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88話
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「こ、侯爵閣下。これはなんの嫌がらせなのでしょうか」
ギルドマスターのホセさんが泣きそうな顔で僕に不当を訴えている。
「ん、何が不満なのですか。質が悪いとでもいわれますか」
「いえ、質は最上といえるものです」
「ふむ、低レベルすぎますか」
「いえ、レベルもこれ以上は求められないほど上位の魔獣です」
「では、数が足りませんか」
そこでついにホセさんが逆上した。
「ふざけないでください。なんですかこの上位魔獣ばかり213体。しかもそのうち21体は見たことのない新種じゃないですか。どうしろと言うのですか。こんなものも買取したらギルドの金庫をさかさまにしても足りませんよ。私に死ねとでも言われるのですか」
僕達が今いるのはギルドが管理している闘技場。今回深層で八つ当たりと称して僕とミーアが狩ってきた上位魔獣はとてもギルドの買い取り解体エリアに入り切るものではなかったため、こちらで開示しているのだけれど、それを見たホセさんがまるで絶対に倒せない魔獣を目の当たりにした冒険者のように絶望の声を上げているのだ。
「いや、別に即金でよこせとか言いませんから」
ホセさんの目に微かに光が戻った
「そ、それでは」
「これ預けておきますから売れた分だけ買取するって方法なら負担にはならないでしょう。別に僕たちはお金に困っているわけではないですから」
ホセさんの目から大粒の涙が……
「あ、ありがとうございます。冒険者の狩ってきた魔獣をギルドが買い取らないなどという前歴を作ってはギルドの信用問題になるところでした」
そこで僕は一応の連絡をする。
「あ、それですね。僕とミーアはこれから辺境伯の依頼で森の深層の更に奥の予備調査に向かいます。多分30日くらい帰らないと思いますのでよろしく」
再びホセさんの目の光が消えた。
「それは、おふたりが深層のさらに奥で暴れて、そこにいる魔獣を狩りまくってくるという解釈でよろしいでしょうか」
「ホセさんが僕達をどう思っているのか分かってなんか微妙ですし、微妙に目的が置き換わっているようにも思えるのですが、まあ大体そんな感じです」
死んだ目をして、それでも仕事は忘れないホセさんが聞いてきた。
「それでいつから行かれるのですか」
「少し準備をしたいので多分7日後くらいに出発することになると思います」
「出発の際には一応ギルドにもご連絡をお願いしますね」
「もちろんですよ」
僕がニッコリと笑って言うと、ホセさんは何故かがっくりとうなだれてしまった。
深層で狩った魔獣をギルドに預けた僕とミーアはレオポルトさんを訪ねている。
「ね、フェイ。レオポルトさんを訪ねるってことはオリハルコンの剣関係ってことよね」
「ん、それだけじゃないけれど、まあ一番の目的ではあるね。ほら、今度深層の更に奥に行くことになったからね。今の剣はバランスも良いし気に入っているけどさ、どっちかというと手数重視だからね、1撃の重さとリーチ重視の剣を念のため準備しておこうかと思ってね。使わずに済めはそれに越したことは無いけどさ。ミーアも何か希望があったら頼むといいよ」
レオポルトさんには新しい剣といくつかの頼みごとをして引き上げた。
「じゃあ、7日後には渡せるように準備しておく」
「はい、お願いしますね」
一通りの依頼を終えて僕たちは屋敷に戻る。急ぐ必要もないので街をブラブラと歩く。領都を歩いていると街の人から声を掛けられることがよくある。
「グリフィン侯爵こんにちわ」
「やあ、こんにちわ」
「侯爵が上位魔獣を大量に狩ってこられたって噂で聞いたのですがどのくらい狩られたのですか」
どうやら、大量に狩ってきたこと自体は疑わないらしい。
「ギルドに渡して数えてもらったのですが、213体だったそうですよ」
「ふわぁさすが侯爵ご夫妻ですね」
「僕たちは戦う事しか能がないですからね」
「いえいえ、スタンピードの英雄。帝国の守護神と称される侯爵夫妻には皆感謝しているのですから」
「感謝ですか」
ミーアの唇から疑問がこぼれる。
「そうですよ。おふたりがこの街にいてくださるだけで安心していられるのですから」
僕たちがここまで評価され受け入れられているのを実感するのは嬉しい。
「それにやっと表に出て来てくださるようになって街の皆も喜んでいるんですよ」
どうやら心配を掛けていたようだ。
「それは、心配を掛けてすまなかったね」
「いえ、おふたりの気持ちはわかりますので。あ、すみません余計なことを」
それは僕達にチクリと胸の痛みを与え、同時に街の人たちの温かさを感じさせてくれる言葉で
「いえ、ありがとうございます」
街の人の言葉を胸に温かいものを感じ少し心が軽くなった気がした。
ギルドマスターのホセさんが泣きそうな顔で僕に不当を訴えている。
「ん、何が不満なのですか。質が悪いとでもいわれますか」
「いえ、質は最上といえるものです」
「ふむ、低レベルすぎますか」
「いえ、レベルもこれ以上は求められないほど上位の魔獣です」
「では、数が足りませんか」
そこでついにホセさんが逆上した。
「ふざけないでください。なんですかこの上位魔獣ばかり213体。しかもそのうち21体は見たことのない新種じゃないですか。どうしろと言うのですか。こんなものも買取したらギルドの金庫をさかさまにしても足りませんよ。私に死ねとでも言われるのですか」
僕達が今いるのはギルドが管理している闘技場。今回深層で八つ当たりと称して僕とミーアが狩ってきた上位魔獣はとてもギルドの買い取り解体エリアに入り切るものではなかったため、こちらで開示しているのだけれど、それを見たホセさんがまるで絶対に倒せない魔獣を目の当たりにした冒険者のように絶望の声を上げているのだ。
「いや、別に即金でよこせとか言いませんから」
ホセさんの目に微かに光が戻った
「そ、それでは」
「これ預けておきますから売れた分だけ買取するって方法なら負担にはならないでしょう。別に僕たちはお金に困っているわけではないですから」
ホセさんの目から大粒の涙が……
「あ、ありがとうございます。冒険者の狩ってきた魔獣をギルドが買い取らないなどという前歴を作ってはギルドの信用問題になるところでした」
そこで僕は一応の連絡をする。
「あ、それですね。僕とミーアはこれから辺境伯の依頼で森の深層の更に奥の予備調査に向かいます。多分30日くらい帰らないと思いますのでよろしく」
再びホセさんの目の光が消えた。
「それは、おふたりが深層のさらに奥で暴れて、そこにいる魔獣を狩りまくってくるという解釈でよろしいでしょうか」
「ホセさんが僕達をどう思っているのか分かってなんか微妙ですし、微妙に目的が置き換わっているようにも思えるのですが、まあ大体そんな感じです」
死んだ目をして、それでも仕事は忘れないホセさんが聞いてきた。
「それでいつから行かれるのですか」
「少し準備をしたいので多分7日後くらいに出発することになると思います」
「出発の際には一応ギルドにもご連絡をお願いしますね」
「もちろんですよ」
僕がニッコリと笑って言うと、ホセさんは何故かがっくりとうなだれてしまった。
深層で狩った魔獣をギルドに預けた僕とミーアはレオポルトさんを訪ねている。
「ね、フェイ。レオポルトさんを訪ねるってことはオリハルコンの剣関係ってことよね」
「ん、それだけじゃないけれど、まあ一番の目的ではあるね。ほら、今度深層の更に奥に行くことになったからね。今の剣はバランスも良いし気に入っているけどさ、どっちかというと手数重視だからね、1撃の重さとリーチ重視の剣を念のため準備しておこうかと思ってね。使わずに済めはそれに越したことは無いけどさ。ミーアも何か希望があったら頼むといいよ」
レオポルトさんには新しい剣といくつかの頼みごとをして引き上げた。
「じゃあ、7日後には渡せるように準備しておく」
「はい、お願いしますね」
一通りの依頼を終えて僕たちは屋敷に戻る。急ぐ必要もないので街をブラブラと歩く。領都を歩いていると街の人から声を掛けられることがよくある。
「グリフィン侯爵こんにちわ」
「やあ、こんにちわ」
「侯爵が上位魔獣を大量に狩ってこられたって噂で聞いたのですがどのくらい狩られたのですか」
どうやら、大量に狩ってきたこと自体は疑わないらしい。
「ギルドに渡して数えてもらったのですが、213体だったそうですよ」
「ふわぁさすが侯爵ご夫妻ですね」
「僕たちは戦う事しか能がないですからね」
「いえいえ、スタンピードの英雄。帝国の守護神と称される侯爵夫妻には皆感謝しているのですから」
「感謝ですか」
ミーアの唇から疑問がこぼれる。
「そうですよ。おふたりがこの街にいてくださるだけで安心していられるのですから」
僕たちがここまで評価され受け入れられているのを実感するのは嬉しい。
「それにやっと表に出て来てくださるようになって街の皆も喜んでいるんですよ」
どうやら心配を掛けていたようだ。
「それは、心配を掛けてすまなかったね」
「いえ、おふたりの気持ちはわかりますので。あ、すみません余計なことを」
それは僕達にチクリと胸の痛みを与え、同時に街の人たちの温かさを感じさせてくれる言葉で
「いえ、ありがとうございます」
街の人の言葉を胸に温かいものを感じ少し心が軽くなった気がした。
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