102 / 166
102話
しおりを挟む
翼を広げたウィンドドラゴンが空に舞い、僕たちの剣は空を切った。およそ50メルドの空、地上であればほんの僅かなその距離が空であれば剣を届かせない。もはやこれまで、一方的な蹂躙を受けるしか……、もし僕たちが戦士や剣士であったならそうだろう、ウィンドドラゴンもきっとそれを狙っている。でも、僕たちは狩人だ。鍛錬と経験から上位の戦士や剣士に勝るとも劣らず剣を扱えるけれど。だからウィンドドラゴンのこの行動は飛び上がったように見えて僕たちの本来の戦いのフィールドに降りてきただけ。だから焦る必要はない。僕は深呼吸をひとつ、そして
「ミーア。これは僕たちの間合いだ。やるよ」
「はい、逃がしません」
僕は漆黒の長弓を、ミーアは白緑の狩弓を手にした。つがえるのはオリハルコンの鏃をもたせた矢。そして何よりウィンドドラゴンは空に逃げて油断している。狙うべきはやはり
「ミーア、目だ」
「うん」
「僕が右、ミーアが左。目を潰したら頭部を下から、そして魔法陣展開してきたら口にぶち込む」
「わかった」
「たかがでっかいトカゲが空を飛んでいるだけだ。やるよ。タイミングはミーアに合わせる」
「はい、いきます」
そして射る。2筋の金色の光が空を彩り、空にいるウィンドドラゴンを襲う。それはウィンドドラゴンにとって想定外の事だったのだろう。だから対処が一瞬遅れた。そしてその一瞬の遅れはウィンドドラゴンが金色の光から逃れる時間を奪うことになる。できたのは目をつぶり、竜の鱗に覆われた瞼で目を守る。それだけだった。これが鉄の鏃の矢だったなら、多少の傷こそ負ったかもしれないけれど、その頑強な瞼は矢を弾けただろう。けれど、今僕とミーアが放ったのは勇者の剣、聖剣にさえ使われるオリハルコンの鏃を使った矢、それに僕たちは祝福の力をのせて放った。いくら頑強な竜の鱗とはいえ瞼程度ではさほどの抵抗もなく貫く。そしてウィングドラゴンはは両の目を失った。そこでウィンドドラゴンは怒りのままに魔法を放とうと顎を開き魔法陣を不用意に展開した。これこそ僕たちの求めたチャンス。僕もミーアもここぞとばかりに矢を射る。金色の光をなびかせ数条のオリハルコンの鏃をもつ矢がウィンドドラゴンの口腔を穿つ。展開されていた魔法陣は消滅し、もはや口を閉じることさえできなくなったウィンドドラゴンが力なく落下してくる。”ドオオオン”大きな地響きと共に地に伏せる竜の身体から何かキラキラしたものが飛び散っているのが見える。僕とミーアは慎重に歩を進め力なく横たわるウィンドドラゴンに近づいた。僕とミーアが剣の間合いに入るとウィンドドラゴンは唐突に声を出した。
「小さく大きな人の子よ」
咄嗟に僕たちは剣を構える。
「慌てることは無い。我はもう戦う事はかなわぬ。お前たちの勝ちだ」
そこにはすでに敵意も戦意も無かった。
「最後に、我を正面から打ち破ったお前たちに持って行ってもらいたいものがある」
「持って行って欲しい物」
僕が訝し気に聞くと。
「何、別に手に持っていくようなものでは無い。しかし、我の存在そのものといえるものだ。受け入れてくれぬか。お前たちなら器として十分だろう」
僕とミーアは少し困惑したものの、死の直前の願いとあればと頷いた。
「受け入れよう」
「あたしも受け入れるわ」
「感謝する」
ウィンドドラゴンの言葉と共に今までキラキラと飛び散っていたものが僕たちに向かってゆっくりと収束してくる。ハッとして身構えたけれど、特に異常はない。ミーアを見ると
「うわあ、綺麗ね」
と喜んでいる。特に熱いとか痛いとかもないので様子を見ていると、集まってきたキラキラしたものがゆっくりと僕たちの中に入ってくる。
「これは、なんだ」
僕が疑問を口にすると
「言っただろう。我の存在そのものだと」
「存在そのものと言われても何のことだか」
「ふふふ、お前たちの言葉では祝福というのだったか。それを受け入れることでお前たちは我の力を身に宿すことになる。我に打ち勝った褒賞だと思って持っていけ。それは濁ることがなければお前たちの子々孫々まで受け継がれるだろう」
そこまで話すと、ウィンドドラゴンは口を閉ざし首を地に降ろした。
「ミーア。これは僕たちの間合いだ。やるよ」
「はい、逃がしません」
僕は漆黒の長弓を、ミーアは白緑の狩弓を手にした。つがえるのはオリハルコンの鏃をもたせた矢。そして何よりウィンドドラゴンは空に逃げて油断している。狙うべきはやはり
「ミーア、目だ」
「うん」
「僕が右、ミーアが左。目を潰したら頭部を下から、そして魔法陣展開してきたら口にぶち込む」
「わかった」
「たかがでっかいトカゲが空を飛んでいるだけだ。やるよ。タイミングはミーアに合わせる」
「はい、いきます」
そして射る。2筋の金色の光が空を彩り、空にいるウィンドドラゴンを襲う。それはウィンドドラゴンにとって想定外の事だったのだろう。だから対処が一瞬遅れた。そしてその一瞬の遅れはウィンドドラゴンが金色の光から逃れる時間を奪うことになる。できたのは目をつぶり、竜の鱗に覆われた瞼で目を守る。それだけだった。これが鉄の鏃の矢だったなら、多少の傷こそ負ったかもしれないけれど、その頑強な瞼は矢を弾けただろう。けれど、今僕とミーアが放ったのは勇者の剣、聖剣にさえ使われるオリハルコンの鏃を使った矢、それに僕たちは祝福の力をのせて放った。いくら頑強な竜の鱗とはいえ瞼程度ではさほどの抵抗もなく貫く。そしてウィングドラゴンはは両の目を失った。そこでウィンドドラゴンは怒りのままに魔法を放とうと顎を開き魔法陣を不用意に展開した。これこそ僕たちの求めたチャンス。僕もミーアもここぞとばかりに矢を射る。金色の光をなびかせ数条のオリハルコンの鏃をもつ矢がウィンドドラゴンの口腔を穿つ。展開されていた魔法陣は消滅し、もはや口を閉じることさえできなくなったウィンドドラゴンが力なく落下してくる。”ドオオオン”大きな地響きと共に地に伏せる竜の身体から何かキラキラしたものが飛び散っているのが見える。僕とミーアは慎重に歩を進め力なく横たわるウィンドドラゴンに近づいた。僕とミーアが剣の間合いに入るとウィンドドラゴンは唐突に声を出した。
「小さく大きな人の子よ」
咄嗟に僕たちは剣を構える。
「慌てることは無い。我はもう戦う事はかなわぬ。お前たちの勝ちだ」
そこにはすでに敵意も戦意も無かった。
「最後に、我を正面から打ち破ったお前たちに持って行ってもらいたいものがある」
「持って行って欲しい物」
僕が訝し気に聞くと。
「何、別に手に持っていくようなものでは無い。しかし、我の存在そのものといえるものだ。受け入れてくれぬか。お前たちなら器として十分だろう」
僕とミーアは少し困惑したものの、死の直前の願いとあればと頷いた。
「受け入れよう」
「あたしも受け入れるわ」
「感謝する」
ウィンドドラゴンの言葉と共に今までキラキラと飛び散っていたものが僕たちに向かってゆっくりと収束してくる。ハッとして身構えたけれど、特に異常はない。ミーアを見ると
「うわあ、綺麗ね」
と喜んでいる。特に熱いとか痛いとかもないので様子を見ていると、集まってきたキラキラしたものがゆっくりと僕たちの中に入ってくる。
「これは、なんだ」
僕が疑問を口にすると
「言っただろう。我の存在そのものだと」
「存在そのものと言われても何のことだか」
「ふふふ、お前たちの言葉では祝福というのだったか。それを受け入れることでお前たちは我の力を身に宿すことになる。我に打ち勝った褒賞だと思って持っていけ。それは濁ることがなければお前たちの子々孫々まで受け継がれるだろう」
そこまで話すと、ウィンドドラゴンは口を閉ざし首を地に降ろした。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
タイム連打ってなんだよ(困惑)
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」
王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。
パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。
アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。
「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」
目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?
※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。
『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる