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49話
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僕たちはどうにかキャスリーンさんを説得して7級冒険者として登録を済ませる。ただし、この街では必要な場合は2級として扱うことを認めさせられてしまった。
そして、宿を決め今いるのは武器屋。7級冒険者がミスリルの剣だとかオリハルコンコートの剣を持っているのはあまりに不自然なため、適当な鉄の剣を手に入れるためだ。
武器屋の中を二人で物色していると、店員が声を掛けてきた
「こんにちは。見ない顔だね。新人冒険者かい」
ちょうどミューが短剣を手に取ってみていたこともあり、更にミューに声を掛ける。肩に手を回してなんか馴れ馴れしい。
「それなんかは初心者向けだけどね。安い分切れないし、すぐ良いのと買い替えたくなるから、君の体格だとこっちの片手剣の方が……」
「うるさい」
ミューの機嫌が悪くなった。
「そんな余計なものはいらない。あたしは昔から2刀短剣のスタイル」
「ねえちゃん、オレ達プロとしての目で勧めてるんだよ。初心者が思い込みで戦闘スタイルを決めると後々辛いから言ってるんだ」
この店員は、本当の初心者だと思っているのか。それともミューをナンパしているつもりなのか。夫である僕の目の前で。それにしてもこれ以上放置するとミューが切れそう。というか僕も我慢できないので、間に入る。
「ミューやめとけ。喧嘩しても何の得もないよ。他に行けばいいだろ。それで今度ストレス解消にシルバーファングでも狩りに行こう」
「ぶう、シルバーファングくらいじゃストレス解消になんないってば」
手にしていた剣を元に戻し僕たちは店を出る。もっと絡んでくるかと思ったけれど、それ以上その店員も絡んでこなかったのでホッとしながら、
「さてと、どうしたものかな」
実際のところ鉄の剣が手に入らないことによるデメリットはいざという時に使う武器がどれも7級冒険者が使うようなものじゃなく目立つという事だけ。だけではあるが、現状僕たちは、変な目立ち方は避けたい。夫婦冒険者がオリハルコンコートだとかミスリルだとかの剣を持っていたら間違いなく「フェイ」と「ミーア」を連想するやつが出てくる。それは現状では、やはり避けたい。
「やっぱり他の武器屋で見繕うか」
この街は辺境で冒険者が多いからだろう、それほど街は大きくないけれど武器屋が3軒もある。3軒回れば1軒くらい当たりがあるだろう。
3軒目でどうにか鉄の剣を揃えられた。僕は、刃渡り110セルチと90セルチの片手剣、ミューは刃渡り60セルチの短剣を2振り。とりあえず、これで通常時の武器は揃った。明日から、しばらくはこの街で依頼をこなしながら時期を見て辺境伯領領都に向かうことにしよう。
翌日朝食を済ませさっそくギルドに向かう。二人とも昨日購入した鉄の剣を下げている。とりあえず目的は討伐系の依頼の受注。できれば街の有力者からの依頼を受けられると最高だ。もっとも街に来て1日2日の僕たちがそんな依頼を受けられるわけもないのだけれど。そして、あとはこの街での依頼の傾向を確認する。そんな事を目的にしてギルドの入り口をくぐった。
「あ、ファイ、ミュー待ってたぞ」
キャスリーンさんがいきなり声を掛けてきた。
「キャスリーンさん、なんですかいきなり」
「お前たち、昨日のテストでは対人を見せてもらったけど、本来は魔獣狩りが得意だって言ってたな」
「ええ、まあ。むしろ対人は本来苦手分野ですね」
「あれで苦手か。まあ、それは置いておいて。ある依頼人からレッドジャイアントの素材入手依頼があってな。できないか」
キャスリーンさんの表情をじっと見ていると
「いや、そのその依頼人の名前は言えないんだが、結構な有力者でなギルドとしても断りにくくてな」
「断りにくいは、良いんですけど。それ7級の依頼じゃないですよね」
レッドジャイアントは、上位に分類される魔獣。単体でもタフで攻撃力も高くそこそこに討伐難易度は高い。問題はこいつが通常群れで活動していることが多いところ。僕たちがミスリルコート以上の剣を持っていればそれほどではないけれど、鉄の剣だと少々というかかなりつらい。
「1級」
「え、なんですか」
「1級の依頼だって言ってんだよ」
「なら普通に1級か2級に頼んでくださいよ」
「いない」
「は」
「今この街には1級はおろか3級以上の冒険者はいないんだ。みな長期の依頼で出払っている」
「なら、依頼者に正直にそう言えばいいじゃないですか」
「それで済めばそうしている。数を揃えてでもなんとかしろと……」
「はあ、あれは数だけでなんとかできる魔獣じゃないでしょうが。1級とか長期の依頼で出払っているとは言っても登録してるんでしょう。帰ってくるまで待ったらいいじゃないですか」
「依頼の期限が5日後なんだ。もうお前たちに頼むしか手がない」
「無理です。僕らの武器はこれですよ」
鉄の剣を見せる。
そして、宿を決め今いるのは武器屋。7級冒険者がミスリルの剣だとかオリハルコンコートの剣を持っているのはあまりに不自然なため、適当な鉄の剣を手に入れるためだ。
武器屋の中を二人で物色していると、店員が声を掛けてきた
「こんにちは。見ない顔だね。新人冒険者かい」
ちょうどミューが短剣を手に取ってみていたこともあり、更にミューに声を掛ける。肩に手を回してなんか馴れ馴れしい。
「それなんかは初心者向けだけどね。安い分切れないし、すぐ良いのと買い替えたくなるから、君の体格だとこっちの片手剣の方が……」
「うるさい」
ミューの機嫌が悪くなった。
「そんな余計なものはいらない。あたしは昔から2刀短剣のスタイル」
「ねえちゃん、オレ達プロとしての目で勧めてるんだよ。初心者が思い込みで戦闘スタイルを決めると後々辛いから言ってるんだ」
この店員は、本当の初心者だと思っているのか。それともミューをナンパしているつもりなのか。夫である僕の目の前で。それにしてもこれ以上放置するとミューが切れそう。というか僕も我慢できないので、間に入る。
「ミューやめとけ。喧嘩しても何の得もないよ。他に行けばいいだろ。それで今度ストレス解消にシルバーファングでも狩りに行こう」
「ぶう、シルバーファングくらいじゃストレス解消になんないってば」
手にしていた剣を元に戻し僕たちは店を出る。もっと絡んでくるかと思ったけれど、それ以上その店員も絡んでこなかったのでホッとしながら、
「さてと、どうしたものかな」
実際のところ鉄の剣が手に入らないことによるデメリットはいざという時に使う武器がどれも7級冒険者が使うようなものじゃなく目立つという事だけ。だけではあるが、現状僕たちは、変な目立ち方は避けたい。夫婦冒険者がオリハルコンコートだとかミスリルだとかの剣を持っていたら間違いなく「フェイ」と「ミーア」を連想するやつが出てくる。それは現状では、やはり避けたい。
「やっぱり他の武器屋で見繕うか」
この街は辺境で冒険者が多いからだろう、それほど街は大きくないけれど武器屋が3軒もある。3軒回れば1軒くらい当たりがあるだろう。
3軒目でどうにか鉄の剣を揃えられた。僕は、刃渡り110セルチと90セルチの片手剣、ミューは刃渡り60セルチの短剣を2振り。とりあえず、これで通常時の武器は揃った。明日から、しばらくはこの街で依頼をこなしながら時期を見て辺境伯領領都に向かうことにしよう。
翌日朝食を済ませさっそくギルドに向かう。二人とも昨日購入した鉄の剣を下げている。とりあえず目的は討伐系の依頼の受注。できれば街の有力者からの依頼を受けられると最高だ。もっとも街に来て1日2日の僕たちがそんな依頼を受けられるわけもないのだけれど。そして、あとはこの街での依頼の傾向を確認する。そんな事を目的にしてギルドの入り口をくぐった。
「あ、ファイ、ミュー待ってたぞ」
キャスリーンさんがいきなり声を掛けてきた。
「キャスリーンさん、なんですかいきなり」
「お前たち、昨日のテストでは対人を見せてもらったけど、本来は魔獣狩りが得意だって言ってたな」
「ええ、まあ。むしろ対人は本来苦手分野ですね」
「あれで苦手か。まあ、それは置いておいて。ある依頼人からレッドジャイアントの素材入手依頼があってな。できないか」
キャスリーンさんの表情をじっと見ていると
「いや、そのその依頼人の名前は言えないんだが、結構な有力者でなギルドとしても断りにくくてな」
「断りにくいは、良いんですけど。それ7級の依頼じゃないですよね」
レッドジャイアントは、上位に分類される魔獣。単体でもタフで攻撃力も高くそこそこに討伐難易度は高い。問題はこいつが通常群れで活動していることが多いところ。僕たちがミスリルコート以上の剣を持っていればそれほどではないけれど、鉄の剣だと少々というかかなりつらい。
「1級」
「え、なんですか」
「1級の依頼だって言ってんだよ」
「なら普通に1級か2級に頼んでくださいよ」
「いない」
「は」
「今この街には1級はおろか3級以上の冒険者はいないんだ。みな長期の依頼で出払っている」
「なら、依頼者に正直にそう言えばいいじゃないですか」
「それで済めばそうしている。数を揃えてでもなんとかしろと……」
「はあ、あれは数だけでなんとかできる魔獣じゃないでしょうが。1級とか長期の依頼で出払っているとは言っても登録してるんでしょう。帰ってくるまで待ったらいいじゃないですか」
「依頼の期限が5日後なんだ。もうお前たちに頼むしか手がない」
「無理です。僕らの武器はこれですよ」
鉄の剣を見せる。
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