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ギルドからの依頼
第71話 見せつける
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あたし達は、さっそく捜索を再開し、30分ほど歩いた頃にあたしの探知魔法に反応があった。いつものようにウィンドイヤーに魔力をつぎ込んで拡大をする。
「瑶さん。敵です。たぶんオーク」
「数は?」
「それはまだ。探知魔法で分かる範囲には4体、いえ5体です。探知魔法の範囲に入ったり出たりしていますから、多分もう少し多いんじゃないかと思います。今までの例と付き合わせると恐らく10体はいるんじゃないかと」
ウィンドイヤーは比較的簡単に効果を拡大できるけど、あくまでも耳で聞いた音をマッピングするような魔法なのでちょっと分かりにくいのよね。その分、意識を向けるとその対象の話している言葉も聞こえるので便利といえば便利なのだけど。ちょっと盗み聞きみたいで罪悪感感じるから街中ではあまり使わないようにしてるのよね。
「方向は?」
「進行方向のやや右側です」
「わかった。今回は私達の殲滅力を見せつけるのが目的だから、朝未も最初の2、3体は弓で倒していいけど、そのあとは近接戦闘でね。突出し過ぎないように私の横を基本に、囲まれた時には私の背中に周るようにね。じゃあ風下から接近できるように案内して」
「はい」
あたしは慎重に風向きを見ながら魔物の群れに向かって先導しているのだけど……。
「朝未、うしろの連中はどうだ?変な動きは無いか?」
「ええ、今のところは、あたし達が急に進路を変えた事を不思議そうにしているくらいですね」
後ろからついてきているハンターたちの動きも会話も探知魔法で把握しているのでいきなり変なことにはならないと思うのよね。というかさせないもの。
「あ、魔物の数は、12体ですね。それ以外とは連携している様子ありません」
「わかった。じゃあ、いつものように真ん中あたりの敵に弓で先制攻撃。そのあとはさっきも言ったように2、3体を弓で倒したらあとは近接で」
あたしは黙って頷いて瑶さんを先導した。
後ろのハンター達は『なんで急に進路を変えたんだ?』だの『そもそもなんで俺たちがついてきているのに気付いたんだ』だのとヒソヒソ話している。探知魔法をひとつでも使う事ができれば簡単なのだけど、分かっていないのね。
あたし達は魔物に気付かれないよう慎重に近づいて、弓で狙うのにちょうどいい場所で最後の打ち合わせをするの。
「ちょっと横長の範囲にいるね。縦長の位置から先制出来たら最高だったんだけど、風向きが、これじゃ仕方ないな」
「どうします?別の敵をさがします?」
あたしにも魔法無しの少数で戦うのは不利な状況だっていうのは分かるから一応聞いてみたのだけど。
「いや、変異種もいないし、私と朝未でならやれるだろう。それでも一応朝未は私の後ろでサポートよろしく」
「はい」
そうね。近接戦闘になるなら、正面は瑶さんに任せたほうが良いわよね。
それでも、できるだけ接敵までの時間に差ができるように少し右によって準備をすませた。一番近いオークまで約15メートル。あたしが狙うオークはその5メートル奥、距離は約20メートル、十分に狙える。
「いつもの通りだよ。大丈夫」
瑶さんの言葉にあたしは頷いて補助魔法を掛けていく。プロテクション、シェル、マッシブ、アクセル、ハイアジ、アキュラシー、リフレクいつもの通り自分の戦闘力が上がっていくのを感じる。そして同じように瑶さんにも補助魔法を掛け、深呼吸をひとつして弓に矢をつがえる。
手前から6体目のオークの頭を狙って
「いきます」
ストンっという音がするように矢が狙ったオークの頭に突き刺さり、オークはそのまま正座をするようにその場に崩れた。オーク達が攻撃を認識する前にあたしは倒れたオークの隣のオークを狙って次の矢を放つ。これは、あ、目に当たってそのまま。一瞬目を逸らしたくなったわ。
でも、これで弓で2体斃すっていうノルマ達成ね。瑶さんは、それを見定めると駆け出したわね。あたしは、弓を降ろして短剣を右手に構えて瑶さんに続いた。
瑶さんも、わざわざ囲まれるような真ん中には飛び込まず、右端のオークに向かっているわね。
あたしは、瑶さんの斜め後ろからフォローできる位置取りで続いた。
瑶さんが弓での先制攻撃に混乱しているオークの群れの右端に飛び込み右手の片手剣の一振りで1体目の首を切り飛ばしたわね。
さすがにそこまで行けば混乱なんて言っていられないようで隣のオークが敵意を持って瑶さんに向かったわ。でも、あたしを無視しているのは残念ね。スキを見せたオークにあたしが背中から短剣を差し込めば、その場で動きを永遠に止めたわ。
補助魔法で底上げした力、速さ、正確性であたしも瑶さんもオーク程度には示現流ではないけれど二の太刀を必要としないもの。瑶さんがオークの頭を切り飛ばし、瑶さんを意識し、横から迫るオークにあたしが短剣を突き刺す。
戦端を開いて僅か数分。あたし達の前には自力で動くオークはいなくなっていた。探知魔法にはうしろからついてきている人たちの驚きと戸惑いとちょっとした恐怖の言葉や感情が感じられるけど、どうかな。これで離れてくれるかしらね。
『いや、あの容赦の無さは……』『あれの援護が必要な状態に飛び込めるかって言われたら……』『天使ちゃん、短剣でサクッとやるとかちょっと』等々駄々洩れですよ。素の状態ならともかく補助魔法を掛けたあたし達の前にこの数のオーク程度は大したことないもの。後ろを振り返ってニッコリ笑ってあげようかしらね。あ、なんかマインドサーチに恐怖の感情が……。
「本当は、目立たないようにゆっくり力をつけるはずだったのにね」
瑶さんの言葉が胸に刺さったわ。ごめんなさい。
「瑶さん。敵です。たぶんオーク」
「数は?」
「それはまだ。探知魔法で分かる範囲には4体、いえ5体です。探知魔法の範囲に入ったり出たりしていますから、多分もう少し多いんじゃないかと思います。今までの例と付き合わせると恐らく10体はいるんじゃないかと」
ウィンドイヤーは比較的簡単に効果を拡大できるけど、あくまでも耳で聞いた音をマッピングするような魔法なのでちょっと分かりにくいのよね。その分、意識を向けるとその対象の話している言葉も聞こえるので便利といえば便利なのだけど。ちょっと盗み聞きみたいで罪悪感感じるから街中ではあまり使わないようにしてるのよね。
「方向は?」
「進行方向のやや右側です」
「わかった。今回は私達の殲滅力を見せつけるのが目的だから、朝未も最初の2、3体は弓で倒していいけど、そのあとは近接戦闘でね。突出し過ぎないように私の横を基本に、囲まれた時には私の背中に周るようにね。じゃあ風下から接近できるように案内して」
「はい」
あたしは慎重に風向きを見ながら魔物の群れに向かって先導しているのだけど……。
「朝未、うしろの連中はどうだ?変な動きは無いか?」
「ええ、今のところは、あたし達が急に進路を変えた事を不思議そうにしているくらいですね」
後ろからついてきているハンターたちの動きも会話も探知魔法で把握しているのでいきなり変なことにはならないと思うのよね。というかさせないもの。
「あ、魔物の数は、12体ですね。それ以外とは連携している様子ありません」
「わかった。じゃあ、いつものように真ん中あたりの敵に弓で先制攻撃。そのあとはさっきも言ったように2、3体を弓で倒したらあとは近接で」
あたしは黙って頷いて瑶さんを先導した。
後ろのハンター達は『なんで急に進路を変えたんだ?』だの『そもそもなんで俺たちがついてきているのに気付いたんだ』だのとヒソヒソ話している。探知魔法をひとつでも使う事ができれば簡単なのだけど、分かっていないのね。
あたし達は魔物に気付かれないよう慎重に近づいて、弓で狙うのにちょうどいい場所で最後の打ち合わせをするの。
「ちょっと横長の範囲にいるね。縦長の位置から先制出来たら最高だったんだけど、風向きが、これじゃ仕方ないな」
「どうします?別の敵をさがします?」
あたしにも魔法無しの少数で戦うのは不利な状況だっていうのは分かるから一応聞いてみたのだけど。
「いや、変異種もいないし、私と朝未でならやれるだろう。それでも一応朝未は私の後ろでサポートよろしく」
「はい」
そうね。近接戦闘になるなら、正面は瑶さんに任せたほうが良いわよね。
それでも、できるだけ接敵までの時間に差ができるように少し右によって準備をすませた。一番近いオークまで約15メートル。あたしが狙うオークはその5メートル奥、距離は約20メートル、十分に狙える。
「いつもの通りだよ。大丈夫」
瑶さんの言葉にあたしは頷いて補助魔法を掛けていく。プロテクション、シェル、マッシブ、アクセル、ハイアジ、アキュラシー、リフレクいつもの通り自分の戦闘力が上がっていくのを感じる。そして同じように瑶さんにも補助魔法を掛け、深呼吸をひとつして弓に矢をつがえる。
手前から6体目のオークの頭を狙って
「いきます」
ストンっという音がするように矢が狙ったオークの頭に突き刺さり、オークはそのまま正座をするようにその場に崩れた。オーク達が攻撃を認識する前にあたしは倒れたオークの隣のオークを狙って次の矢を放つ。これは、あ、目に当たってそのまま。一瞬目を逸らしたくなったわ。
でも、これで弓で2体斃すっていうノルマ達成ね。瑶さんは、それを見定めると駆け出したわね。あたしは、弓を降ろして短剣を右手に構えて瑶さんに続いた。
瑶さんも、わざわざ囲まれるような真ん中には飛び込まず、右端のオークに向かっているわね。
あたしは、瑶さんの斜め後ろからフォローできる位置取りで続いた。
瑶さんが弓での先制攻撃に混乱しているオークの群れの右端に飛び込み右手の片手剣の一振りで1体目の首を切り飛ばしたわね。
さすがにそこまで行けば混乱なんて言っていられないようで隣のオークが敵意を持って瑶さんに向かったわ。でも、あたしを無視しているのは残念ね。スキを見せたオークにあたしが背中から短剣を差し込めば、その場で動きを永遠に止めたわ。
補助魔法で底上げした力、速さ、正確性であたしも瑶さんもオーク程度には示現流ではないけれど二の太刀を必要としないもの。瑶さんがオークの頭を切り飛ばし、瑶さんを意識し、横から迫るオークにあたしが短剣を突き刺す。
戦端を開いて僅か数分。あたし達の前には自力で動くオークはいなくなっていた。探知魔法にはうしろからついてきている人たちの驚きと戸惑いとちょっとした恐怖の言葉や感情が感じられるけど、どうかな。これで離れてくれるかしらね。
『いや、あの容赦の無さは……』『あれの援護が必要な状態に飛び込めるかって言われたら……』『天使ちゃん、短剣でサクッとやるとかちょっと』等々駄々洩れですよ。素の状態ならともかく補助魔法を掛けたあたし達の前にこの数のオーク程度は大したことないもの。後ろを振り返ってニッコリ笑ってあげようかしらね。あ、なんかマインドサーチに恐怖の感情が……。
「本当は、目立たないようにゆっくり力をつけるはずだったのにね」
瑶さんの言葉が胸に刺さったわ。ごめんなさい。
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