているかとは無関係に救国の英雄なのです。そのような方が一般の宿に泊まっていたら……」
「混乱が起きますか」
僕の短い答えにレーアさんが頷いた。
「心配なさらなくても、夜の羊亭には前回のような最上級の部屋以外にももう少し一般的な部屋もあります。それに前回の部屋でもお2人なら別に金銭的には困らないのではないですか」
「まあ、今の僕たちは色々報酬を頂いていますから。では、この後僕たちは夜の羊亭に行ってみます。ミーアもそれで良いね」
「うん、ちょっと豪華すぎて落ち着かないところはあるけど、夜の羊亭自体は好きだからいいよ」
「では宿のことは、それで良いとして他にも何かありそうですね」
やはりレーアさんは鋭い。
「そうですね、実はあと2つあります」
「二つですか」
「ひとつは村の再建についてです。あの村は魔獣の拡散侵攻を防ぐ要石ですからね、短期間ならともかく放置するわけにはいかないでしょう。とは言っても、今回のスタンピードで生き残ったのは、僕らを合わせて36人。村を再建するにはちょっと。こんなことを僕が勝手に聞くのも本当は違うと思うのですが、生き残った皆もそろそろ落ち着いてきていると思いますので手配等お願いします」
「わかりました、そのあたりギルドマスターと話しまして国の方へ出しておきますね」
「お願いします。村の皆も安心してくれると思います」
「それで3つ目のお話はどのような内容でしょうか」
僕は冷めかけているお茶を一口含み話を進めることにした。
「勇者様のパーティーの件なんですが……」
レーアさんは、何かを察したような表情で
「そう言えば、あなた方の幼馴染がメンバーにいましたね。スタンピード前にギルドの酒場で何かもめたようでしたが」
「酒場でもめた件は解決済みです。そうではなく彼らの現状について妙な噂を聞いたものですから。一度彼らに直接会ってみたいと思いまして」
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