幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

第139話 レセプション 嵐の前の

日米交流戦前日、日米両チームメンバーとサポーターを交えレセプションが盛大に行われることに。
「明日、日米交流戦により戦う両チームですが、本日は友好を温めていただきたいと思います」
主催者の挨拶のあと軽快なBGMのなか和やかにレセプションが始まった。
来場者は両チーム登録選手、監督、コーチ等のスタッフ、そしてサポーター。サポーターは家族枠的に各登録選手が２名までずつと、一般公募枠で各チームそれぞれに５０名。愛翔は当然桜と楓を連れて来ており、一緒にアメリカチームとの交流に向かう。
以下会話は英語です。
「お、アイトじゃないか。おまえそっちなのか。なんでこっちで出ないんだよ」
最初に愛翔に声を掛けたのはウォーレス・レイ・ハケット愛翔がアメリカのU18カテゴリーで初めて出場した試合の対戦チームのミッドフィルダーだった男でその縁でアメリカでは割と交流をもっていた。
「久しぶりだな。ウォーレス。俺は元々日本人だからな。帰国してこっちで選抜されたんだよ」
「アイトが敵にいるっていうと手ごわいな。相変わらずスピードタイプのアタッカーやってんのか？」
「え、っとあぶねえ。今の時点で教えられるわけないだろう」
愛翔が苦虫を嚙み潰したような顔でウォーレスを睨む。
「あはは、引っかからなかったか。ところで、その隣に居る可愛い子2人は誰だい」
はあ、とため息をつき愛翔は桜と楓をウォーレスに紹介する。
「この2人は俺の幼馴染で大切な子たちだ。手を出したら承知しないからな」
愛翔に続いて桜も自己紹介をする。
「サクラ・カオウです。愛翔とは生まれた時からの幼馴染で大好きな人です」
さくっと告げて釘をさす桜につづいて楓も負けていない。
「私はカエデ・タチバナといいます。私も愛翔と生まれた時からの幼馴染で、告白の返事待ちしてます。ですので他の男性からの申し込みは全てお断りしています」
「あはは、警戒されたもんだな。大丈夫、アイトの大切な人に手なんか出さないよ」
「桜も楓もそこまで言わなくてもいいだろう」
愛翔があきれ顔だ。そんな愛翔の背中にドンと衝撃があった。さすがの愛翔も突然のことにわずかにたたらを踏み、振り返るとそこに背中の中ほどまでの蜂蜜色の髪、170ｃｍの細身のゲルマン系美少女が愛翔の背中に抱きついていた。
「久しぶり。来てたのか。相変わらずだなクリス」
そしてその横で
「クリスずるいー」
腰までの波打つストロベリーブロンドの150センチほどの小柄なアングロサクソン系の美少女がぶうたれていた。
「こういうのは早い者勝ちよ。ケイト」
「ケイトも。変わらないな」
2人の登場に愛翔が呆れつつ指で頬を掻いた。