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48話
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「グラン、クーリちょっと来な」
二人の厳つい冒険者が近づいてきた。
「キャスリーン嬢、なんですかね」
「この二人の実力テストだよ。多分10級ってことはありえない」
「そんなにですか。可愛らしいカップルじゃないですか」
「この二人はね、私の殺気をスルリと受け流したんだよ」
「は、お嬢の殺気をですか。ありえねえでしょう。むしろ気づけなかったと言われた方が信じられますが」
この受付嬢の名前はキャスリーンさんで、ああ、怖がる振りくらいした方がよかったのか。まあ今更仕方ない。
「じゃ、二人も鍛錬場に来るんだよ」
そうは言っても僕たちとしては普通に登録さえできればよかったのだけれど。僕とミューは顔を見合わせて
「どうしようか」
「ね、討伐依頼って大体7級くらいからが対象だったの覚えてる」
そっとミューが囁いてきた。
「そっか、じゃ7級くらいにしてもらうのが良いかな」
ひそひそと二人で話しているところにキャスリーンさんの声。
「聞こえていたと思うけど、これから二人の実力を見せてもらう。このふたりはうちの4級冒険者。内容はこのふたりと1対1で試合よ」
「あの、登録するには必ずこういったテストをするんですか」
「そんなわけないでしょう。受付で可能性を感じた場合だけね」
「わかりました。受けさせてもらいます。どうすれば良いんですか」
そう聞くと、
「まず1合耐えたら9級、そして」
キャスリーンさんは砂時計を示して
「この砂が1回落ちきるまで耐えたら8級、5回落ちきるまで耐えたら7級、1当て出来たら6級、1当てした上で砂が10回落ちきるまで耐えたら5級ね。それ以上は試合の様子を見て判断ね」
「もうひとつ、試験のあとこちらで希望の級をお願いしてもいいですか」
「なによ、まるで自分のランクがとんでもなく上に設定されそうな言い方ね。でも、そうね良いわ。合格ランクを上限にして希望のランクにしてあげるわよ」
「あと、この試験の結果は秘密にしてください。あのお2人にも口止めをお願いします」
「あなた本気で相当上のランクで合格すると思っているわけね。何か根拠でもあるのかしら」
「秘密です」
「まあ、いいわ。二人にも口止めをしましょう。そこに模擬専用の武器が置いてあるから好きなものを選んでおいて。あちらの二人に話をしてくるから」
「はい」
言われた先にあったのは各種武器を模った木製の武器。木製なので僕たちが本気で振るえば恐らく1合で壊れるけれど、対人ならそこまで本気で振るう必要はないだろう。そこで僕は片手剣を2本。ミューは短剣を2本選び取った。軽く素振りをして具合を確かめているとキャスリーンさんが戻ってきた。
「むこうの二人に口止めしてしてきたわ。で、どちらが先にやるの」
「じゃあ、とりあえず僕が先にやります」
おおよそ25メルド四方の鍛錬場の中央で僕が向かい合う相手はグランさんというらしい。手にしているのは両手持ちの大剣だった。グランさんは少々機嫌が悪いようで
「どんな自信があるのか知らんが4級冒険者をなめているようなら長生きはできねえぞ」
「とりあえず、僕たちとしては、どんな結果でも黙っていてもらえれば良いだけなのですけど」
「たくよお、それがなめているってんだよ。おりゃあ」
始めの合図を待たずグランさんが仕掛けてきた。キャスリーンさんの焦った声が聞こえる。
「ちょっとグラン、まだ」
けれど、僕にとっては別に特別な事ではない。魔獣はいつだって開始の合図なんか待ってくれないのだから。グランさんの握りを左手の剣で弾き右手の剣をそのまま突き込み喉元に突きつける。グランさんの手を離れた大剣が数メルド先の地面に落ちるより先に決着はついていた。
「これで良いですか」
「え、ええ。十分よ」
キャスリーンさんのうろたえた声にかぶせてミューが声を掛ける。
「次、あたしの番ですね」
さっさと鍛錬場の中央に歩いていくミューに僕が声を掛ける。
「ミュー、怪我に気をつけろよ」
「大丈夫、大丈夫。そんなへましないって」
僕の方を振り向き手を振るミューにもう一人の4級冒険者クーリさんが足音を忍ばせて駆け寄る。短剣を振り抜こうとした瞬間にミューが歩方で後ろにまわり首筋に右手の短剣をそっと当てた。
「どうですか」
「二人ともとんでもないね。4級冒険者を瞬殺。しかも相当に手加減してるね」
ミューも僕も肩をすくめるだけで肯定も否定もしない。
「それで冒険者ランクは」
「1級。と言いたいけれど1級はギルド内で自由に決められないから2級ね。で、あなた達の希望は何級なの」
キャスリーンさんちょっと言葉遣いが変わってきてる。
「じゃあ7級で」
「は、ちょっと7級って聞こえたけど気のせいよね」
「気のせいじゃありませんよ。僕たちは7級からスタートを希望します」
二人の厳つい冒険者が近づいてきた。
「キャスリーン嬢、なんですかね」
「この二人の実力テストだよ。多分10級ってことはありえない」
「そんなにですか。可愛らしいカップルじゃないですか」
「この二人はね、私の殺気をスルリと受け流したんだよ」
「は、お嬢の殺気をですか。ありえねえでしょう。むしろ気づけなかったと言われた方が信じられますが」
この受付嬢の名前はキャスリーンさんで、ああ、怖がる振りくらいした方がよかったのか。まあ今更仕方ない。
「じゃ、二人も鍛錬場に来るんだよ」
そうは言っても僕たちとしては普通に登録さえできればよかったのだけれど。僕とミューは顔を見合わせて
「どうしようか」
「ね、討伐依頼って大体7級くらいからが対象だったの覚えてる」
そっとミューが囁いてきた。
「そっか、じゃ7級くらいにしてもらうのが良いかな」
ひそひそと二人で話しているところにキャスリーンさんの声。
「聞こえていたと思うけど、これから二人の実力を見せてもらう。このふたりはうちの4級冒険者。内容はこのふたりと1対1で試合よ」
「あの、登録するには必ずこういったテストをするんですか」
「そんなわけないでしょう。受付で可能性を感じた場合だけね」
「わかりました。受けさせてもらいます。どうすれば良いんですか」
そう聞くと、
「まず1合耐えたら9級、そして」
キャスリーンさんは砂時計を示して
「この砂が1回落ちきるまで耐えたら8級、5回落ちきるまで耐えたら7級、1当て出来たら6級、1当てした上で砂が10回落ちきるまで耐えたら5級ね。それ以上は試合の様子を見て判断ね」
「もうひとつ、試験のあとこちらで希望の級をお願いしてもいいですか」
「なによ、まるで自分のランクがとんでもなく上に設定されそうな言い方ね。でも、そうね良いわ。合格ランクを上限にして希望のランクにしてあげるわよ」
「あと、この試験の結果は秘密にしてください。あのお2人にも口止めをお願いします」
「あなた本気で相当上のランクで合格すると思っているわけね。何か根拠でもあるのかしら」
「秘密です」
「まあ、いいわ。二人にも口止めをしましょう。そこに模擬専用の武器が置いてあるから好きなものを選んでおいて。あちらの二人に話をしてくるから」
「はい」
言われた先にあったのは各種武器を模った木製の武器。木製なので僕たちが本気で振るえば恐らく1合で壊れるけれど、対人ならそこまで本気で振るう必要はないだろう。そこで僕は片手剣を2本。ミューは短剣を2本選び取った。軽く素振りをして具合を確かめているとキャスリーンさんが戻ってきた。
「むこうの二人に口止めしてしてきたわ。で、どちらが先にやるの」
「じゃあ、とりあえず僕が先にやります」
おおよそ25メルド四方の鍛錬場の中央で僕が向かい合う相手はグランさんというらしい。手にしているのは両手持ちの大剣だった。グランさんは少々機嫌が悪いようで
「どんな自信があるのか知らんが4級冒険者をなめているようなら長生きはできねえぞ」
「とりあえず、僕たちとしては、どんな結果でも黙っていてもらえれば良いだけなのですけど」
「たくよお、それがなめているってんだよ。おりゃあ」
始めの合図を待たずグランさんが仕掛けてきた。キャスリーンさんの焦った声が聞こえる。
「ちょっとグラン、まだ」
けれど、僕にとっては別に特別な事ではない。魔獣はいつだって開始の合図なんか待ってくれないのだから。グランさんの握りを左手の剣で弾き右手の剣をそのまま突き込み喉元に突きつける。グランさんの手を離れた大剣が数メルド先の地面に落ちるより先に決着はついていた。
「これで良いですか」
「え、ええ。十分よ」
キャスリーンさんのうろたえた声にかぶせてミューが声を掛ける。
「次、あたしの番ですね」
さっさと鍛錬場の中央に歩いていくミューに僕が声を掛ける。
「ミュー、怪我に気をつけろよ」
「大丈夫、大丈夫。そんなへましないって」
僕の方を振り向き手を振るミューにもう一人の4級冒険者クーリさんが足音を忍ばせて駆け寄る。短剣を振り抜こうとした瞬間にミューが歩方で後ろにまわり首筋に右手の短剣をそっと当てた。
「どうですか」
「二人ともとんでもないね。4級冒険者を瞬殺。しかも相当に手加減してるね」
ミューも僕も肩をすくめるだけで肯定も否定もしない。
「それで冒険者ランクは」
「1級。と言いたいけれど1級はギルド内で自由に決められないから2級ね。で、あなた達の希望は何級なの」
キャスリーンさんちょっと言葉遣いが変わってきてる。
「じゃあ7級で」
「は、ちょっと7級って聞こえたけど気のせいよね」
「気のせいじゃありませんよ。僕たちは7級からスタートを希望します」
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