僕が守りたかったけれど

景空

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57話

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 「俺が後ろ盾になろうと言っているのだよ」
グラハム伯の言葉に僕たちは言葉を失った。僅かに迷った後、僕たちはそれを受け入れることにした。
 そして今、僕たちは辺境伯領領都エイリヤにいる。グラハム伯の屋敷でお世話になっており、普段は何をしていても自由だ。ただし、グラハム伯から要請があった時には公式に依頼を受け協力をしていた。依頼は主に上位魔獣の討伐で、僕たち2人だけの場合も多いけれど、ほかの冒険者と組んだことも2度ほどはあった。その活動実績で僕たちは4級冒険者になってる。
 今回の依頼は上位魔獣キュクロプスがアンデッド化したための討伐依頼。1級冒険者パーティー2つと僕たちの合計3パーティー合同での討伐だそうだ。今日は事前打ち合わせのためにギルドに来ている。受付でその旨申告するとギルドの打ち合わせ室に案内された。そこには如何にも上位者パーティー然とした冒険者パーティが集まっていた。
 お互いに意識をしながら用意されていた席に着きギルドマスターが来るのを待っている。これだけのメンバーを集めた討伐依頼、説明はギルドマスターが行うのが通常だ。
 しばらく待機していると、ギルドマスターのホセさんがノエミさんを伴って部屋に入ってきた。
「集まっているようだな。これからキュプロプスアンデッドの討伐についての打ち合わせを行う」
そう言ってメンバーをぐるりと見回す。
「まずは紹介をしよう。1級冒険者パーティ天の剣、同じく1級冒険者パーティグランの翼、そして4級冒険者のファイとミューだ。ところでファイ、ミュー、お前たちはいい加減パーティー名を決めないか」
参加メンバーがザワつく中ミューが答える。
「めんどい」
「めんどいって、そんなことを言っていると周囲が勝手に2つ名付けてそれが固定されるぞ。今でさえお前たちの事インヴィンシブルカップルとか、ファントムとか呼び始めてるのに」
「それはパーティー名付けたって勝手に付けられるあれでしょ。関係ないですよ。それより話を進めてください」
僕のうっとうしそうな言葉にホセさんもあきらめて話を進め始めた。
「とりあえず、それぞれ自己紹介をしてくれ。まずは天の剣から」
「天の剣だ。俺がリーダーのウィレム、戦士だ、そして僧侶のロレーナ、魔術師ダニエラ、スカウトのユリウス、軽戦士のクレールの5人パーティで全員祝福持ちだ、頼ってくれていい」
「じゃあ次はオレ達だな。グランの翼、軽戦士でリーダーのイジドールだ。こいつが戦士のアイマル。その隣が僧侶のハンス。後ろにいるのがスカウトのキャリーだ。オレ達も全員祝福もちだ期待してくれ」
「僕たちで最後ですね。僕がファイです。隣にいるのが妻のミュー。2人とも軽戦士です。ここに呼ばれる以上分かっていると思いますが僕たちも祝福持ちです。ギルド登録前から魔獣狩りは慣れたものなので登録級以上に役に立てると思います。よろしく」
そこにウィレムさんが口を挟んできた。
「祝福持ちで辺境伯が実力保証は良いが、やはり4級というのは不安要素だ。ギルマス彼らを外すことは出来ないのか」
「悪いが、それは出来ない」
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