125 / 314
第125話 新生
しおりを挟む
「住吉ボールだプレスを掛けろ」
第2回選抜合宿。明確な弱点を晒した愛翔はゲーム形式の練習では常にチャージを含めパワータイプのディフェンスを仕掛けられるようになっていた。愛翔もスピードとテクニックで対抗するのだけれど、さすがに選抜候補だけあって簡単には切り抜けることが出来ない。愛翔も幾度となく弾かれグラウンドに転がる。
それでも、しぶとく追いすがり、存在感をみせつける。
「ったく、住吉。スピードとスマートなテクニックだけかと思っていたんだけど、ねちっこく泥臭いサッカーもできるんじゃねえか」
そして実際のところ愛翔にとって一番やりにくい相手は身体が出来上がりフィジカルが強く愛翔ほどではなくてもスピードのある同じフォワード陣。スピードで抜き去ろうとしてもわずかな差では簡単ではなくフィジカルで押し込められることも度々だった。
合宿後のミケルとの面談ではつい愛翔の口から弱音がこぼれる。
「フィジカルで上回る相手への対応間に合うのでしょうか」
「アイト。今は焦る時期ではない。もちろん絶対に間に合うとは言えないが、今は我慢して身体をつくることだ。必ず効果は出てくる」
そしてこの時期愛翔はクラブでの動きでもやや精彩を欠いた。普段ならスピードとテクニックで抜き去る大型ディフェンダーに当たられ体勢を崩しボールを奪われかけ、相手フォワードを抜くタイミングがズレショルダーチャージでとばされた。
「おい、住吉。いきなりスランプか。大丈夫なのか?」
試合後に芦原が心配そうに聞いてくる。
「ああ、ちょっとな。今壁を超えるために新しいことに挑戦してるんだ。その影響でズレが出ているみたいだ。それでも迷惑かけたすまん」
「いや、迷惑は別に、ゲームは勝てたし構わないんだが、そんな調子を落としていたら選抜どころじゃないんじゃないか?」
「いや、まあ現状でも選抜に残る事は出来るかもしれないけど、せっかく合宿までしてるんだから、どうせなら1段階上がりたいって思ってな」
そして、選抜合宿も回数を重ね1次選抜合宿としては、最終日となる日曜日。
「よーし、今日でこの1次選抜合宿を最後だ。そこで最後に試合を行い最終選抜を行う。試合に重きは置くがこれまでの状態も加味して選抜するからな」
総合監督の川端の言葉で試合が始まった。
この合宿の集大成と全員のプレーがいつもに増して激しい。ヒートアップした選手達が時にギリギリのラフプレーを混ぜる。そんな中で、ビブスチームに交じり愛翔もボールを持ち右奥、いつものエリアを駆け上がる。
「住吉、お前の弱点はわかってんだ。そうそう抜かせはしないぞ」
ユニフォームチームのディフェンダーが愛翔の前に立ちふさがりプレッシャーをかけてくる。両社が交差しディフェンダーが愛翔にチャージ。当たったように見えたけれど、そのばにディフェンダーが転がり愛翔が何もなかったかのようにボールをキープし駆け抜けた。
その後も、何度も愛翔にチャージを繰り返すユニフォームチーム。しかし、それをことごとく躱し受け流すように抜ける愛翔。
「住吉の距離が遠い。当たらない。当たってもぬるりと逃げられる」
ここに来て愛翔の新しい挑戦が形になってきていた。柔軟性の向上で懐が深くなり、体幹を鍛えることでバランスが向上した。より相手の遠くでボールを扱い、相手が当たってきた時にも衝撃を受け流すように体を逃がす。そして、それはディフェンスの向上だけではなかった。相手のキープするボールに対してもより深く追い込みボールを奪う。相手を引き付けた状態から大胆なパスを出す。その日愛翔がグラウンドに転がることは無かった。
第2回選抜合宿。明確な弱点を晒した愛翔はゲーム形式の練習では常にチャージを含めパワータイプのディフェンスを仕掛けられるようになっていた。愛翔もスピードとテクニックで対抗するのだけれど、さすがに選抜候補だけあって簡単には切り抜けることが出来ない。愛翔も幾度となく弾かれグラウンドに転がる。
それでも、しぶとく追いすがり、存在感をみせつける。
「ったく、住吉。スピードとスマートなテクニックだけかと思っていたんだけど、ねちっこく泥臭いサッカーもできるんじゃねえか」
そして実際のところ愛翔にとって一番やりにくい相手は身体が出来上がりフィジカルが強く愛翔ほどではなくてもスピードのある同じフォワード陣。スピードで抜き去ろうとしてもわずかな差では簡単ではなくフィジカルで押し込められることも度々だった。
合宿後のミケルとの面談ではつい愛翔の口から弱音がこぼれる。
「フィジカルで上回る相手への対応間に合うのでしょうか」
「アイト。今は焦る時期ではない。もちろん絶対に間に合うとは言えないが、今は我慢して身体をつくることだ。必ず効果は出てくる」
そしてこの時期愛翔はクラブでの動きでもやや精彩を欠いた。普段ならスピードとテクニックで抜き去る大型ディフェンダーに当たられ体勢を崩しボールを奪われかけ、相手フォワードを抜くタイミングがズレショルダーチャージでとばされた。
「おい、住吉。いきなりスランプか。大丈夫なのか?」
試合後に芦原が心配そうに聞いてくる。
「ああ、ちょっとな。今壁を超えるために新しいことに挑戦してるんだ。その影響でズレが出ているみたいだ。それでも迷惑かけたすまん」
「いや、迷惑は別に、ゲームは勝てたし構わないんだが、そんな調子を落としていたら選抜どころじゃないんじゃないか?」
「いや、まあ現状でも選抜に残る事は出来るかもしれないけど、せっかく合宿までしてるんだから、どうせなら1段階上がりたいって思ってな」
そして、選抜合宿も回数を重ね1次選抜合宿としては、最終日となる日曜日。
「よーし、今日でこの1次選抜合宿を最後だ。そこで最後に試合を行い最終選抜を行う。試合に重きは置くがこれまでの状態も加味して選抜するからな」
総合監督の川端の言葉で試合が始まった。
この合宿の集大成と全員のプレーがいつもに増して激しい。ヒートアップした選手達が時にギリギリのラフプレーを混ぜる。そんな中で、ビブスチームに交じり愛翔もボールを持ち右奥、いつものエリアを駆け上がる。
「住吉、お前の弱点はわかってんだ。そうそう抜かせはしないぞ」
ユニフォームチームのディフェンダーが愛翔の前に立ちふさがりプレッシャーをかけてくる。両社が交差しディフェンダーが愛翔にチャージ。当たったように見えたけれど、そのばにディフェンダーが転がり愛翔が何もなかったかのようにボールをキープし駆け抜けた。
その後も、何度も愛翔にチャージを繰り返すユニフォームチーム。しかし、それをことごとく躱し受け流すように抜ける愛翔。
「住吉の距離が遠い。当たらない。当たってもぬるりと逃げられる」
ここに来て愛翔の新しい挑戦が形になってきていた。柔軟性の向上で懐が深くなり、体幹を鍛えることでバランスが向上した。より相手の遠くでボールを扱い、相手が当たってきた時にも衝撃を受け流すように体を逃がす。そして、それはディフェンスの向上だけではなかった。相手のキープするボールに対してもより深く追い込みボールを奪う。相手を引き付けた状態から大胆なパスを出す。その日愛翔がグラウンドに転がることは無かった。
0
あなたにおすすめの小説
バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件
沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」
高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。
そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。
見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。
意外な共通点から意気投合する二人。
だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは――
> 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」
一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。
……翌日、学校で再会するまでは。
実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!?
オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
∞
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の逢坂玲人は入学時から髪を金色に染め、無愛想なため一匹狼として高校生活を送っている。
入学して間もないある日の放課後、玲人は2年生の生徒会長・如月沙奈にロープで拘束されてしまう。それを解く鍵は彼女を抱きしめると約束することだった。ただ、玲人は上手く言いくるめて彼女から逃げることに成功する。そんな中、銀髪の美少女のアリス・ユメミールと出会い、お互いに好きな猫のことなどを通じて彼女と交流を深めていく。
しかし、沙奈も一度の失敗で諦めるような女の子ではない。玲人は沙奈に追いかけられる日々が始まる。
抱きしめて。生徒会に入って。口づけして。ヤンデレな沙奈からの様々な我が儘を通して見えてくるものは何なのか。見えた先には何があるのか。沙奈の好意が非常に強くも温かい青春ラブストーリー。
※タイトルは「むげん」と読みます。
※完結しました!(2020.7.29)
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
この男子校の生徒が自分以外全員男装女子だということを俺だけが知っている
夏見ナイ
恋愛
平凡な俺、相葉祐樹が手にしたのは、ありえないはずの超名門男子校『獅子王院学園』からの合格通知。期待を胸に入学した先は、王子様みたいなイケメンだらけの夢の空間だった!
……はずが、ある夜、同室のクールな完璧王子・橘玲が女の子であるという、学園最大の秘密を知ってしまう。
なんとこの学園、俺以外、全員が“訳アリ”の男装女子だったのだ!
秘密の「共犯者」となった俺は、慣れない男装に悩む彼女たちの唯一の相談相手に。
「祐樹の前でだけは、女の子でいられる……」
クールなイケメンたちの、俺だけに見せる甘々な素顔と猛アプローチにドキドキが止まらない!
秘密だらけで糖度120%の学園ラブコメ、開幕!
俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた
夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。
数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。
トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。
俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる