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力をつけるために
第133話 偽装
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「領軍に誤解させようって意図はわかりました。そのためには非実体系のアンデッドを選択的に討伐する必要があるのも理解しました。あとは、どうやって実行するかですが、瑶さんに、アイディアありますか?単にシャドウやレイスを斃すだけなら適当にホーリーを振り撒くだけでよさそうではありますけど」
「それだとゾンビやスケルトンといった実体系のアンデッドも一緒に斃してしまうよね」
「あ……」
そうよね。ゾンビやスケルトンは斃しちゃいけないんだったわね。
「そこでだ。シャドウやレイスを斃すのは、私やマルティナさんの剣で行おうと思う」
「え、あたしは除け者ですか?」
「いやいや、そうじゃないよ。これは私の話し方が悪かったね。朝未には、広範囲のホーリーで魔物の動きを鈍らせてほしい。そうして弱体化している間に、私とマルティナさんがシャドウやレイスを斃すというのが、今私が想定している手順なんだ」
うーん、この場合ってホーリーいるかしら?瑶さんとマルティナさんなら群れに突撃してシャドウやレイスをサクッと斃せそうなんだけど。
「ホーリー無しでもいいんじゃないかって思ってそうな顔だね」
「だって、今までの感じだとシャドウやレイスって群れに1体か2体でしたよね。瑶さんやマルティナさんがエンチャントした武器持っていけば1撃じゃないですか。防具にもエンチャントしておけば事故もないでしょう?」
「斃すだけなら、その通りだね。でも、斃して、魔石を拾って、追いかけられないところまで群れから離れるところまでセットだからね」
「魔石は、そこまで拘らなくてもいいんじゃないですか?群れから急いで離れないといけないのはわかりますけど」
「魔石も1個2個なら別に放置でも偶々取りこぼしたとされるかもしれないけど、ハンターの収入源の魔石があまり大量にあるようだと不自然だからね。それに離れるときにも、トレインで、あまり引き連れていきたくない。私達は平気でも、そこに後から別のハンターが遭遇すると危険だからね。だからゾンビやスケルトンを斃さない程度のホーリーで動きを鈍らせて実行したいんだよ。ただ、そうすると多分ゾンビやスケルトンのヘイトが朝未に集中する。そこが気に入らないところではあるんだけどね」
「瑶さん、ヘイトって言った。くふふ、やっぱりゲーマーでしたね。ま、それはおいといて、ゾンビやスケルトン相手なら、あたしはアンデッドへの特攻持ちですから気にしなくていいです」
翌日から、あたし達は北の森の浅いエリアでシャドウやレイスの狩りを始めることにした。
「瑶さん、右手奥、多分アンデッド15体の群れです。先導します」
探知魔法の反応からすれば、そろそろ見えるはず。あたしの目に見えたところで一旦木を盾にして身を隠しつつ瑶さんとマルティナさんに目標を知らせる。ここまでは、いつもと同じ。
「シャドウが1体。見えますか?」
「ああ、見える。スケルトンの向こう側にゆらゆらと立っているね」
瑶さんが返事をくれ、マルティナさんが無言で頷いた。
「では、補助魔法とエンチャント次第、範囲を広げ、強度を落とした足止め用のホーリーを撃ちます。ただ、初めての使い方なので上手く行かないかもしれません。その場合は事前の打ち合わせ通りにお願いします。シャドウ討伐後の離脱方向は後方右手、あちらの方向に」
あたしは補助魔法を掛け、マルティナさんの武器防具にエンチャントを行う。そして、瑶さんとマルティナさんと頷きを交わす。
「いきます。ホーリー」
あたしがホーリーを発動させると、いつものホーリーと比べ光度も低く色も薄いホーリーがアンデッドの群れを中心に広く覆った。そのとたん、群れの動きが鈍る。動きが遅く、ぎこちない。カクンカクンと今にも転びそうになりながら発動させたあたしを探すように周囲を見回している。
そこに瑶さんとマルティナさんが駆け込む。シャドウへのルート直線上のゾンビとスケルトン数体だけを切り飛ばしシャドウに切りかかった。
直接の攻撃を行ったにも関わらず、群れの意識はやっと見つけたあたしに向いている。予想通りね。
周囲のゾンビやスケルトンから攻撃されることなく悠々と魔石を回収した瑶さんとマルティナさんが駆け戻ってくる。あたし達は、ホーリーをそのままに後方に離脱。アンデッドの群れから距離をとる。
「もう大丈夫です。追尾をあきらめたようです」
瑶さんとマルティナさんがあたしの言葉に、足を止めた。
「初回から成功させるとは思わなかったよ。さすがは朝未だね」
瑶さんが褒めてくれながらあたしの頭をガシガシを撫でる。ちょっと嬉しいのは秘密ね。マルティナさんが何か生暖かい笑顔で見てるのは気付かないフリをしておく。
「でも、ホーリーの効果範囲から出るまでに1体落ちました。次はもう少し弱くします」
そして数回の試験を経て、アンデッドの群れの動きを抑えながら、ゾンビやスケルトンを1体も斃さない強さに調整できた。
ここからは単なる作業。4日で第2層の非実体系のアンデッドをほぼ狩りつくした。
続けて同じ手順で第3層の非実体系のアンデッド、レイスを狩る。ただ、1層2層の実体系のアンデッドを狩っていないので離脱方向が少し面倒になってきた。こまごまと方向を変えながら走る。
そんなことをして非実体系のアンデッドを狩ること20日。
「完全にではないけれど、シャドウやレイスは、ほとんどみなくなったね。予定通り、今日でクリフでの狩りを一旦中止にして、明日クリフを離れることにするよ」
「あたしとしては、本当は4層の奥も気になるんですけどね。スペクターやベン・ニーアで頭打ちなのか、もっと上位種が出るのか」
「朝未の気持ちもわからないではないけど……」
「わかってます。気になるからと言って貴族や神殿に捕捉されるようなことはしません」
そして翌日、あたし達は数カ月滞在したクリフを一旦離れた。
「それだとゾンビやスケルトンといった実体系のアンデッドも一緒に斃してしまうよね」
「あ……」
そうよね。ゾンビやスケルトンは斃しちゃいけないんだったわね。
「そこでだ。シャドウやレイスを斃すのは、私やマルティナさんの剣で行おうと思う」
「え、あたしは除け者ですか?」
「いやいや、そうじゃないよ。これは私の話し方が悪かったね。朝未には、広範囲のホーリーで魔物の動きを鈍らせてほしい。そうして弱体化している間に、私とマルティナさんがシャドウやレイスを斃すというのが、今私が想定している手順なんだ」
うーん、この場合ってホーリーいるかしら?瑶さんとマルティナさんなら群れに突撃してシャドウやレイスをサクッと斃せそうなんだけど。
「ホーリー無しでもいいんじゃないかって思ってそうな顔だね」
「だって、今までの感じだとシャドウやレイスって群れに1体か2体でしたよね。瑶さんやマルティナさんがエンチャントした武器持っていけば1撃じゃないですか。防具にもエンチャントしておけば事故もないでしょう?」
「斃すだけなら、その通りだね。でも、斃して、魔石を拾って、追いかけられないところまで群れから離れるところまでセットだからね」
「魔石は、そこまで拘らなくてもいいんじゃないですか?群れから急いで離れないといけないのはわかりますけど」
「魔石も1個2個なら別に放置でも偶々取りこぼしたとされるかもしれないけど、ハンターの収入源の魔石があまり大量にあるようだと不自然だからね。それに離れるときにも、トレインで、あまり引き連れていきたくない。私達は平気でも、そこに後から別のハンターが遭遇すると危険だからね。だからゾンビやスケルトンを斃さない程度のホーリーで動きを鈍らせて実行したいんだよ。ただ、そうすると多分ゾンビやスケルトンのヘイトが朝未に集中する。そこが気に入らないところではあるんだけどね」
「瑶さん、ヘイトって言った。くふふ、やっぱりゲーマーでしたね。ま、それはおいといて、ゾンビやスケルトン相手なら、あたしはアンデッドへの特攻持ちですから気にしなくていいです」
翌日から、あたし達は北の森の浅いエリアでシャドウやレイスの狩りを始めることにした。
「瑶さん、右手奥、多分アンデッド15体の群れです。先導します」
探知魔法の反応からすれば、そろそろ見えるはず。あたしの目に見えたところで一旦木を盾にして身を隠しつつ瑶さんとマルティナさんに目標を知らせる。ここまでは、いつもと同じ。
「シャドウが1体。見えますか?」
「ああ、見える。スケルトンの向こう側にゆらゆらと立っているね」
瑶さんが返事をくれ、マルティナさんが無言で頷いた。
「では、補助魔法とエンチャント次第、範囲を広げ、強度を落とした足止め用のホーリーを撃ちます。ただ、初めての使い方なので上手く行かないかもしれません。その場合は事前の打ち合わせ通りにお願いします。シャドウ討伐後の離脱方向は後方右手、あちらの方向に」
あたしは補助魔法を掛け、マルティナさんの武器防具にエンチャントを行う。そして、瑶さんとマルティナさんと頷きを交わす。
「いきます。ホーリー」
あたしがホーリーを発動させると、いつものホーリーと比べ光度も低く色も薄いホーリーがアンデッドの群れを中心に広く覆った。そのとたん、群れの動きが鈍る。動きが遅く、ぎこちない。カクンカクンと今にも転びそうになりながら発動させたあたしを探すように周囲を見回している。
そこに瑶さんとマルティナさんが駆け込む。シャドウへのルート直線上のゾンビとスケルトン数体だけを切り飛ばしシャドウに切りかかった。
直接の攻撃を行ったにも関わらず、群れの意識はやっと見つけたあたしに向いている。予想通りね。
周囲のゾンビやスケルトンから攻撃されることなく悠々と魔石を回収した瑶さんとマルティナさんが駆け戻ってくる。あたし達は、ホーリーをそのままに後方に離脱。アンデッドの群れから距離をとる。
「もう大丈夫です。追尾をあきらめたようです」
瑶さんとマルティナさんがあたしの言葉に、足を止めた。
「初回から成功させるとは思わなかったよ。さすがは朝未だね」
瑶さんが褒めてくれながらあたしの頭をガシガシを撫でる。ちょっと嬉しいのは秘密ね。マルティナさんが何か生暖かい笑顔で見てるのは気付かないフリをしておく。
「でも、ホーリーの効果範囲から出るまでに1体落ちました。次はもう少し弱くします」
そして数回の試験を経て、アンデッドの群れの動きを抑えながら、ゾンビやスケルトンを1体も斃さない強さに調整できた。
ここからは単なる作業。4日で第2層の非実体系のアンデッドをほぼ狩りつくした。
続けて同じ手順で第3層の非実体系のアンデッド、レイスを狩る。ただ、1層2層の実体系のアンデッドを狩っていないので離脱方向が少し面倒になってきた。こまごまと方向を変えながら走る。
そんなことをして非実体系のアンデッドを狩ること20日。
「完全にではないけれど、シャドウやレイスは、ほとんどみなくなったね。予定通り、今日でクリフでの狩りを一旦中止にして、明日クリフを離れることにするよ」
「あたしとしては、本当は4層の奥も気になるんですけどね。スペクターやベン・ニーアで頭打ちなのか、もっと上位種が出るのか」
「朝未の気持ちもわからないではないけど……」
「わかってます。気になるからと言って貴族や神殿に捕捉されるようなことはしません」
そして翌日、あたし達は数カ月滞在したクリフを一旦離れた。
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