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力をつけるために
第120話 探索方針
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「な、なんですか、これはあ!!」
あたし達がハンターギルドに持ち込んだ魔石を前にパオラさんが女性らしからぬ声を上げた。
「パオラ、いくらここがハンターギルドでも、少々はしたないのではないですか?」
「いや、でもマルティナ。この魔石の量は。しかもこっちはアンデッドの魔石よね」
「あなたは、わたし達の事を少しは知っているでしょうに。しかもアンデッドとは言っても、これらはまだゾンビとスケルトンですよ」
「わかっていないわね、マルティナ。まだお昼前よ。これだけの数を午前中で狩ってきたってことは普通じゃないわよ」
「わかっていないのはパオラの方よ。まだ北の森の探索を始めた初日よ。この程度で驚いていたらアサミ様のお側にはいられないわ」
ああ、やっぱりマルティナさんのあたし推しがまぶしいわ。
「はん、量が多いだけで、どれも雑魚のクズ魔石ばかりじゃないか」
マルティナさんとパオラさんのやり取りをほっこりしながらみているところに、後から妙な事を言ってきた人がいるわね。
マルティナさんの目つきが変わったので、とっさに手を握って首を振った。こんなの相手をしても何の理も利もないものね。それに、この手の手合いの相手は瑶さんの方がきっと得意だもの。必要な瑶さんが相手をしてくれるでしょ。そっと瑶さんを見ると苦笑しつつ肩をすぼめているわね。とりあえず相手をする気もないってことかしら。
「はい、査定終了しました。ゴブリンの魔石36、オークの魔石41、ゾンビの魔石43、スケルトンの魔石32、合計228000スクルドになります」
「ありがとう」
「おい、無視するんじゃねぇよ」
あたし達が、そのままハンターギルドを出ようとしたからか、前をふさいできたわね。あら?この人獣耳と尻尾が。この半年人間しか見なかったからいないのかと思っていたけど、いたのね。
「は、もう。レアル、いいかげんにして。あなたとは関係ないでしょう」
あら?マルティナさん知り合いなのかしら?
「関係ないってのはさすがに寂しいじゃないかマルティナ。元パーティーメンバーとしては……」
「そのパーティーメンバーは、あの時どうしてくれたの?」
「それを言われると。……でも、それなら、そいつらだって一緒だろう。貴族にたてつくなんて事が出来るわけがないじゃないか。それにオレだってあの頃よりは少し強くなっている」
「そう思うのなら、思っておけばいいでしょう。それにあなたが少し強くなったくらいでどうにかなるものではないこともわかっているでしょうに」
マルティナさんは少し寂しそうに、それでもきっぱりと言い切り、話はここまでだとあたし達のほうに来た。
「お待たせしました。行きましょう」
マルティナさんの後ろでは、まだ何か言いたそうなレアルさんが名残惜し気に見送っていた。
家に帰ったあたし達は、テーブルを囲んでお弁当のつもりにしていたサンドイッチを食べている。
「さっきのギルドで絡んできた、レアルさんでしたっけ。マルティナさんの知り合いなんですか?」
マルティナさんは少し言いにくそうな感じがしたけど、思い切って口を開いてくれた。
「わたしが、以前このクリフでハンターとして活動していたことはお話しましたよね。その時のパーティーメンバーなんです」
レアルさんが当時所属していたハンターパーティ「辺境の英雄たち」は4級ハンターのレアルさんを含めた5人パーティーだったそうで、ここクリフではかなり上位のパーティーだったそうなのね。
貴族に狙われた時、匿ってくれたりはしてくれたそうだけど結局貴族には逆らえずってことだったらしい。
「いっそ他の国に逃げちゃうって選択は無かったの?」
「他の国に、ですか。正直なところ、考えもしませんでした」
「さすがに国から出ちゃえば、その貴族も追いかけては来なかったんじゃないかと思うのだけど?マルティナさんの能力なら他の国に行ってもなんとかなりそうだし」
このあたりは文化の違いかしらね。日本でも江戸時代とか村から外に出る事すらなく一生を過ごす人がほとんどだったなんて話も聞いた事あるし。国外脱出が選択肢に入るようになるのはもう少し文明が発達してからかしら。
「国外に逃げる選択肢を普通に思いつくのはアサミ様がもともとこの国の方でないからでしょうか」
「あたし達の生まれた国では、必要があれば国外に出かけるのが普通だったから……。習慣の違いでしょうね。だからあたしや瑶さんは必要があれば国から出ますよ。もしマルティナさんが狙われたなら、国から逃げるのも選択肢にいれますからね。武力としては貴族とでも戦えるかもしれませんけど、武力だけじゃないですからね」
「アサミ様、ありがとうございます」
あら、マルティナさんが涙浮かべてる?仲間を助けるのは当然じゃない。しかもあたし達元々この国の人間じゃないから国外に出たって別に大したデメリットないしね。ハンター証があるから身分証明的にも問題ない。そういう意味でも5級に上がれたのは多きいわね。
「ま、レアルさんについては、このくらいでいいでしょ。それで、これからどうしたら良いと思います?」
ここからは、あたし達のこれからの方針を話し合わないとね。
「私としては安全策を取っていきたいかな」
「瑶さん、安全策って?」
「今日くらいの勢いで狩れば、浅い場所の魔物はアンデッド含めてかなり減らせるんじゃないかと思うんだ。だから外側から減らしていって、少しずつ奥に探索範囲を広げていくようにしたいかな。もちろん全体を減らせるわけじゃないだろうけど私達の探索エリアだけでも魔物を減らしながら奥にいきたいね。そうすれば、いざという時に逃げやすくもなるとおもうしね」
あたし達がハンターギルドに持ち込んだ魔石を前にパオラさんが女性らしからぬ声を上げた。
「パオラ、いくらここがハンターギルドでも、少々はしたないのではないですか?」
「いや、でもマルティナ。この魔石の量は。しかもこっちはアンデッドの魔石よね」
「あなたは、わたし達の事を少しは知っているでしょうに。しかもアンデッドとは言っても、これらはまだゾンビとスケルトンですよ」
「わかっていないわね、マルティナ。まだお昼前よ。これだけの数を午前中で狩ってきたってことは普通じゃないわよ」
「わかっていないのはパオラの方よ。まだ北の森の探索を始めた初日よ。この程度で驚いていたらアサミ様のお側にはいられないわ」
ああ、やっぱりマルティナさんのあたし推しがまぶしいわ。
「はん、量が多いだけで、どれも雑魚のクズ魔石ばかりじゃないか」
マルティナさんとパオラさんのやり取りをほっこりしながらみているところに、後から妙な事を言ってきた人がいるわね。
マルティナさんの目つきが変わったので、とっさに手を握って首を振った。こんなの相手をしても何の理も利もないものね。それに、この手の手合いの相手は瑶さんの方がきっと得意だもの。必要な瑶さんが相手をしてくれるでしょ。そっと瑶さんを見ると苦笑しつつ肩をすぼめているわね。とりあえず相手をする気もないってことかしら。
「はい、査定終了しました。ゴブリンの魔石36、オークの魔石41、ゾンビの魔石43、スケルトンの魔石32、合計228000スクルドになります」
「ありがとう」
「おい、無視するんじゃねぇよ」
あたし達が、そのままハンターギルドを出ようとしたからか、前をふさいできたわね。あら?この人獣耳と尻尾が。この半年人間しか見なかったからいないのかと思っていたけど、いたのね。
「は、もう。レアル、いいかげんにして。あなたとは関係ないでしょう」
あら?マルティナさん知り合いなのかしら?
「関係ないってのはさすがに寂しいじゃないかマルティナ。元パーティーメンバーとしては……」
「そのパーティーメンバーは、あの時どうしてくれたの?」
「それを言われると。……でも、それなら、そいつらだって一緒だろう。貴族にたてつくなんて事が出来るわけがないじゃないか。それにオレだってあの頃よりは少し強くなっている」
「そう思うのなら、思っておけばいいでしょう。それにあなたが少し強くなったくらいでどうにかなるものではないこともわかっているでしょうに」
マルティナさんは少し寂しそうに、それでもきっぱりと言い切り、話はここまでだとあたし達のほうに来た。
「お待たせしました。行きましょう」
マルティナさんの後ろでは、まだ何か言いたそうなレアルさんが名残惜し気に見送っていた。
家に帰ったあたし達は、テーブルを囲んでお弁当のつもりにしていたサンドイッチを食べている。
「さっきのギルドで絡んできた、レアルさんでしたっけ。マルティナさんの知り合いなんですか?」
マルティナさんは少し言いにくそうな感じがしたけど、思い切って口を開いてくれた。
「わたしが、以前このクリフでハンターとして活動していたことはお話しましたよね。その時のパーティーメンバーなんです」
レアルさんが当時所属していたハンターパーティ「辺境の英雄たち」は4級ハンターのレアルさんを含めた5人パーティーだったそうで、ここクリフではかなり上位のパーティーだったそうなのね。
貴族に狙われた時、匿ってくれたりはしてくれたそうだけど結局貴族には逆らえずってことだったらしい。
「いっそ他の国に逃げちゃうって選択は無かったの?」
「他の国に、ですか。正直なところ、考えもしませんでした」
「さすがに国から出ちゃえば、その貴族も追いかけては来なかったんじゃないかと思うのだけど?マルティナさんの能力なら他の国に行ってもなんとかなりそうだし」
このあたりは文化の違いかしらね。日本でも江戸時代とか村から外に出る事すらなく一生を過ごす人がほとんどだったなんて話も聞いた事あるし。国外脱出が選択肢に入るようになるのはもう少し文明が発達してからかしら。
「国外に逃げる選択肢を普通に思いつくのはアサミ様がもともとこの国の方でないからでしょうか」
「あたし達の生まれた国では、必要があれば国外に出かけるのが普通だったから……。習慣の違いでしょうね。だからあたしや瑶さんは必要があれば国から出ますよ。もしマルティナさんが狙われたなら、国から逃げるのも選択肢にいれますからね。武力としては貴族とでも戦えるかもしれませんけど、武力だけじゃないですからね」
「アサミ様、ありがとうございます」
あら、マルティナさんが涙浮かべてる?仲間を助けるのは当然じゃない。しかもあたし達元々この国の人間じゃないから国外に出たって別に大したデメリットないしね。ハンター証があるから身分証明的にも問題ない。そういう意味でも5級に上がれたのは多きいわね。
「ま、レアルさんについては、このくらいでいいでしょ。それで、これからどうしたら良いと思います?」
ここからは、あたし達のこれからの方針を話し合わないとね。
「私としては安全策を取っていきたいかな」
「瑶さん、安全策って?」
「今日くらいの勢いで狩れば、浅い場所の魔物はアンデッド含めてかなり減らせるんじゃないかと思うんだ。だから外側から減らしていって、少しずつ奥に探索範囲を広げていくようにしたいかな。もちろん全体を減らせるわけじゃないだろうけど私達の探索エリアだけでも魔物を減らしながら奥にいきたいね。そうすれば、いざという時に逃げやすくもなるとおもうしね」
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