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力をつけるために
第118話 新しい武器とエンチャントの効果
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グライナーからクリフに戻ったあたし達は、さっそくハンターギルドに顔を出した。あ、補助魔法てんこ盛りで走ったら馬車で5日ほど掛かるところを1日で着いちゃったのよね。正確な速さはわからないけど、日本にいたころに興味本位で調べた感じだと、この世界の道路事情からすると馬車は1日で70キロくらい移動してると思うから、その5日分を補助魔法ありでとはいえフル武装で1日で走り切れるあたし達は今更ながらかなり人間離れしてきてるかもしれない。
「装備は揃った。例の件。情報がほしいんだが」
「はい。参加していただけるのですね。ありがとうございます」
瑶さんが、受付カウンターに座っていたパオラさんに声をかけた。
パオラさんは、その場でクリフ周辺の地図を出してきて説明を始めようとしたので、ちょっと焦った。
「え?ここでいいの?」
「はい、この情報自体はハンターの安全のためにも周知していますから大丈夫です。このあいだのは、特殊でしたから」
とパオラさんは笑顔でウィンクをする。
どうやら、あれは、本当にあたし達に対する配慮のためだったみたいね。ありがたいわ。
「場所は、北の森ですね。わりと浅い場所からゾンビやスケルトンが出没します。少し奥ではグール、スケルトンナイト、シャドウが確認されています。この辺りですね。その奥はレイスが出没するため、ほとんどのハンターが入りたがらず、詳細がわからない状況です」
「アンデッド以外の魔物や魔獣は?」
「通常より少ないようですが、浅い場所にはゴブリンやオーク、マーダーボアあたりが出ます。そうは言ってもこのあたりの魔物、魔獣なら、ここクリフで活動しているハンターには問題になりませんね。問題はこの辺りでも普段はめったに目にしないオーガやトロールも出始めていることです。少し奥に入るとオーガやトロールが小さめの群れで出没します。さらに奥は現状は確認できません。平時であれば魔獣はブラインドバイパー、動物ではありますが猛獣のワイルドティーガーが出ます。それがこの辺り。これより奥は現状では十分に探索されておらずよくわかっていないというのが正直なところです」
あ、瑶さんがあたしに視線を向けてきたわね。あたしはちょっと考えて頷く。
「わかりました。とりあえずひと当てして、状況を確認してくることにします」
ハンターギルドから出て、あたし達はすぐに北門に向かう。
門の番をしている衛兵さんに軽く挨拶だけして森へ向かおうと足を踏み出すと、その衛兵さんから声を掛けられた。
「北の森は今アンデッドが溢れているそうだ。不慣れなハンターが何パーティーも未帰還になってもいる。気をつけてな」
「ありがとう。無理はしないさ。少しずつ探索を進めることにするよ」
どうやら気にかけてくれたようね。瑶さんが返事をして手を振る。
さて、さすがに門から出て即接敵というわけではないようだけど、探知魔法を展開して基本の補助魔法だけは掛けておこうかしらね。
「朝未、探知魔法の反応はどうかな?」
森の入り口で瑶さんが声をかけてきた。ちょっと嫌そうな顔をしているのは風が後ろから吹いているからかしらね。この風はあたしも嫌だもの。
「あ!」
「朝未。どうかした?」
「いえ、ちょっと思いついたことがあって。やってみますね」
火属性を意識して魔力をそっと展開する。そして周りの空気を上に向けて動かす。
森の中から緩やかな風が吹いてきたのが確認できたわね。
「うん、うまくいきました」
「なるほど、森の手前に大きな上昇気流を作ったんだね」
「はい、ファイヤーウォールを少しアレンジしてごく弱い熱の壁を展開してみました。ここに数時間は上昇気流が続くとお思います」
「アサミ様、普通の魔法使いはそんな簡単に魔法のアレンジなんて出来ないんですが。さすがはわたしのご主人様です」
マルティナさんが何かキラキラした目で見ててちょっと照れくさいわ。
「えーと、とりあえず風向きの心配はいらないということで行きましょう」
なんとなく瑶さんがニヤニヤしてる気がするけど見えない、見えなければそれは無いのと一緒なの。
というわけで、森の中に入ってきたのだけど、探知魔法にはたっぷりと反応がある。
「瑶さん、敵の反応はたっぷりあります。前と同じように弓で引いて群れ別に斃します?」
「そうだね、とりあえずはその方向で」
いつものように一番近いゴブリンの群れの1体に矢を放つ。これは敵意を引くためなので余計なことはしない。矢は狙い通り群れの真ん中あたりにいた1体の肩に刺さった。
予定通り群れごとこちらに寄ってくる。あたし達はまずは補助魔法だけ掛かった状態で相手をする。これは以前の武装との違いを確認するため。
瑶さんは長剣で、マルティナさんが槍で、そしてあたしは短剣でゴブリンに対し突き、切り、払う。あっという間に寄ってきたゴブリンの群れ2つを殲滅し終わった。
「かなり違いますね」
「ああ、こんなに違うとは思わなかったね」
「マルティナさんも軽々と狩ってましたね」
「はい、以前の槍とは1ランクも2ランクも違います。しかも今はこれに魔力を武器に纏わせて強化できると思うと……」
「じゃあ、さっそく魔力を纏わせて戦ってみましょう。瑶さんもマルティナさんも消耗は無いですよね」
2人とも頷いてくれたので早速次のターゲットを定めて弓を引く。
魔力を剣に纏わせた結果は鉄の剣で切るのがステーキをナイフで切るくらいとすれば、新しい剣は豆腐を切るくらい、そしてそれに魔力を纏わせると、まるで素振りをするような感じだったわ。ゴブリン相手だとオーバーキルかしら。
「武器の消耗も抑えられるみたいだからできるだけ魔力を纏わせて戦った方が良いと思う」
あたしがオーバーキルだからって言ったら瑶さんは常に魔力を纏わせているべきだという判断だった。理由も納得のできるものなので、あたし達は戦闘中は常時武器に魔力を纏わせることにした。
「装備は揃った。例の件。情報がほしいんだが」
「はい。参加していただけるのですね。ありがとうございます」
瑶さんが、受付カウンターに座っていたパオラさんに声をかけた。
パオラさんは、その場でクリフ周辺の地図を出してきて説明を始めようとしたので、ちょっと焦った。
「え?ここでいいの?」
「はい、この情報自体はハンターの安全のためにも周知していますから大丈夫です。このあいだのは、特殊でしたから」
とパオラさんは笑顔でウィンクをする。
どうやら、あれは、本当にあたし達に対する配慮のためだったみたいね。ありがたいわ。
「場所は、北の森ですね。わりと浅い場所からゾンビやスケルトンが出没します。少し奥ではグール、スケルトンナイト、シャドウが確認されています。この辺りですね。その奥はレイスが出没するため、ほとんどのハンターが入りたがらず、詳細がわからない状況です」
「アンデッド以外の魔物や魔獣は?」
「通常より少ないようですが、浅い場所にはゴブリンやオーク、マーダーボアあたりが出ます。そうは言ってもこのあたりの魔物、魔獣なら、ここクリフで活動しているハンターには問題になりませんね。問題はこの辺りでも普段はめったに目にしないオーガやトロールも出始めていることです。少し奥に入るとオーガやトロールが小さめの群れで出没します。さらに奥は現状は確認できません。平時であれば魔獣はブラインドバイパー、動物ではありますが猛獣のワイルドティーガーが出ます。それがこの辺り。これより奥は現状では十分に探索されておらずよくわかっていないというのが正直なところです」
あ、瑶さんがあたしに視線を向けてきたわね。あたしはちょっと考えて頷く。
「わかりました。とりあえずひと当てして、状況を確認してくることにします」
ハンターギルドから出て、あたし達はすぐに北門に向かう。
門の番をしている衛兵さんに軽く挨拶だけして森へ向かおうと足を踏み出すと、その衛兵さんから声を掛けられた。
「北の森は今アンデッドが溢れているそうだ。不慣れなハンターが何パーティーも未帰還になってもいる。気をつけてな」
「ありがとう。無理はしないさ。少しずつ探索を進めることにするよ」
どうやら気にかけてくれたようね。瑶さんが返事をして手を振る。
さて、さすがに門から出て即接敵というわけではないようだけど、探知魔法を展開して基本の補助魔法だけは掛けておこうかしらね。
「朝未、探知魔法の反応はどうかな?」
森の入り口で瑶さんが声をかけてきた。ちょっと嫌そうな顔をしているのは風が後ろから吹いているからかしらね。この風はあたしも嫌だもの。
「あ!」
「朝未。どうかした?」
「いえ、ちょっと思いついたことがあって。やってみますね」
火属性を意識して魔力をそっと展開する。そして周りの空気を上に向けて動かす。
森の中から緩やかな風が吹いてきたのが確認できたわね。
「うん、うまくいきました」
「なるほど、森の手前に大きな上昇気流を作ったんだね」
「はい、ファイヤーウォールを少しアレンジしてごく弱い熱の壁を展開してみました。ここに数時間は上昇気流が続くとお思います」
「アサミ様、普通の魔法使いはそんな簡単に魔法のアレンジなんて出来ないんですが。さすがはわたしのご主人様です」
マルティナさんが何かキラキラした目で見ててちょっと照れくさいわ。
「えーと、とりあえず風向きの心配はいらないということで行きましょう」
なんとなく瑶さんがニヤニヤしてる気がするけど見えない、見えなければそれは無いのと一緒なの。
というわけで、森の中に入ってきたのだけど、探知魔法にはたっぷりと反応がある。
「瑶さん、敵の反応はたっぷりあります。前と同じように弓で引いて群れ別に斃します?」
「そうだね、とりあえずはその方向で」
いつものように一番近いゴブリンの群れの1体に矢を放つ。これは敵意を引くためなので余計なことはしない。矢は狙い通り群れの真ん中あたりにいた1体の肩に刺さった。
予定通り群れごとこちらに寄ってくる。あたし達はまずは補助魔法だけ掛かった状態で相手をする。これは以前の武装との違いを確認するため。
瑶さんは長剣で、マルティナさんが槍で、そしてあたしは短剣でゴブリンに対し突き、切り、払う。あっという間に寄ってきたゴブリンの群れ2つを殲滅し終わった。
「かなり違いますね」
「ああ、こんなに違うとは思わなかったね」
「マルティナさんも軽々と狩ってましたね」
「はい、以前の槍とは1ランクも2ランクも違います。しかも今はこれに魔力を武器に纏わせて強化できると思うと……」
「じゃあ、さっそく魔力を纏わせて戦ってみましょう。瑶さんもマルティナさんも消耗は無いですよね」
2人とも頷いてくれたので早速次のターゲットを定めて弓を引く。
魔力を剣に纏わせた結果は鉄の剣で切るのがステーキをナイフで切るくらいとすれば、新しい剣は豆腐を切るくらい、そしてそれに魔力を纏わせると、まるで素振りをするような感じだったわ。ゴブリン相手だとオーバーキルかしら。
「武器の消耗も抑えられるみたいだからできるだけ魔力を纏わせて戦った方が良いと思う」
あたしがオーバーキルだからって言ったら瑶さんは常に魔力を纏わせているべきだという判断だった。理由も納得のできるものなので、あたし達は戦闘中は常時武器に魔力を纏わせることにした。
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