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新天地へ
第99話 マルティナの事情
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マルティナさんに案内してもらったハンターギルドはややこじんまりしているもののしっかりした作りの建物だった。
「いらっしゃいませ。ハンターギルド、クリフ支店へようこそ。わたしパオラと申します。本日はどのようなご用件でしょうか?」
受付のお姉さんが明るい声で対応してくれるのはどこのギルドでも一緒ね。
「これから、ここを拠点にしようと思う。私は瑶だ。後ろにいるのはパーティーメンバーの朝未とマルティナ」
「え、マルティナ?」
パオラさんの驚いたような声にマルティナさんが照れくさそうに前に出てきた。
「久しぶりね。パオラ」
「ほ、本当にマルティナなの?」
「たった1年で友人がわからなくなるほど薄情じゃないわよね」
「生きていてくれたのね」
「この通り5体満足よ。アサミ様とヨウ様、おふたりのおかげでね」
パオラさんがカウンターから飛び出しマルティナさんに抱きついて泣き出してしまったわ。
過去に何かあったのは察せられるわね。ひょっとしたら、あのクソハンター絡みかしらね。
朝晩の混雑する時間でこそないけれど、ギルド内にはそこそこ人がいる。気付くとあたし達は注目の的だったの。ちょっとこれは何とかしたいと瑶さんに視線を向けるけど、泣いて抱き合っている女性2人に対して男の人としては対処に困っているようね。
「あ、あの、再会を喜んでいるところ申し訳ないのだけれど、場所を変えませんか?ほら周りの目とかもありますし」
困りながらも、瑶さんが間に入ってくれた。
「あ、申し訳ありません。こちらへ」
そういうと、パオラさんは、あたし達3人を奥の部屋に入れてくれた。
「マルティナ、本当によく生きていてくれたわね。あの時ほど自分に力がないことを悔やんだことはなかったわ」
「いえ、今となっては、あれがあったからこそアサミ様とヨウ様に出会えたとも言えるので、気にしないで」
「でも、その2人は6級なのでしょう?」
「それは単に活動期間が短いからよ。アサミ様もヨウ様もわたしよりずっと強いわよ」
「へー、女の子の方はともかく男の人はそうは見えないけど」
「おふたりとも、ハンター登録して5カ月を超えたところ。アサミ様は近接戦闘もできる強力な魔法使いだし、ヨウ様は数打ちの剣でゴブリンやオークの普通の変異種なら単独で斃せる強力な戦士よ。実力では2人ともわたしより圧倒的に上のハンターね」
「は?登録5カ月で6級?5年じゃなくて?しかも5級のあなたより強い?」
そこでパオラさんがあたしと瑶さんに疑わし気な視線を向けてきた。
「私と朝未の実力については、これからの活動で判断してもらうしかないですね。どう言葉で伝えても信じることができるかどうかは別ですから」
「とりあえず、マルティナが信じているようなので、期待はしておきます」
「期待に応えられるようにがんばりますね」
あたしと瑶さんの実力については疑問符付きの判定で落ち着いたみたい。別にいいんだけどね。
「それにしても、マルティナ。この2人と一緒にいるってことは例の奴隷紋はどうにかなったのね」
「いえ、わたしは現状アサミ様の奴隷よ」
「なんですって」
あ、パオラさんの冷たい視線が痛いわ。
「い、いえ。それはあたし達の秘密を守ってもらうために暫定的にそうしただけで、落ち着いたところで奴隷紋をどうにかするつもりだったんです。ただ、ここまでそういう余裕がなくて、なし崩し的にそのままになっているだけです」
「ふーん、ならマルティナを開放するつもりはあるのね」
「も、もちろんですよ」
「あの、わたしとしては、このままアサミ様の奴隷のままでいいんですけど、というよりむしろこのままにして欲しいんですが、ダメですか?」
「マルティナ。せっかく開放してくれるって言っているのになんで?」
「わたしは、ずっとアサミ様にお仕えしたいんです」
「マルティナさん、奴隷じゃなくたって一緒にいられますよ」
「アサミ様の奴隷でいれば、おかしなちょっかいをかけられたり、特に親の意向で勝手にされることもありませんから」
過去に何かあったのは察していたけど、親絡みってことなのかしらね。でもそれならあんなクソハンターの奴隷になっているのはちょっと違いそうなんだけどな。
そこからマルティナさんは、事情を話してくれた。クリフで5級ハンターとして活動していたマルティナさんは、その容姿と戦闘能力を偶々クリフを訪れていた貴族に見初められ、護衛兼側妃として求められたそうなの。
「うーん、それって奴隷になってまで避ける事態?」
「相手が普通の貴族であれば、相手への好意の程度はあっても受け入れたかもしれません。でも……」
そこから続いた事情は本当に胸糞の悪くなる話だったわ。何人もの護衛兼側妃を使いつぶし、側妃になることを受け入れないと家族の生活も成り立たなくさせ、強引にものにしていくやりくち。マルティナさんの親は少し離れた街に住んでいるそうなのだけど、お金を積まれてマルティナさんを差し出そうとしたらしい。
誰も信じられなくなったマルティナさんは自ら奴隷になることを選び、そこでその貴族より1歩先にマルティナさんを奴隷商から買ったのが件のクソハンター女神の雷のリーダーレオナルドだったとのこと。
「貴族からは逃げられたけど結局は使いつぶされそうになったんですけどね」
マルティナさんは自嘲するように薄く笑った。
「でも、そのおかげでアサミ様と出会えました。これは幸運としか言いようがなかったと思っています。ですからわたしはアサミ様の奴隷のままにしておいてほしいのです」
「いらっしゃいませ。ハンターギルド、クリフ支店へようこそ。わたしパオラと申します。本日はどのようなご用件でしょうか?」
受付のお姉さんが明るい声で対応してくれるのはどこのギルドでも一緒ね。
「これから、ここを拠点にしようと思う。私は瑶だ。後ろにいるのはパーティーメンバーの朝未とマルティナ」
「え、マルティナ?」
パオラさんの驚いたような声にマルティナさんが照れくさそうに前に出てきた。
「久しぶりね。パオラ」
「ほ、本当にマルティナなの?」
「たった1年で友人がわからなくなるほど薄情じゃないわよね」
「生きていてくれたのね」
「この通り5体満足よ。アサミ様とヨウ様、おふたりのおかげでね」
パオラさんがカウンターから飛び出しマルティナさんに抱きついて泣き出してしまったわ。
過去に何かあったのは察せられるわね。ひょっとしたら、あのクソハンター絡みかしらね。
朝晩の混雑する時間でこそないけれど、ギルド内にはそこそこ人がいる。気付くとあたし達は注目の的だったの。ちょっとこれは何とかしたいと瑶さんに視線を向けるけど、泣いて抱き合っている女性2人に対して男の人としては対処に困っているようね。
「あ、あの、再会を喜んでいるところ申し訳ないのだけれど、場所を変えませんか?ほら周りの目とかもありますし」
困りながらも、瑶さんが間に入ってくれた。
「あ、申し訳ありません。こちらへ」
そういうと、パオラさんは、あたし達3人を奥の部屋に入れてくれた。
「マルティナ、本当によく生きていてくれたわね。あの時ほど自分に力がないことを悔やんだことはなかったわ」
「いえ、今となっては、あれがあったからこそアサミ様とヨウ様に出会えたとも言えるので、気にしないで」
「でも、その2人は6級なのでしょう?」
「それは単に活動期間が短いからよ。アサミ様もヨウ様もわたしよりずっと強いわよ」
「へー、女の子の方はともかく男の人はそうは見えないけど」
「おふたりとも、ハンター登録して5カ月を超えたところ。アサミ様は近接戦闘もできる強力な魔法使いだし、ヨウ様は数打ちの剣でゴブリンやオークの普通の変異種なら単独で斃せる強力な戦士よ。実力では2人ともわたしより圧倒的に上のハンターね」
「は?登録5カ月で6級?5年じゃなくて?しかも5級のあなたより強い?」
そこでパオラさんがあたしと瑶さんに疑わし気な視線を向けてきた。
「私と朝未の実力については、これからの活動で判断してもらうしかないですね。どう言葉で伝えても信じることができるかどうかは別ですから」
「とりあえず、マルティナが信じているようなので、期待はしておきます」
「期待に応えられるようにがんばりますね」
あたしと瑶さんの実力については疑問符付きの判定で落ち着いたみたい。別にいいんだけどね。
「それにしても、マルティナ。この2人と一緒にいるってことは例の奴隷紋はどうにかなったのね」
「いえ、わたしは現状アサミ様の奴隷よ」
「なんですって」
あ、パオラさんの冷たい視線が痛いわ。
「い、いえ。それはあたし達の秘密を守ってもらうために暫定的にそうしただけで、落ち着いたところで奴隷紋をどうにかするつもりだったんです。ただ、ここまでそういう余裕がなくて、なし崩し的にそのままになっているだけです」
「ふーん、ならマルティナを開放するつもりはあるのね」
「も、もちろんですよ」
「あの、わたしとしては、このままアサミ様の奴隷のままでいいんですけど、というよりむしろこのままにして欲しいんですが、ダメですか?」
「マルティナ。せっかく開放してくれるって言っているのになんで?」
「わたしは、ずっとアサミ様にお仕えしたいんです」
「マルティナさん、奴隷じゃなくたって一緒にいられますよ」
「アサミ様の奴隷でいれば、おかしなちょっかいをかけられたり、特に親の意向で勝手にされることもありませんから」
過去に何かあったのは察していたけど、親絡みってことなのかしらね。でもそれならあんなクソハンターの奴隷になっているのはちょっと違いそうなんだけどな。
そこからマルティナさんは、事情を話してくれた。クリフで5級ハンターとして活動していたマルティナさんは、その容姿と戦闘能力を偶々クリフを訪れていた貴族に見初められ、護衛兼側妃として求められたそうなの。
「うーん、それって奴隷になってまで避ける事態?」
「相手が普通の貴族であれば、相手への好意の程度はあっても受け入れたかもしれません。でも……」
そこから続いた事情は本当に胸糞の悪くなる話だったわ。何人もの護衛兼側妃を使いつぶし、側妃になることを受け入れないと家族の生活も成り立たなくさせ、強引にものにしていくやりくち。マルティナさんの親は少し離れた街に住んでいるそうなのだけど、お金を積まれてマルティナさんを差し出そうとしたらしい。
誰も信じられなくなったマルティナさんは自ら奴隷になることを選び、そこでその貴族より1歩先にマルティナさんを奴隷商から買ったのが件のクソハンター女神の雷のリーダーレオナルドだったとのこと。
「貴族からは逃げられたけど結局は使いつぶされそうになったんですけどね」
マルティナさんは自嘲するように薄く笑った。
「でも、そのおかげでアサミ様と出会えました。これは幸運としか言いようがなかったと思っています。ですからわたしはアサミ様の奴隷のままにしておいてほしいのです」
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