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力をつけるために
第110話 朝未の料理④
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昨日のうちに水に漬けておいた麦を確認しているのだけど、このくらいでいいのよね。さすがに知識だけで実際にやったことのないことだと自信が持てないのよね。
「ま、失敗だったらそれはその時のことね」
この世界ではロールでの皮むきなんてできないので、日本ではもう使われない石臼での方法を使うしかないのよね。
とりあえず一番目の粗い石臼で挽いてみる。この方法だとどうしても少し皮が混入するらしいという知識はあるのだけどしかたない。
石臼から零れてきた小麦は一部粉っぽくなっているけど、割と良い感じに皮が剝けているわね。もちろん皮も実も一緒に混ざっているけど、これならより分けはある程度できそう。
まずは、目の細かい篩で細かい皮の破片をより分けてみる。多少実の部分も落ちて、この世界ではもったいないっていわれるかもしれないけど許容範囲かしらね。
次は、風属性魔法で弱い風を当てて、皮だけが吹き飛ばす。ちょっと調整が難しいけど大体飛ばせたかしらね。最後に、木工職人さんに作ってもらった箱に向けて強めの風で吹き飛ばす。うん、ここまではより分けに篩をつかってきたから実と同じくらいのサイズの砂粒がやっぱり残っていたみたいね。砂粒が混ざっていかない程度の風で吹き飛ばすと少しだけだけど砂粒が残ったもの。
ここまでくれば後は粉にしていけばいいわね。元の世界だともっと細かく仕分けていくって聞いたけどさすがにそこまでするつもりはないもの。
それでも目の粗い石臼から少しずつ目の細かい石臼を使っていく。
出来上がった小麦粉は日本で使っていたものと比べれば少しだけ色がくすんでいるけど、これまでこの世界で手に入れてきた小麦粉に比べればずっと白い。粒は少し粗めに挽いてある。パスタでは少し粗挽きのハード系の小麦粉を使うはずだものね。これは料理が楽しみだわ。ナンやパンなら粒の粗さはあまり気にならなかったけど、これから作ろうと思っている麵類だと多分大分差が出ると思うのよね。目的によって仕上げ挽きしたら楽しそうだわ。
とは言ってもどの小麦粉を使うかは選ばないといけないのよね。ちょっと迷ったけど、それぞれの粉を一握り分くらいずつ手に取って少しずつ水を加えて練っていく。小麦粉の一部が水で流れていくけどそのまま続けて流れ出すものがなくなるまで続けた。日本での知識だと残ったものがグルテンのはずなのよね。どのくらい違いが出るかしら。
「朝未、随分と集中していたけど、どんな具合かな?」
「え、ええ。それぞれの種類で数キロずつくらいずつくらいを粗挽きにして、グルテンの量を調べたところです。嬉しいことに薄力粉、中力粉、強力粉、それに多分元の世界のデュラム小麦に近い感じの小麦まであったのでこれからの食事に期待してください」
ふふふ、うどん、パスタ、ピザ、色々なパン、各種ケーキ作っちゃいますよ。あ、ラーメンはまだかんすいを見つけられていないので保留。各種ケーキって言っても牛乳を手に入れられてないので生クリームやバターを使うお菓子は作れないのよね。残念。
でも、とりあえず今日はうどんを打ちます。
ひとつまみの塩を混ぜた薄力粉木製のボールに入れて水をまわし入れてまぜまぜ。日本でならステンレス製のボールを使うところなんだけど、この世界で錆びにくい金属ってブルーメタル以上になっちゃうのよね。ぶっちゃけ高すぎる。なのでこういった家庭用品だとどうしても木製になるの。それにこの世界の木製品って実はとっても高性能。むしろこういった用途なら金属より木製品の方が向いているのじゃないかしら。
ということで、生地がそぼろ状になるまでまぜまぜ。そぼろ状になったところでこねる、こねる。こねて生地をまとめていく、どんどん変わっていくのが楽しいわね。
生地がまとまったところで作業台に薄力粉で打ち粉をしてそちらに生地をだす。ここからがこの世界に来て高性能になったあたしの身体の力の発揮どころね。グイグイと体重をかけてこねる。体重はあまり増えていないのでタイミングと腕力で代わりにこねる。日本にいる頃なら足ふみでこねるところね。
きっちりこねて表面が滑らかになったところで丸くまとめて、濡れ布巾で包んでねかす。
ここでちょっと一息ね。
「ふー」
息を吐いて周りを見回すと瑶さんとマルティナさんが興味深そうにみているじゃないの。ちょっと恥ずかしくなっちゃった。あたし変な独り言とか口にしてないわよね。
「おつかれさま、随分と集中してたね」
「えっと瑶さん、いつから見てたんですか?」
「塊になった生地を台に出して朝未が嬉しそうにこね始めたあたりからかな」
「あ、あたし、何か言ってました?」
「いや、特には。ただとても嬉しそうにこねてたね」
セ、セーフ。それならセーフね。
「き、生地を休ませている今のうちに、うどんつゆを作りますね……」
魚醤をうどんつゆに使う場合は確かシンプルに魚醤のうまみを生かすのが良かったはず。出汁にするのは今のところ乾燥茸しかないので茸出汁。でも控えめにして魚醤も生のままだときついからひと煮立ちさせてっと。
小皿にひとすくい。お味見。
「うん、ちょっと癖はあるけど良い感じ」
あら?瑶さんとマルティナさんがじっと見ているわね。
「味見します?」
「もちろん」
「是非お願い致します。」
ふふ、瑶さんもマルティナさんも食い気味に返事を返してくれたわ。
「ま、失敗だったらそれはその時のことね」
この世界ではロールでの皮むきなんてできないので、日本ではもう使われない石臼での方法を使うしかないのよね。
とりあえず一番目の粗い石臼で挽いてみる。この方法だとどうしても少し皮が混入するらしいという知識はあるのだけどしかたない。
石臼から零れてきた小麦は一部粉っぽくなっているけど、割と良い感じに皮が剝けているわね。もちろん皮も実も一緒に混ざっているけど、これならより分けはある程度できそう。
まずは、目の細かい篩で細かい皮の破片をより分けてみる。多少実の部分も落ちて、この世界ではもったいないっていわれるかもしれないけど許容範囲かしらね。
次は、風属性魔法で弱い風を当てて、皮だけが吹き飛ばす。ちょっと調整が難しいけど大体飛ばせたかしらね。最後に、木工職人さんに作ってもらった箱に向けて強めの風で吹き飛ばす。うん、ここまではより分けに篩をつかってきたから実と同じくらいのサイズの砂粒がやっぱり残っていたみたいね。砂粒が混ざっていかない程度の風で吹き飛ばすと少しだけだけど砂粒が残ったもの。
ここまでくれば後は粉にしていけばいいわね。元の世界だともっと細かく仕分けていくって聞いたけどさすがにそこまでするつもりはないもの。
それでも目の粗い石臼から少しずつ目の細かい石臼を使っていく。
出来上がった小麦粉は日本で使っていたものと比べれば少しだけ色がくすんでいるけど、これまでこの世界で手に入れてきた小麦粉に比べればずっと白い。粒は少し粗めに挽いてある。パスタでは少し粗挽きのハード系の小麦粉を使うはずだものね。これは料理が楽しみだわ。ナンやパンなら粒の粗さはあまり気にならなかったけど、これから作ろうと思っている麵類だと多分大分差が出ると思うのよね。目的によって仕上げ挽きしたら楽しそうだわ。
とは言ってもどの小麦粉を使うかは選ばないといけないのよね。ちょっと迷ったけど、それぞれの粉を一握り分くらいずつ手に取って少しずつ水を加えて練っていく。小麦粉の一部が水で流れていくけどそのまま続けて流れ出すものがなくなるまで続けた。日本での知識だと残ったものがグルテンのはずなのよね。どのくらい違いが出るかしら。
「朝未、随分と集中していたけど、どんな具合かな?」
「え、ええ。それぞれの種類で数キロずつくらいずつくらいを粗挽きにして、グルテンの量を調べたところです。嬉しいことに薄力粉、中力粉、強力粉、それに多分元の世界のデュラム小麦に近い感じの小麦まであったのでこれからの食事に期待してください」
ふふふ、うどん、パスタ、ピザ、色々なパン、各種ケーキ作っちゃいますよ。あ、ラーメンはまだかんすいを見つけられていないので保留。各種ケーキって言っても牛乳を手に入れられてないので生クリームやバターを使うお菓子は作れないのよね。残念。
でも、とりあえず今日はうどんを打ちます。
ひとつまみの塩を混ぜた薄力粉木製のボールに入れて水をまわし入れてまぜまぜ。日本でならステンレス製のボールを使うところなんだけど、この世界で錆びにくい金属ってブルーメタル以上になっちゃうのよね。ぶっちゃけ高すぎる。なのでこういった家庭用品だとどうしても木製になるの。それにこの世界の木製品って実はとっても高性能。むしろこういった用途なら金属より木製品の方が向いているのじゃないかしら。
ということで、生地がそぼろ状になるまでまぜまぜ。そぼろ状になったところでこねる、こねる。こねて生地をまとめていく、どんどん変わっていくのが楽しいわね。
生地がまとまったところで作業台に薄力粉で打ち粉をしてそちらに生地をだす。ここからがこの世界に来て高性能になったあたしの身体の力の発揮どころね。グイグイと体重をかけてこねる。体重はあまり増えていないのでタイミングと腕力で代わりにこねる。日本にいる頃なら足ふみでこねるところね。
きっちりこねて表面が滑らかになったところで丸くまとめて、濡れ布巾で包んでねかす。
ここでちょっと一息ね。
「ふー」
息を吐いて周りを見回すと瑶さんとマルティナさんが興味深そうにみているじゃないの。ちょっと恥ずかしくなっちゃった。あたし変な独り言とか口にしてないわよね。
「おつかれさま、随分と集中してたね」
「えっと瑶さん、いつから見てたんですか?」
「塊になった生地を台に出して朝未が嬉しそうにこね始めたあたりからかな」
「あ、あたし、何か言ってました?」
「いや、特には。ただとても嬉しそうにこねてたね」
セ、セーフ。それならセーフね。
「き、生地を休ませている今のうちに、うどんつゆを作りますね……」
魚醤をうどんつゆに使う場合は確かシンプルに魚醤のうまみを生かすのが良かったはず。出汁にするのは今のところ乾燥茸しかないので茸出汁。でも控えめにして魚醤も生のままだときついからひと煮立ちさせてっと。
小皿にひとすくい。お味見。
「うん、ちょっと癖はあるけど良い感じ」
あら?瑶さんとマルティナさんがじっと見ているわね。
「味見します?」
「もちろん」
「是非お願い致します。」
ふふ、瑶さんもマルティナさんも食い気味に返事を返してくれたわ。
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