JC聖女とおっさん勇者(?)

景空

文字の大きさ
129 / 155
力をつけるために

第129話 成長?若返り?

しおりを挟む
レアルさんの言葉にあたしは改めて自分の身体を確かめた。鏡が無いので自分で全身の見た目を確認することは出来なかったけど、思ったより背が伸びていたり胸が大きくなってきていたりと思い当たるところはある。でも、それは単に成長期だからだと思っていたのだけど……。

「い、いいから。姐御なんて呼び方やめてくださいよね」

そう言って、いったんレアルさんから離れた。




「アサミ様、その、わたしの目から見ても初めてお会いした時と比べかなり成長されたように思います。それにヨウ様もかなり若返られているかと……」

レアルさんから離れて、声が届かないくらいの場所に移動したところで、マルティナさんが、あたしにそっと告げてきたわ。うん、実は瑶さんについてはあたしも思ってたのよね。この世界に一緒に転移して初めて会った時、あの時より明らかに若返ってるって。あの時はパパより年上って思ったもの。でも今ではレアルさんより少し年上くらいに見えるのよね。見た目だと30台前半くらいかしら。

あたしは、ちょっと深呼吸をしてマルティナさんに向き合った。

「ねえ、マルティナさん。そのあたしが成長したとか瑶さんが若返ったとかって事について教えてもらえる?」
「ご存じないんですね。ハンターの間では、割と有名な話ではあるのですが……」

そう言ってマルティナさんが、話してくれた内容はちょっと驚くようなことだったわ。
ハンターがある程度以上強くなっていくと、人として一番強い年代に成長したり若返ったりするらしいということ。その強さというのがどの程度かはよくわかっていないそうだけど、大体20台前半くらいの身体になっていくそうなのね。だったら寿命はどうなるのかって聞いたら、程度問題だけど強くなればなるほど寿命も延びるそうなの。伝説レベルだと300歳超えて現役だったハンターがいたとか。ただ、当時はハンターという制度が明確じゃなかったうえ生まれた年代とかも曖昧で本当に伝説レベルの話ってことね。

そして、現実的な話だと、3級ハンターとかには普通に80歳くらいのはずなのに20台前半の容姿で現役の人がいるらしいのよね。というより、3級ハンターだと実年齢にかかわらず、みんな見た目は20台前半なんだって。

でも3級ハンターの人数は凄く少ないらしい。なんでもそれぞれの国に1人か2人いるかいないかで、国によってはいないそうなのよね。その数全部で12人。その上の2級ハンターは1人だけ。そして1級ハンターは今はいないとのこと。

そして何より、3級以上のハンターには国も口を出せないそうなの。正確には強引なことが出来ないってことかしらね。無法が許されるわけじゃないけど、自由を縛ることは出来ない。それが3級ハンター。戦力として3級ハンター1人で1国の軍にも匹敵するって言われているらしい。

そして、レアルさんの口から洩れた、あたしの見た目年齢が20歳。マルティナさんの感覚でもそれに近いらしいのよね。ということは、あたし達にも国に口出しさせない存在になれる可能性があるってことよね。

「うん、がんばる」


そんな翌日の朝、あたし達は北の森の探索を始めようと門をでた。

「あ、姐御。オレ達も一緒に連れて行ってください」

レアルさん達「辺境の英雄たち」が揃って待ち構えていた。
え?困ったわね。連れていくと色々とバレるわよね。あたし達は目を見合わせて頷きあう。

「また今度ね」

そして、補助魔法掛けて、走り出した。

「あ、姐御お」



そしてレアルさん達を振り切って狩場につくと、瑶さんがニヤニヤしている。

「朝未、懐かれたね」
「いや、あれ極端じゃないですか?最初はケンカ売ってきたと思ったら、翌日からは犬がご主人様にしっぽ振って寄ってくるみたいにすり寄ってくるなんて」
「案外、その指摘あってるかもしれないね。レアルさんはあれ犬とか狼の獣人ぽいから」
「え?マルティナさん。レアルさんってそっち系の獣人なんですか?」
「そうですね。昔聞いた時には狼だって言い張ってましたけど、仲間内では、あれは絶対に犬だって言ってました」
「それは、やっぱり何かで簡単に懐いちゃったことでもあったんですか?」
「まあ、そうですね。本人の名誉のために内容は口に出来ませんが」

はあ、獣人、獣耳モフモフと一瞬でも考えた自分が恥ずかしいわね。それに考えてみたら男の獣人さんをモフるってちょっと絵面が危なそう。これは獣耳女子を探すべき?

「ま、気持ちを切り替えて探索に入ろうか」

瑶さんの言葉に、深呼吸をひとつして、探知魔法を展開する。

「この近辺には、ほぼ魔物も魔獣も動物もいません」
「縄張りがあるんだろうね。一気に狩ったから、空白地帯が出来たんだと思う。そのうち少しずつ入ってっ来るだろうと思うよ」

3層の探索を進め、10日程たった時、あたしの探知魔法の端に今までと違った反応があった。

「今まで出会ったことの無さそうな魔物の反応があります」


「まずは撤退経路を作ってから、その新しい的にアプローチしようか」

少しだけ考えた瑶さんの言葉に、あたしの探知で分かる範囲の敵の位置を地面に絵を描いて説明。

「わかった。じゃあ、まず右方向の敵をここまで殲滅して、そのあと、こっちの方から近づくよ。そこからはいつも通り、朝未に目視で確認してもらって、その状況に合わせてまず取り巻きを殲滅。それが終わったらその新しい敵をこの地点まで引き寄せて、どんな攻撃が効くのか、何が効かないのかを確認しながら攻撃をするということでいいかな?」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

召しませ、私の旦那さまっ!〜美醜逆転の世界でイケメン男性を召喚します〜

紗幸
恋愛
「醜い怪物」こそ、私の理想の旦那さま! 聖女ミリアは、魔王を倒す力を持つ「勇者」を召喚する大役を担う。だけど、ミリアの願いはただ一つ。日本基準の超絶イケメンを召喚し、魔王討伐の旅を通して結婚することだった。召喚されたゼインは、この国の美醜の基準では「醜悪な怪物」扱い。しかしミリアの目には、彼は完璧な最強イケメンに映っていた。ミリアは魔王討伐の旅を「イケメン旦那さまゲットのためのアピールタイム」と称し、ゼインの心を掴もうと画策する。しかし、ゼインは冷酷な仮面を崩さないまま、旅が終わる。 イケメン勇者と美少女聖女が織りなす、勘違いと愛が暴走する異世界ラブコメディ。果たして、二人の「愛の旅」は、最高の結末を迎えるのか? ※短編用に書いたのですが、少し長くなったので連載にしています ※この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...