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新たな仲間
第77話 生き延びて
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不穏な音に、辛うじて目を向けた先にはリフレクの効果でダメージこそ受けなかったものの、バーサク状態のハイオークに1人で立ち向かい劣勢の瑶さんが立っている。
もう一度リフレクを、いえ、ダメ、リフレクじゃまた破られておしまい。ホーリーはまだ効果が切れていない。重ね掛けでは意味がないわ。なら、聖属性が乗るあたしの魔法の特性に賭ける。残りの魔力全部込めて魔力を練り上げ魔法をイメージする。
「ファイヤーアロー」
ハイオークの背後から放ったファイアーアローがハイオークの首筋に命中。それを見届けたところで、あたしの意識は途切れた。
「う」
どのくらいの時間が経ったのか分からないけど、あたしは目を覚ました。どうやら生き延びたみたいね。
はっ、瑶さんは?
慌てて周囲を見回すあたしに優しい声が掛かったわ。
「朝未、気がついたようだね」
「瑶さん」
あたしは飛び起きて瑶さんに抱きついた。
「うっ」
あたしが飛びついたとたんに瑶さんが、苦痛の声を上げ顔を顰めたの。
「はっ、瑶さん。どこかケガをしたの?見せて。すぐに治療するから」
瑶さんの様子を見て、あたしは息をのんだ。瑶さんの右手の肘から先が無い。
「瑶さん、右手が。すぐに治します」
「まった。とりあえず止血はしてあるから慌てなくていい。このレベルの怪我の治療をすると朝未はまた魔力切れを起こすだろう。今は先に安全な場所まで移動しよう。治療はあの子についてもその後で」
瑶さんが向けた視線の先にいたのは蹲ったマルティナさん。あたし達の視線に気づくと彼女は顔を上げ力なく頷いた。とりあえずは命の危険と言うほどでは無さそうね。
あたし達3人は、ある程度安全と思われる場所まで移動して休息をすることにしたのだけど。
「瑶さん。ここなら良いでしょう。ケガを見せてください」
さすがに、ここまで来ると、瑶さんもおとなしく見せてくれた。
「酷い。こんなに……」
右前腕欠損、左上腕解放骨折、左肋骨7番から11番骨折、他にも打撲や切り傷多数。
「瑶さん。ここに座ってください。今あたしの使える最大の治癒魔法を使います。欠損を含め全てのケガを治せると思いますけど、しばらくあたしは動けなくなるはずです。彼女の治療は、その後でしますね。それに彼女に関しては他にも試してみたいことがありますから。でも、今は瑶さんのケガを……」
「わかった。頼む」
あたしは、自分の中で魔力を練り上げる。そして瑶さんのケガが治るようイメージを強く意識して上級聖属性魔法を発動させた。
「エクストラヒール」
瑶さんの身体を青白い清浄な光が包み、全身の傷が癒えていく、欠損した右腕に光の束が集まり元通りに再生する。
それは数秒だったのかそれとも1時間にもなる時間だったのか、あたしは時間感覚を失い瑶さんにかける治癒魔法に集中していた。
グイグイとあたしの身体から魔力が抜け、それと同時に身体から力が抜け膝をついてしまう。それでもあたしは魔法に意識をむけ続けた。
瑶さんのケガが癒えエクストラヒールの光が消える。
そこには元通りに右腕のある瑶さんがいた。ホッとしたあたしは、そのまま瑶さんの腕の中に倒れ込んだ。
「治せてよかった。あとは瑶さん、あたしを守ってね」
あたしが言えたのはそこまで。限界を超えて魔法を使った反動であたしは意識を手放した。
どれだけ時間が経ったのか分からない。あたしは暖かなぬくもりに包まれて意識が浮上してきたの。
その暖かさに、あたしはまだもう少しこのままでいたくて目を開けずに顔を擦りつけて、そこまでして気付いたの。
あれ?あたし達は森にいたはずよね。この気持ちのいい暖かさは何なのかしら?
「瑶さ、ん?」
「ん、朝未、気が付いた?」
目を開けると、あたしは瑶さんに抱かれて眠っていたことに気付いたの。
「え?瑶さん、なんで?それに周辺の警戒は……」
「周辺の警戒は、朝未ほどじゃないけど私も一応探知魔法使えるからそれで。それに彼女も警戒してくれてるからね」
見るとマルティナさんが折れて半分の長さになった槍を持って警戒に立ってくれていた。でも、瑶さん、どうしてあたしを抱っこしてくれてるのかは言ってくれないのね。
このまま抱っこされていたい気持ちはあるけど、流石にそうはいかないわね。
「瑶さん、ありがとう。もう大丈夫です」
あたしは、瑶さんの抱っこから抜け出して立ち上がった。そして自分の中の魔力を感じてみる。あら?
「瑶さん。あたし、魔力量が増えたみたい」
「ん?そんなことが分かるのかい?」
「多分ちょっとくらいの違いなら分からないと思うんですけど、倍まではいかないと思いますが多分1.5倍くらいになってる気がします」
「そんな急に増えるものなのかな?ハンターギルドの資料ではかなり経験を積まないとはっきりと分かるほどは変わらないような書き方がされていたはずだけど」
「うーん、その辺り異世界人補正か聖女補正とでもしておきましょ。それより今は……。マルティナさん、こちらに来てください。治療します」
もう一度リフレクを、いえ、ダメ、リフレクじゃまた破られておしまい。ホーリーはまだ効果が切れていない。重ね掛けでは意味がないわ。なら、聖属性が乗るあたしの魔法の特性に賭ける。残りの魔力全部込めて魔力を練り上げ魔法をイメージする。
「ファイヤーアロー」
ハイオークの背後から放ったファイアーアローがハイオークの首筋に命中。それを見届けたところで、あたしの意識は途切れた。
「う」
どのくらいの時間が経ったのか分からないけど、あたしは目を覚ました。どうやら生き延びたみたいね。
はっ、瑶さんは?
慌てて周囲を見回すあたしに優しい声が掛かったわ。
「朝未、気がついたようだね」
「瑶さん」
あたしは飛び起きて瑶さんに抱きついた。
「うっ」
あたしが飛びついたとたんに瑶さんが、苦痛の声を上げ顔を顰めたの。
「はっ、瑶さん。どこかケガをしたの?見せて。すぐに治療するから」
瑶さんの様子を見て、あたしは息をのんだ。瑶さんの右手の肘から先が無い。
「瑶さん、右手が。すぐに治します」
「まった。とりあえず止血はしてあるから慌てなくていい。このレベルの怪我の治療をすると朝未はまた魔力切れを起こすだろう。今は先に安全な場所まで移動しよう。治療はあの子についてもその後で」
瑶さんが向けた視線の先にいたのは蹲ったマルティナさん。あたし達の視線に気づくと彼女は顔を上げ力なく頷いた。とりあえずは命の危険と言うほどでは無さそうね。
あたし達3人は、ある程度安全と思われる場所まで移動して休息をすることにしたのだけど。
「瑶さん。ここなら良いでしょう。ケガを見せてください」
さすがに、ここまで来ると、瑶さんもおとなしく見せてくれた。
「酷い。こんなに……」
右前腕欠損、左上腕解放骨折、左肋骨7番から11番骨折、他にも打撲や切り傷多数。
「瑶さん。ここに座ってください。今あたしの使える最大の治癒魔法を使います。欠損を含め全てのケガを治せると思いますけど、しばらくあたしは動けなくなるはずです。彼女の治療は、その後でしますね。それに彼女に関しては他にも試してみたいことがありますから。でも、今は瑶さんのケガを……」
「わかった。頼む」
あたしは、自分の中で魔力を練り上げる。そして瑶さんのケガが治るようイメージを強く意識して上級聖属性魔法を発動させた。
「エクストラヒール」
瑶さんの身体を青白い清浄な光が包み、全身の傷が癒えていく、欠損した右腕に光の束が集まり元通りに再生する。
それは数秒だったのかそれとも1時間にもなる時間だったのか、あたしは時間感覚を失い瑶さんにかける治癒魔法に集中していた。
グイグイとあたしの身体から魔力が抜け、それと同時に身体から力が抜け膝をついてしまう。それでもあたしは魔法に意識をむけ続けた。
瑶さんのケガが癒えエクストラヒールの光が消える。
そこには元通りに右腕のある瑶さんがいた。ホッとしたあたしは、そのまま瑶さんの腕の中に倒れ込んだ。
「治せてよかった。あとは瑶さん、あたしを守ってね」
あたしが言えたのはそこまで。限界を超えて魔法を使った反動であたしは意識を手放した。
どれだけ時間が経ったのか分からない。あたしは暖かなぬくもりに包まれて意識が浮上してきたの。
その暖かさに、あたしはまだもう少しこのままでいたくて目を開けずに顔を擦りつけて、そこまでして気付いたの。
あれ?あたし達は森にいたはずよね。この気持ちのいい暖かさは何なのかしら?
「瑶さ、ん?」
「ん、朝未、気が付いた?」
目を開けると、あたしは瑶さんに抱かれて眠っていたことに気付いたの。
「え?瑶さん、なんで?それに周辺の警戒は……」
「周辺の警戒は、朝未ほどじゃないけど私も一応探知魔法使えるからそれで。それに彼女も警戒してくれてるからね」
見るとマルティナさんが折れて半分の長さになった槍を持って警戒に立ってくれていた。でも、瑶さん、どうしてあたしを抱っこしてくれてるのかは言ってくれないのね。
このまま抱っこされていたい気持ちはあるけど、流石にそうはいかないわね。
「瑶さん、ありがとう。もう大丈夫です」
あたしは、瑶さんの抱っこから抜け出して立ち上がった。そして自分の中の魔力を感じてみる。あら?
「瑶さん。あたし、魔力量が増えたみたい」
「ん?そんなことが分かるのかい?」
「多分ちょっとくらいの違いなら分からないと思うんですけど、倍まではいかないと思いますが多分1.5倍くらいになってる気がします」
「そんな急に増えるものなのかな?ハンターギルドの資料ではかなり経験を積まないとはっきりと分かるほどは変わらないような書き方がされていたはずだけど」
「うーん、その辺り異世界人補正か聖女補正とでもしておきましょ。それより今は……。マルティナさん、こちらに来てください。治療します」
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