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130話
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「フェイウェル殿、ミーア殿よくいらして下さった」
「久しぶりです、勇者様。アーセルも変わりないようで何より」
「そちらのお子は」
「うん、僕たちも子供を授かってね。向こうの女の子がイングリッド、あちらの男の子がエルンスト」
僕が型通りの挨拶をしている間にミーアはアーセルと抱き合うように再会を喜んでいる。そんな様子を見た我が子たちは、あっけにとられた風だ。
「あの、パパ、ママ。勇者様とお知り合いなのですか」
少々外向けの猫を被ったイングリットが聞いてきた。答えたのは勇者様本人
「君たちのご両親は、アーセルとは幼馴染で、我がパーティーの恩人なんだよ」
「え、でも勇者様って王種の討伐を2回も成功させている凄い人だって……」
「フェイウェル殿、お子にどんな教え方をされているのですか」
「うん、嘘ではないでしょう。あなた方がリトルデビルとファイアーデビルを討伐したのは間違いないのですから」
「色々とフェイウェル殿の恣意的な言い回しを感じますね。確かに我々はリトルデビルもファイアーデビルも討伐しましたが、どちらの時もあなた方のサポートがあったからこその成果ではないですか。むしろあなた方こそが主力だったと我々は思っていますよ」
「でも勇者様、勇者様の持つ聖剣以外では王種は倒せないって……」
「そうね、よく知っているね。でもエルンスト君、その聖剣を王種に当てることが出来なかったら倒せるかな」
横で聞いていたエルンストの問いかけにアーセルが優しく答える。
「え、えと、どんなに強力でも当たらなければ倒せません」
「そうね、じゃあどうしたら当てられるようにできると思う」
エルンストを見ると、真剣に考えたうえで
「王種を動けないようにする……でしょうか」
その答えにクスクスと笑顔を向け
「近いけれど、さすがに王種を動けなくする方法はないかなあ」
「それじゃどうやったら」
エルンストはアーセルの答えに疑問を隠さない。そこに不意に真剣な表情を見せアーセルが答える。
「王種の敵意と攻撃を勇者以外の誰かが完全に引き受けるのよ」
それを聞きエルンストは何を言っているんだという表情を浮かべ
「でも聖女様。王種の敵意と攻撃を引き受けるって、それは」
「そうね、普通なら死んでくださいと言うのと一緒。でも王種との戦いの間ずっとそれを勇者以外の誰かが引き受けてくれたとしたらどうかしら」
「勇者様は、一方的に攻撃を続けられる。でもまさか……」
エルンストは、それでも疑問を感じながら返事をしている。僕は何か口を挟みたいのだけれど何も思い浮かばす横から見ているだけしかできない。
「そう。そしてそのまさかをしてくれたのが、あなた達のご両親。フェイとミーア。2度の王種討伐は、あなた達のご両親がいなければ出来なかったし、あたし達も生きてここに居られなかったでしょうね」
「もう、さすがに照れくさいからそのくらいにしてちょうだい」
ミーアが我慢できずに割って入った。
「ただ、その時僕たちに出来ることをしただけだしね。あまり大げさに言われると逃げたくなるよ」
その後は穏やかに近況や思い出話に花を咲かせた。ただ、ふたりの子供の僕たちを見る目が変わったような落ち着かなさは感じ、ちょっとアーセルを睨んでしまった。
「久しぶりです、勇者様。アーセルも変わりないようで何より」
「そちらのお子は」
「うん、僕たちも子供を授かってね。向こうの女の子がイングリッド、あちらの男の子がエルンスト」
僕が型通りの挨拶をしている間にミーアはアーセルと抱き合うように再会を喜んでいる。そんな様子を見た我が子たちは、あっけにとられた風だ。
「あの、パパ、ママ。勇者様とお知り合いなのですか」
少々外向けの猫を被ったイングリットが聞いてきた。答えたのは勇者様本人
「君たちのご両親は、アーセルとは幼馴染で、我がパーティーの恩人なんだよ」
「え、でも勇者様って王種の討伐を2回も成功させている凄い人だって……」
「フェイウェル殿、お子にどんな教え方をされているのですか」
「うん、嘘ではないでしょう。あなた方がリトルデビルとファイアーデビルを討伐したのは間違いないのですから」
「色々とフェイウェル殿の恣意的な言い回しを感じますね。確かに我々はリトルデビルもファイアーデビルも討伐しましたが、どちらの時もあなた方のサポートがあったからこその成果ではないですか。むしろあなた方こそが主力だったと我々は思っていますよ」
「でも勇者様、勇者様の持つ聖剣以外では王種は倒せないって……」
「そうね、よく知っているね。でもエルンスト君、その聖剣を王種に当てることが出来なかったら倒せるかな」
横で聞いていたエルンストの問いかけにアーセルが優しく答える。
「え、えと、どんなに強力でも当たらなければ倒せません」
「そうね、じゃあどうしたら当てられるようにできると思う」
エルンストを見ると、真剣に考えたうえで
「王種を動けないようにする……でしょうか」
その答えにクスクスと笑顔を向け
「近いけれど、さすがに王種を動けなくする方法はないかなあ」
「それじゃどうやったら」
エルンストはアーセルの答えに疑問を隠さない。そこに不意に真剣な表情を見せアーセルが答える。
「王種の敵意と攻撃を勇者以外の誰かが完全に引き受けるのよ」
それを聞きエルンストは何を言っているんだという表情を浮かべ
「でも聖女様。王種の敵意と攻撃を引き受けるって、それは」
「そうね、普通なら死んでくださいと言うのと一緒。でも王種との戦いの間ずっとそれを勇者以外の誰かが引き受けてくれたとしたらどうかしら」
「勇者様は、一方的に攻撃を続けられる。でもまさか……」
エルンストは、それでも疑問を感じながら返事をしている。僕は何か口を挟みたいのだけれど何も思い浮かばす横から見ているだけしかできない。
「そう。そしてそのまさかをしてくれたのが、あなた達のご両親。フェイとミーア。2度の王種討伐は、あなた達のご両親がいなければ出来なかったし、あたし達も生きてここに居られなかったでしょうね」
「もう、さすがに照れくさいからそのくらいにしてちょうだい」
ミーアが我慢できずに割って入った。
「ただ、その時僕たちに出来ることをしただけだしね。あまり大げさに言われると逃げたくなるよ」
その後は穏やかに近況や思い出話に花を咲かせた。ただ、ふたりの子供の僕たちを見る目が変わったような落ち着かなさは感じ、ちょっとアーセルを睨んでしまった。
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