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力をつけるために
第116話 エンチャント実験
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あの後、ついにあたしは手を離してもあたしの魔力を纏わせたままに出来るようになったのだけど、次の問題はあった。
「アサミ様、アサミ様の魔力を纏わせていただけるのは良いのですが、さすがにこんな短時間では……」
「あはは、そうよね。でも大丈夫。練習して実用的なレベルまで使えるようにしてみせるから」
現状では魔力を纏わせておける時間が30秒くらいなのよね。いまのままでも矢に使うには十分だけど、マルティナさんの武器に使うには足りないし次の段階に向かうのはまだまだ先ね。それとは別に思い付いた事もあるので、そっちは実験してみようかな。
「ちょっと買い物にでてきます」
「あ、アサミ様。お買い物なら、わたしが……」
「ううん、そこまでじゃないから大丈夫よ」
「なら、わたしもご一緒します」
「えと、来てくれるのは良いけど。別に特別なとこに行くわけじゃないわよ。武器屋と雑貨屋に行ってくるだけだから」
「え、武器ならもうありますよね。何か不具合でもありましたか?」
「違いますよ。ちょっと実験用に安い木剣が欲しくて。木剣ならそんなに高くないでしょ?」
「そうですね。高い物は高いですが、それでもアサミ様の実戦用の剣に比べるような値段ではないですね。安い物ならそれこそ外食1回分程度からありますし」
「そうなのね。でもそういうのが欲しいの」
武器屋に行くとマルティナさんが言ったように木剣の値段はそこそこお値打ちな値段で売っていた。色々と実験してみたいので10本ほどでいいかしらね。
「おいおい、嬢ちゃん。そんなに木剣ばかり買って何しようってんだい?そりゃ金払ってくるんだから売るのは良いが無駄じゃないか」
「ちょっと特殊な練習するつもりなんです。多分そんなにもたないと思うので多めに欲しいだけですよ」
そんなやり取りをしながら買った木剣をマジックバッグにしまう。
次は雑貨屋さんね。
「こんにちは。薪を一束ください」
「ほいよ」
「いえ、そっちの割ってないほうをください」
「こっちを一束だけかい?5束以上まとめて買ってくれたら家までもっていってやるが、どうするね」
「いえ、1束だけでいいです」
「そうかい、でも嬢ちゃんにはちっとばかり重いと思うがね」
「大丈夫ですよ。あたしこう見えて結構力持ちですから」
そう言ってあたしが薪をひょいっと持ち上げると、ちょっと驚いた顔になったわ。これそんなに重いのかしら。あ、そうか今のあたしは街着を着てるからハンターには見えないのかもしれないわね。適当に誤魔化して支払いを済ませて家に帰ることにした。
家に帰るとあたしは早速実験をすることにした。
薪を立て的にして、薪割りの要領で魔力を纏わせた木剣を振るう。
って魔力が入っていかないじゃない。なんというか木剣の根元で止まっているような感じね。これは無理に流し込もうとしても最初の頃と同じ失敗を繰り返すだけかしら。
それでも何度も繰り返すうちになんとなくコツのようなものがわかり、少しずつ木剣に魔力を浸透させられるようになってきた。そしてしばらく試行錯誤と練習をくりかえしどうにか魔力を木剣に纏わせることに成功した。
そして、あたしの考えが正しければ。
”ストン“
振り下ろした木剣によって薪がきれいに縦に割れた。木剣を確認しても特にへこみも何もない。
「やっと出来た」
「それは、木剣に魔力を纏わせたのかい?」
とたんに後ろから声がかかり飛び上がってしまったわ。
振り向くと瑶さんが興味深そうに見ていて、ちょっと顔が熱くなってきた。実験に集中しすぎて瑶さんが近くに来たのに気付かなかったんだもの。
「え、ええ。でも、金属製の剣に比べて随分と魔力を浸透させるのが難しかったですね」
「で、結果がこれかい?凄いな、すっぱりと切れてる」
「ラノベなんかで武器に魔力を纏わせると威力が上がるような描写がよくあったので試してみたんですけど、とりあえず第一段階はうまく行きましたね」
「これで第一段階なのかい。次は何をするつもりかな?」
「えと、魔物によって効果的な攻撃がある可能性があるとおもうんですよね」
「そうかな。とりあえずここまではそういうのは感じなかったけど。朝未の魔法もだいたい火属性魔法だったよね」
「あくまでも可能性です。それに普通の生き物は大体火に弱いですから。でもここは魔法のある異世界です。火に耐性のある敵がいるかもしれないじゃないですか」
「うーん、まあ可能性の話ならあり得るのかなn」
「ええ、なのでこうすると」
あたしは、魔力を木剣に注ぎ込む。ただし、そこに水属性の魔法のアイスアローを込めるイメージで行った。
うん、これは一発でうまく行ったみたいね。
そのままもう一度薪を的に切りつけた。
「今度もきれいに切れたね。さっきと何が違……。冷たい?」
あたしが切った薪を調べて瑶さんが驚いているわね。
「今回は、アイスアローを込めるイメージで魔力を注いでみました」
「なるほどね、いきなり手の平を返すようだけど、これだと爬虫類なんかが相手にしたときに効果がありそうだね。ちょっと私にそれを貸してもらっていいかな」
「いいですけど、まだあたしの手を離れるとあっという間に効果切れちゃいますよ」
「あ、そっか。そうだったね。それでも一度試させてもらえるかな」
「いいですよ。どうぞ」
あたしから木剣を受け取ると瑶さんはすぐに薪に切りつけた。間も何もなく切りつけられた薪はきれいに2つに分かれて倒れたわね。
「どうですか?試した感覚として」
「凄いな。これ木剣なのに普通の鉄の剣より切れる。まあ朝未が薪を切った時点でそうだろうとは思っていたけど、ここまで切れるとは思わなかったよ。……あれ?まだ魔力が抜けてない?もういままでだったら効果切れている時間だよね」
そこから試した結果、10分ほど維持できるようになっていて。いい方向に予定と違う効果も確認出来たわね。
「アサミ様、アサミ様の魔力を纏わせていただけるのは良いのですが、さすがにこんな短時間では……」
「あはは、そうよね。でも大丈夫。練習して実用的なレベルまで使えるようにしてみせるから」
現状では魔力を纏わせておける時間が30秒くらいなのよね。いまのままでも矢に使うには十分だけど、マルティナさんの武器に使うには足りないし次の段階に向かうのはまだまだ先ね。それとは別に思い付いた事もあるので、そっちは実験してみようかな。
「ちょっと買い物にでてきます」
「あ、アサミ様。お買い物なら、わたしが……」
「ううん、そこまでじゃないから大丈夫よ」
「なら、わたしもご一緒します」
「えと、来てくれるのは良いけど。別に特別なとこに行くわけじゃないわよ。武器屋と雑貨屋に行ってくるだけだから」
「え、武器ならもうありますよね。何か不具合でもありましたか?」
「違いますよ。ちょっと実験用に安い木剣が欲しくて。木剣ならそんなに高くないでしょ?」
「そうですね。高い物は高いですが、それでもアサミ様の実戦用の剣に比べるような値段ではないですね。安い物ならそれこそ外食1回分程度からありますし」
「そうなのね。でもそういうのが欲しいの」
武器屋に行くとマルティナさんが言ったように木剣の値段はそこそこお値打ちな値段で売っていた。色々と実験してみたいので10本ほどでいいかしらね。
「おいおい、嬢ちゃん。そんなに木剣ばかり買って何しようってんだい?そりゃ金払ってくるんだから売るのは良いが無駄じゃないか」
「ちょっと特殊な練習するつもりなんです。多分そんなにもたないと思うので多めに欲しいだけですよ」
そんなやり取りをしながら買った木剣をマジックバッグにしまう。
次は雑貨屋さんね。
「こんにちは。薪を一束ください」
「ほいよ」
「いえ、そっちの割ってないほうをください」
「こっちを一束だけかい?5束以上まとめて買ってくれたら家までもっていってやるが、どうするね」
「いえ、1束だけでいいです」
「そうかい、でも嬢ちゃんにはちっとばかり重いと思うがね」
「大丈夫ですよ。あたしこう見えて結構力持ちですから」
そう言ってあたしが薪をひょいっと持ち上げると、ちょっと驚いた顔になったわ。これそんなに重いのかしら。あ、そうか今のあたしは街着を着てるからハンターには見えないのかもしれないわね。適当に誤魔化して支払いを済ませて家に帰ることにした。
家に帰るとあたしは早速実験をすることにした。
薪を立て的にして、薪割りの要領で魔力を纏わせた木剣を振るう。
って魔力が入っていかないじゃない。なんというか木剣の根元で止まっているような感じね。これは無理に流し込もうとしても最初の頃と同じ失敗を繰り返すだけかしら。
それでも何度も繰り返すうちになんとなくコツのようなものがわかり、少しずつ木剣に魔力を浸透させられるようになってきた。そしてしばらく試行錯誤と練習をくりかえしどうにか魔力を木剣に纏わせることに成功した。
そして、あたしの考えが正しければ。
”ストン“
振り下ろした木剣によって薪がきれいに縦に割れた。木剣を確認しても特にへこみも何もない。
「やっと出来た」
「それは、木剣に魔力を纏わせたのかい?」
とたんに後ろから声がかかり飛び上がってしまったわ。
振り向くと瑶さんが興味深そうに見ていて、ちょっと顔が熱くなってきた。実験に集中しすぎて瑶さんが近くに来たのに気付かなかったんだもの。
「え、ええ。でも、金属製の剣に比べて随分と魔力を浸透させるのが難しかったですね」
「で、結果がこれかい?凄いな、すっぱりと切れてる」
「ラノベなんかで武器に魔力を纏わせると威力が上がるような描写がよくあったので試してみたんですけど、とりあえず第一段階はうまく行きましたね」
「これで第一段階なのかい。次は何をするつもりかな?」
「えと、魔物によって効果的な攻撃がある可能性があるとおもうんですよね」
「そうかな。とりあえずここまではそういうのは感じなかったけど。朝未の魔法もだいたい火属性魔法だったよね」
「あくまでも可能性です。それに普通の生き物は大体火に弱いですから。でもここは魔法のある異世界です。火に耐性のある敵がいるかもしれないじゃないですか」
「うーん、まあ可能性の話ならあり得るのかなn」
「ええ、なのでこうすると」
あたしは、魔力を木剣に注ぎ込む。ただし、そこに水属性の魔法のアイスアローを込めるイメージで行った。
うん、これは一発でうまく行ったみたいね。
そのままもう一度薪を的に切りつけた。
「今度もきれいに切れたね。さっきと何が違……。冷たい?」
あたしが切った薪を調べて瑶さんが驚いているわね。
「今回は、アイスアローを込めるイメージで魔力を注いでみました」
「なるほどね、いきなり手の平を返すようだけど、これだと爬虫類なんかが相手にしたときに効果がありそうだね。ちょっと私にそれを貸してもらっていいかな」
「いいですけど、まだあたしの手を離れるとあっという間に効果切れちゃいますよ」
「あ、そっか。そうだったね。それでも一度試させてもらえるかな」
「いいですよ。どうぞ」
あたしから木剣を受け取ると瑶さんはすぐに薪に切りつけた。間も何もなく切りつけられた薪はきれいに2つに分かれて倒れたわね。
「どうですか?試した感覚として」
「凄いな。これ木剣なのに普通の鉄の剣より切れる。まあ朝未が薪を切った時点でそうだろうとは思っていたけど、ここまで切れるとは思わなかったよ。……あれ?まだ魔力が抜けてない?もういままでだったら効果切れている時間だよね」
そこから試した結果、10分ほど維持できるようになっていて。いい方向に予定と違う効果も確認出来たわね。
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