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力をつけるために
第109話 朝未の料理③
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ダイニングに瑶さんが鼻をひくつかせてやってきたわ。
「瑶さん、今日の晩御飯はマルティナさんにも手伝ってもらって大分手を掛けてみました」
「こ、これはひょっとしてカレーか?」
「はい。この世界にはカレールーどころかガラムマサラやカレー粉に相当するものがなさそうだったのでゼロから作ってみたんです。初めてなので完ぺきとは言えないとは思いますけど、まずまずの出来だと思います。お米を見つけられていないのでナンもどきも作ってみました。」
そんなことを話していると、クウーっとかわいらしい音が横から聞こえてきたわ。チラリ見るとマルティナさんがほほを赤く染めて恥ずかしそうにしているじゃないの。これ以上待たせるのはかわいそうね。何より冷める前に食べてほしいし、あたし自身も食べたい。
「さ、座って食べてみてください」
「いただきます」
3人そろって手を出す。
あたしは、まずお手製のナンをちぎってそれだけで食べてみる。ナンとしてはちょっと甘いかしらね。ひょっとしたら無発酵パンの方があうかしら。そのままカレーをつけて食べてみる。
「う、あたしにはちょっと辛い」
急いでコップにウォーターで水を満たしてゴクゴクと飲む。でも味としては美味しいと思うのよね。
「はは、ちょっと辛くしすぎたみたいだね。私はこのくらいが好みだけど、辛さの好みの違うメンバーで食べるときには、少し辛さを抑えめにして別で辛さを足すスパイスを準備しておいてくれると良いかなって思う。まあ朝未が作ってくれているのだから朝未の好みで作ってくれれば十分だけどね。このカレーは辛みが少なくても美味しそうだし」
うん、瑶さんは気に入ってくれたみたいね。むしろあたしに気を配ってくれたのは嬉しいわ。マルティナさんはどうかしら。あ、舌をだしてヒーヒーしてるわね。
「マルティナさん。ちょっと辛すぎましたか?」
あたしは聞きながらコップに水を出してマルティナさんに渡した。
「んぐんぐ、ヒー。美味しいんですけど辛いです。これがおふたりの故郷の料理ですか?」
あ、うしろで瑶さんが肩を揺らして笑ってるわね。
「そうですね。カレーと言います。色々なアレンジ料理もあるんですけど、今回はベーシックなものにしてみました。予想より辛くなったのは、あたしがこの国の香辛料に慣れてないのもあります。次からはもう少しマイルドに仕上げて、瑶さん用に追加用スパイスを用意するようにします」
「このカレーって美味しいですけど、香りが立ちすぎるので狩場での野営では食べられそうにないですね」
狩場での野営ってそんなに気に入ってくれたのね。
「そうですね。野営ではちょっと無理かしらね」
「ところで、朝未、お代わりはあるかな?」
瑶さんが、何か申し訳なさそうに聞いてきたわね。
「大丈夫ですよ。ナンも、もう何枚か焼きましょうか?」
「ああ、あと、そうだね、3枚焼いてもらえるかな」
ちょっとあたしとマルティナさんには辛すぎたけど、初めてにしては良かったのよね。
食後はあたしはハーブティー、瑶さんとマルティナさんは最近手に入れたちょっとは飲める味だというワイン
を飲みながら雑談している。
「しかし、改めて思うけど、朝未って料理がうまいよね。日本でもこんなに料理してたの?」
「そうですね。元々料理自体は嫌いじゃなかったので日本でもそれなりにやってました。でも、こっちに来てからやってるほどじゃなかったですね。まあ、日本に比べて色々自作しないといけないので手間はかかってますけどね。幸い知識だけはありましたし、日本にいた頃もいつかやってみたいって思っていたので、これはこれで楽しいです」
喜んで食べてくれる人がいるのも大きいんだけどね。
「明日は、朝から小麦の製粉作業と出来た小麦粉の確認をして……。瑶さん、うどんとパスタどっちが先に食べたいですか?」
「どっちがって、朝未って両方つくれるのかい?」
「うどんもパスタもそれほど難しくはないから作れますよ。素麺となるとちょっとすぐに出来る自信ないですけど。それでもいつかは手延べ素麺に挑戦してみたいですね」
「なるほど、うすうすそうじゃないかとは思っていたけど朝未は料理女子だったんだね。それでうどんかパスタかって話だったね。カレーを食べさせてもらったから、次はうどんが良いな」
「うどんですね。わかりました」
薄力粉相当の小麦があるといいんだけど。そのあたりは明日の確認結果しだいかしらね。つゆは茸出汁と魚醤でなんとかなるかしらね。
翌日、朝食はいつもの天然酵母パンと、野菜スープ。今日は昨日作ったコンソメがあるのでいつもよりちょっと美味しいスープになって瑶さんもマルティナさんも喜んでくれたわ。
「今日は何をするつもりって、うどんを作ってくれるって言っていたね」
「ええ、そのための小麦粉を選びます。いえ、正確には小麦粉にした時の種類を確認しようと思っています。とは言ってもグルテンの量で仕分けるくらいしか出来ないですけどね」
ペロリと舌を出しておどけてみせる。でも、きちんと仕分けをした小麦は食生活で大切だものね。お米ってどこかに無いかしらね。
「瑶さん、今日の晩御飯はマルティナさんにも手伝ってもらって大分手を掛けてみました」
「こ、これはひょっとしてカレーか?」
「はい。この世界にはカレールーどころかガラムマサラやカレー粉に相当するものがなさそうだったのでゼロから作ってみたんです。初めてなので完ぺきとは言えないとは思いますけど、まずまずの出来だと思います。お米を見つけられていないのでナンもどきも作ってみました。」
そんなことを話していると、クウーっとかわいらしい音が横から聞こえてきたわ。チラリ見るとマルティナさんがほほを赤く染めて恥ずかしそうにしているじゃないの。これ以上待たせるのはかわいそうね。何より冷める前に食べてほしいし、あたし自身も食べたい。
「さ、座って食べてみてください」
「いただきます」
3人そろって手を出す。
あたしは、まずお手製のナンをちぎってそれだけで食べてみる。ナンとしてはちょっと甘いかしらね。ひょっとしたら無発酵パンの方があうかしら。そのままカレーをつけて食べてみる。
「う、あたしにはちょっと辛い」
急いでコップにウォーターで水を満たしてゴクゴクと飲む。でも味としては美味しいと思うのよね。
「はは、ちょっと辛くしすぎたみたいだね。私はこのくらいが好みだけど、辛さの好みの違うメンバーで食べるときには、少し辛さを抑えめにして別で辛さを足すスパイスを準備しておいてくれると良いかなって思う。まあ朝未が作ってくれているのだから朝未の好みで作ってくれれば十分だけどね。このカレーは辛みが少なくても美味しそうだし」
うん、瑶さんは気に入ってくれたみたいね。むしろあたしに気を配ってくれたのは嬉しいわ。マルティナさんはどうかしら。あ、舌をだしてヒーヒーしてるわね。
「マルティナさん。ちょっと辛すぎましたか?」
あたしは聞きながらコップに水を出してマルティナさんに渡した。
「んぐんぐ、ヒー。美味しいんですけど辛いです。これがおふたりの故郷の料理ですか?」
あ、うしろで瑶さんが肩を揺らして笑ってるわね。
「そうですね。カレーと言います。色々なアレンジ料理もあるんですけど、今回はベーシックなものにしてみました。予想より辛くなったのは、あたしがこの国の香辛料に慣れてないのもあります。次からはもう少しマイルドに仕上げて、瑶さん用に追加用スパイスを用意するようにします」
「このカレーって美味しいですけど、香りが立ちすぎるので狩場での野営では食べられそうにないですね」
狩場での野営ってそんなに気に入ってくれたのね。
「そうですね。野営ではちょっと無理かしらね」
「ところで、朝未、お代わりはあるかな?」
瑶さんが、何か申し訳なさそうに聞いてきたわね。
「大丈夫ですよ。ナンも、もう何枚か焼きましょうか?」
「ああ、あと、そうだね、3枚焼いてもらえるかな」
ちょっとあたしとマルティナさんには辛すぎたけど、初めてにしては良かったのよね。
食後はあたしはハーブティー、瑶さんとマルティナさんは最近手に入れたちょっとは飲める味だというワイン
を飲みながら雑談している。
「しかし、改めて思うけど、朝未って料理がうまいよね。日本でもこんなに料理してたの?」
「そうですね。元々料理自体は嫌いじゃなかったので日本でもそれなりにやってました。でも、こっちに来てからやってるほどじゃなかったですね。まあ、日本に比べて色々自作しないといけないので手間はかかってますけどね。幸い知識だけはありましたし、日本にいた頃もいつかやってみたいって思っていたので、これはこれで楽しいです」
喜んで食べてくれる人がいるのも大きいんだけどね。
「明日は、朝から小麦の製粉作業と出来た小麦粉の確認をして……。瑶さん、うどんとパスタどっちが先に食べたいですか?」
「どっちがって、朝未って両方つくれるのかい?」
「うどんもパスタもそれほど難しくはないから作れますよ。素麺となるとちょっとすぐに出来る自信ないですけど。それでもいつかは手延べ素麺に挑戦してみたいですね」
「なるほど、うすうすそうじゃないかとは思っていたけど朝未は料理女子だったんだね。それでうどんかパスタかって話だったね。カレーを食べさせてもらったから、次はうどんが良いな」
「うどんですね。わかりました」
薄力粉相当の小麦があるといいんだけど。そのあたりは明日の確認結果しだいかしらね。つゆは茸出汁と魚醤でなんとかなるかしらね。
翌日、朝食はいつもの天然酵母パンと、野菜スープ。今日は昨日作ったコンソメがあるのでいつもよりちょっと美味しいスープになって瑶さんもマルティナさんも喜んでくれたわ。
「今日は何をするつもりって、うどんを作ってくれるって言っていたね」
「ええ、そのための小麦粉を選びます。いえ、正確には小麦粉にした時の種類を確認しようと思っています。とは言ってもグルテンの量で仕分けるくらいしか出来ないですけどね」
ペロリと舌を出しておどけてみせる。でも、きちんと仕分けをした小麦は食生活で大切だものね。お米ってどこかに無いかしらね。
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