幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

景空

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第196話 女子バスケットボール部のIH①

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「全国高校女子バスケットボール大会の開会を宣言します」
光野高校女子バスケットボール部の面々は緊張した面持ちで開会式に参加していた。その中で桜だけがニコニコと嬉しそうだ。
「ねえ桜、なんであなたそんなにリラックスできてるの?インターハイよ全国大会よ」
桜の様子に疑問を投げたのは1年時から桜と一緒に頑張ってきた末成。
「え?だって頑張ってきて、ここまでこれて嬉しいじゃない。まだまだ楽しみたいじゃない。そう思っていたら自然と笑顔になるわよ」
桜の答えに末成は唖然としながら
「でも全国大会よ、今までの相手より強いチームがいっぱいいるかもしれないじゃない。ボロボロに負けるかもしれないのに」
そんな言葉を口にし桜を羨まし気に見る。
「ええ?それだってここまで来たから当たれるのよ。楽しみじゃない。どんな強いチームがいるのか、どんな凄いプレイヤーがいるのか。テレビでみるのじゃなくて直接対戦できるのよ。ワクワクするじゃないの」
桜はどこまでもこの全国大会が楽しくて仕方がない様子だ。
「はあ、それがあなた達の考え方なのかしらね」
末成がため息をつく。
「あたし達?」
「そ、桜や住吉君てゲームの勝ち負けよりゲームでどんなことが出来るかを重視してるでしょ?」
そんな末成の言葉に桜はきょとんとした顔を見せる。そして……
「そんなわけないじゃない。勝ち負けにめっちゃこだわってるわよ。とことん勝ちに行くもの。勝つために死力を尽くすわよ。当たり前でしょ。逆にそうじゃなければ対戦相手にも失礼よ」

開会式後のゲームが始まると女子バスケットボール部のメンバーは2回戦で当たる可能性のあるチームのゲームを偵察に向かった。
「これだけ参加チームが多いと大変よね。1回戦だけで2日。それも3会場でしょ」
「それだからこそ、こういう偵察も出来るんだけどね」
そんな雑談をしながら目的の会場に向かう桜たち。ビデオカメラを抱えての偵察。口では色々言いながら真剣に向き合う姿勢は数年前の光野高校バスケットボール部とは違っている。
「ここね」
「ああ、ちょうどゲームが始まるところみたいね」
観覧席に座り偵察を始めるメンバーたちだったけれど……
「この2チームはあまり、その言っては悪いけれど」
「そうね、手を抜いているのでなければ、今のあたし達ならよほどの事が無ければ勝てそうね。でも、一応最後まで見ていくわよ」
光野高校の所属する県は比較的強豪が多くその県代表である光野高校女子バスケットボール部は全国でもそれなりの位置にいる。ただし、と桜は口にする。
「あたし達には全国クラスの強豪校との対戦経験が足りないわ。全国クラスの強豪チームは単なる実力以上にその経験でチーム力を底上げしてくるわ、そういうチームに当たった時にどう対処していくか、対処できるか……ね」
末成はその桜の真剣な眼差しを眩しそうにみながら
「それでも、取り敢えずは明日の1回戦ね」
頷くチームメンバー。そして
「特に桜は2回戦に進まないとだものね」
とニヤニヤと桜をつつく。
「も、もうやめてよ」
恥ずかしそうに照れる桜に、唯一の2年生レギュラー香川絵里香(かがわ えりか)が不思議な顔で尋ねた。
「華押先輩が特にてどういうことですか?」
その質問には末成が更にニヤニヤ笑いを加速させながら
「桜の彼氏の事は知ってるでしょ」
「ええ。住吉先輩ですよね」
「彼が土日はサッカーの公式戦、月曜日はクラブが休みなのね」
香川もそこまで聞いてポンと手をうつ。
「なるほど、それは……」
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