68 / 155
ギルドからの依頼
第68話 自意識過剰?
しおりを挟む
「で、それがその魔法用の的なのか?」
ニコレッタさんの魔法講義のあと、2つの的を譲り受けて、ハンターギルドの紹介で借りた家に持ち帰ったの。それを見た瑶さんがちょっと微妙な顔で見てるわね。
ああ、そうよね、瑶さんも魔法が使えるのだもの感じるわよね。
「そうらしいです。耐魔法の処理がされているそうで、ニコレッタさんの放ったファイヤーランスに問題なく耐えていました。でも……」
「うん?ファイヤーランスと言えば中級の火属性魔法だろう。結構な耐魔法性があるってことじゃないのか?」
「はい、そこは多分間違いは無いと思うんです。でも、その……」
あたしが口ごもると、瑶さんが怪訝な顔でこちらをうかがってきた。うう、言い難いけど、これは大事な情報よね。
「その、魔法の威力が低いというか、固定というか……」
「うん?朝未は同じ魔法を色々な威力で使うよね」
「あたしはそうなんですが、どうやらこの世界の魔法って威力も魔力消費も固定で、このまえあたしがやったみたいな魔力を盛大に込めて効果アップなんて出来ないそうなんです。その代わりじゃないでしょうけど、魔法を使って倒れるとかも無いということで、一部例外があるのは聖属性魔法だけで、それも普通は僅かな違いだそうです。そして、ここからがまた問題で大幅に威力効果を上げられるのは聖女だけだそうです。さらに普通は聖女は聖属性魔法以外は使えないそうなんです」
「魔法と魔力の事はともかくとして、聖女は聖属性魔法以外使えない?」
「ええ」
「どういうことだ?ステファノスさんは、そんなことは言わなかった。むしろ他の属性魔法に聖属性が乗るのを気にしていた?」
「ひょっとすると……」
「ん?朝未。何か気付いた事がある?」
「いえ、それほどではないのですけど、この世界って元の世界と比べて明らかに情報の伝達速度が遅いですよね」
「ああ、そうだね。テレビもネットも無いし、一般庶民はごく近くのこと以外にはほとんど関心が無いし、ほとんど街から移動しないうえに電話なんかもないから口コミで広がることも無い」
「例えば王族とか神殿の高位の神官?司祭?そういった人ならある程度正確な情報を持っていると思いますし、ギルドマスタークラスなら一般的な情報はかなり持っていると思います。でもこの世界で聖属性魔法ってかなりレアみたいじゃないですか。ましてや聖女関連となればなおさらですよね」
あ、瑶さん頷いて、考え込んだわ。
「つまり、情報の精度は元の世界に比べるとかなり落ちる可能性が高いと、朝未はそう言いたいのかな?」
あたしが頷くと、瑶さんは顎を手でこすりながら口を開いた。
「私としても一般論としてはそうだと思っている。ただ、聖女の情報あたりだとかなり重要性が高くなるから、朝未の言う王族や高位の神官あたりはある程度の正確な情報を持っていると思う。だからと言って市井に正確な情報を流すとは限らないけどね」
「つまり、ニコレッタさんの魔法の技術理論はともかくとして情報に関しては信憑性が必ずしも高くないってことですか?」
「そうだね、むしろハンターギルドのギルドマスターという地位をもつステファノスさんの情報の方が多少は信憑性が高いかな」
「ぶう、それじゃ今日あたしがニコレッタさんのところで勉強したのも支払ったお金も無駄だったってことですか?」
「それは、また別だよ。この世界での一般的な魔法について知ることが出来たし、エルリックにおけるナンバー1魔法使いの中での聖女の位置づけも聞けたんだから。それはそれで有益な情報だと思うよ」
「そ、そうですよね。よかった。安くないお金使って全部無駄なんて言われたらどうしようかと思いました」
「今回は実際に有益な情報もあったけどね、もしこれで有益な情報が無くても、それはそれで私たちの経験になるから無駄にはならないよ。そういう面まで含めてこの世界の常識を知っていく必要もあると思うからね」
「はい、何事も経験ですね」
「それで、変異種討伐にはまだ1回しか行ってないですけど。どうしましょう?行くんですよね」
「そうだね。ただ、すぐにというのは危険かな。とりあえず、朝未が魔法に込める魔力の感覚を掴んでからにしたいね。本当は出来るだけホーリーは使わずに済ませたいとは思うけど、必要に迫られることも想定するべきだと思うしね。だから朝未は、家の中でホーリーの練習をすること。家の中でなら誰かに見られて気付かれることもないだろうからね」
「う、そうですよね。魔法2発でぶっ倒れるとか、それこそどこの地雷だって感じですもんね」
あたしはちょっと俯いて気合を入れなおした。うん、頑張る。
「私は、他にもちょっと気になることがあるので、朝未が練習してる間に別で検証しようと思う」
え?別行動?それはちょっと嫌なんだけど。
「ふふ、そんな不安そうな顔しなくてもいいよ。別にどこかに行くわけじゃないからね。ちゃんと朝未は守るから」
うぐ、なんか最近の瑶さんちょっと違ってきてないかしら。そりゃこの家を借りる話をしたときも甘えちゃった自覚はあるけど。だんだんとただのバディや子供に対するのと違ってきてない?それともあたしの自意識過剰?
ニコレッタさんの魔法講義のあと、2つの的を譲り受けて、ハンターギルドの紹介で借りた家に持ち帰ったの。それを見た瑶さんがちょっと微妙な顔で見てるわね。
ああ、そうよね、瑶さんも魔法が使えるのだもの感じるわよね。
「そうらしいです。耐魔法の処理がされているそうで、ニコレッタさんの放ったファイヤーランスに問題なく耐えていました。でも……」
「うん?ファイヤーランスと言えば中級の火属性魔法だろう。結構な耐魔法性があるってことじゃないのか?」
「はい、そこは多分間違いは無いと思うんです。でも、その……」
あたしが口ごもると、瑶さんが怪訝な顔でこちらをうかがってきた。うう、言い難いけど、これは大事な情報よね。
「その、魔法の威力が低いというか、固定というか……」
「うん?朝未は同じ魔法を色々な威力で使うよね」
「あたしはそうなんですが、どうやらこの世界の魔法って威力も魔力消費も固定で、このまえあたしがやったみたいな魔力を盛大に込めて効果アップなんて出来ないそうなんです。その代わりじゃないでしょうけど、魔法を使って倒れるとかも無いということで、一部例外があるのは聖属性魔法だけで、それも普通は僅かな違いだそうです。そして、ここからがまた問題で大幅に威力効果を上げられるのは聖女だけだそうです。さらに普通は聖女は聖属性魔法以外は使えないそうなんです」
「魔法と魔力の事はともかくとして、聖女は聖属性魔法以外使えない?」
「ええ」
「どういうことだ?ステファノスさんは、そんなことは言わなかった。むしろ他の属性魔法に聖属性が乗るのを気にしていた?」
「ひょっとすると……」
「ん?朝未。何か気付いた事がある?」
「いえ、それほどではないのですけど、この世界って元の世界と比べて明らかに情報の伝達速度が遅いですよね」
「ああ、そうだね。テレビもネットも無いし、一般庶民はごく近くのこと以外にはほとんど関心が無いし、ほとんど街から移動しないうえに電話なんかもないから口コミで広がることも無い」
「例えば王族とか神殿の高位の神官?司祭?そういった人ならある程度正確な情報を持っていると思いますし、ギルドマスタークラスなら一般的な情報はかなり持っていると思います。でもこの世界で聖属性魔法ってかなりレアみたいじゃないですか。ましてや聖女関連となればなおさらですよね」
あ、瑶さん頷いて、考え込んだわ。
「つまり、情報の精度は元の世界に比べるとかなり落ちる可能性が高いと、朝未はそう言いたいのかな?」
あたしが頷くと、瑶さんは顎を手でこすりながら口を開いた。
「私としても一般論としてはそうだと思っている。ただ、聖女の情報あたりだとかなり重要性が高くなるから、朝未の言う王族や高位の神官あたりはある程度の正確な情報を持っていると思う。だからと言って市井に正確な情報を流すとは限らないけどね」
「つまり、ニコレッタさんの魔法の技術理論はともかくとして情報に関しては信憑性が必ずしも高くないってことですか?」
「そうだね、むしろハンターギルドのギルドマスターという地位をもつステファノスさんの情報の方が多少は信憑性が高いかな」
「ぶう、それじゃ今日あたしがニコレッタさんのところで勉強したのも支払ったお金も無駄だったってことですか?」
「それは、また別だよ。この世界での一般的な魔法について知ることが出来たし、エルリックにおけるナンバー1魔法使いの中での聖女の位置づけも聞けたんだから。それはそれで有益な情報だと思うよ」
「そ、そうですよね。よかった。安くないお金使って全部無駄なんて言われたらどうしようかと思いました」
「今回は実際に有益な情報もあったけどね、もしこれで有益な情報が無くても、それはそれで私たちの経験になるから無駄にはならないよ。そういう面まで含めてこの世界の常識を知っていく必要もあると思うからね」
「はい、何事も経験ですね」
「それで、変異種討伐にはまだ1回しか行ってないですけど。どうしましょう?行くんですよね」
「そうだね。ただ、すぐにというのは危険かな。とりあえず、朝未が魔法に込める魔力の感覚を掴んでからにしたいね。本当は出来るだけホーリーは使わずに済ませたいとは思うけど、必要に迫られることも想定するべきだと思うしね。だから朝未は、家の中でホーリーの練習をすること。家の中でなら誰かに見られて気付かれることもないだろうからね」
「う、そうですよね。魔法2発でぶっ倒れるとか、それこそどこの地雷だって感じですもんね」
あたしはちょっと俯いて気合を入れなおした。うん、頑張る。
「私は、他にもちょっと気になることがあるので、朝未が練習してる間に別で検証しようと思う」
え?別行動?それはちょっと嫌なんだけど。
「ふふ、そんな不安そうな顔しなくてもいいよ。別にどこかに行くわけじゃないからね。ちゃんと朝未は守るから」
うぐ、なんか最近の瑶さんちょっと違ってきてないかしら。そりゃこの家を借りる話をしたときも甘えちゃった自覚はあるけど。だんだんとただのバディや子供に対するのと違ってきてない?それともあたしの自意識過剰?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。
石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど
ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。
でも私は石の聖女。
石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。
幼馴染の従者も一緒だし。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる