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第201話 女子バスケットボール部のIH⑥
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「それじゃあ、さっきの試合のあと近寄ってきていたのは」
愛翔が試合後に相手チームの一人が桜に近寄っていた時の事をきいているのだけれど
「うん竹原さんから託されちゃった」
ペロリと舌を出す桜。それでいて目の奥には真剣な光が宿っている。
「勝ち抜くってのはそういうことだな」
愛翔の言葉に桜は小さく頷く。
「次辺りからは中堅以上の強いところと当たるけど勝つつもりでいるから」
桜が当然と胸を張りチームメンバーを見回す。その言葉を聞いた面々は驚いた顔。そして代表するように末成が言葉にする。
「勝てるかしら?」
「最初から勝てないと思っていたら勝てるものも勝てないわよ。たとえ地力で劣っていても勝つつもりで当たれば同じ高校生だもの、どうにかなる……んじゃないかな」
最後は少し苦笑交じりであったけれど桜として負けるつもりでゲームに向かうつもりはない。その気持ちがメンバーたちに伝わった。それでも
「でも、次は3回戦よ。ベスト16よ。2回戦突破だってインターハイ初出場としては出来過ぎなのに」
そこまで水野が悲観的な意見を言ったところで、チームいち冷静な表が口を挟んだ。
「でも突破出来た。それに私たちの県は実は結構な激戦区。決勝、準決勝を争った学校は過去にインターハイ優勝経験もある。最近はベスト16止まりではあるけど、それなりに強豪。そこに勝ってきたのだから私達光野高校女子バスケットボール部がベスト16に入ったのは実力的には不思議ではないでしょ。そこからもう1段上を狙おうという桜の意識は必ずしも慢心しているとも夢見心地だとも言い切れない。ある程度以上は現実を見て言っていると私は思う」
「マッキーの冷静な分析で可能性があることは理解したけど、実際のところ桜の目からして3回戦のあの学校に勝てる可能性はどのくらいだと思う?」
末成が状況を受け入れたうえで桜の感性を頼りに聞いてきた。あまり可能性が高いとは思っていないようだ。
「そうね、多く見積もって30パーセントってところかしら」
桜の答えに息を飲む光野高校女子バスケットボール部のメンバー。
「根拠を聞いてもいいかしら」
「それほど難しいものでは無いわ。まずあたし達の地力は恐らくベスト16は適正ね。これは県大会で対戦してきたチームの過去のインターハイの戦績からしてそれほど間違ってないと思うわ。だから地力は相手が少し上」
なるほどと末成は先を促す。
「それとこれは希望的な部分もあるけど、相手の持っているあたし達のデータは少ないはず。最小であるのなら2回戦のデータだけの可能性もあるし、おそらくこれは間違いないわ。まあ私たちの県自体をマークされていたら別だけれど、それにしても」
「1回戦と2回戦の2試合が精いっぱい?」
末成の言葉に桜が頷く。
「それに対してあたし達は……」
決勝で破った相手チームから受け取った大量の動画データを思い浮かべたのは桜だけではない。
「ただ、相手チームはこういった全国レベルの大会の常連なので、経験値がうちとは違いすぎるわね」
桜自身は中学まで全国レベルで試合をしてきたため「場慣れ」はしている。しかし他のメンバーたちにはそれが無い。格上に仕掛けて状況をひっくり返す引き出しが相手と比べて少なすぎる。むしろ皆無と言って良い。それゆえに
「だから多く見積もって30パーセントなのね」
桜に言わせず、末成が納得の言葉を紡ぐ。
「それでも……」
と、言い掛けたところに愛翔が口を挟む。
「それでも全国ベスト16で勝機30パーセントと言うのは上等じゃないか。必死に死物狂いになっても良いんじゃないかと思う程度には高い可能性だと俺なんかは思うけどな。勝率が50パーセント以上の試合なんてそうあるもんじゃない。50パーセントで普通。こんな大会の上位とやるなら30パーセントなんてのは上等だぞ」
愛翔からの言葉にメンバーたちはハッとしたような顔を見せる
「そっか、50パーセントで普通。格上相手で30パーセントなんて諦めるのはもったいないわね」
末成の言葉に他のメンバーたちも頷き目に光が戻った。
「分かったな。頑張れ」
そうして愛翔の激励に動き出す
「そうと決まれば、まずは相手チームの戦力分析。それから対策練習よ」
そんな女子バスケットボール部の様子を愛翔と楓は嬉しそうに眺め
「ほら、桜。お前も頑張れ」
愛翔は桜を一瞬ギュッと抱きしめ、頬にキスをして送り出した。
「ありがとう愛翔。愛してる」
そう言うと桜も愛翔を抱きしめキスを返し、メンバーたちのもとに走った。
愛翔が試合後に相手チームの一人が桜に近寄っていた時の事をきいているのだけれど
「うん竹原さんから託されちゃった」
ペロリと舌を出す桜。それでいて目の奥には真剣な光が宿っている。
「勝ち抜くってのはそういうことだな」
愛翔の言葉に桜は小さく頷く。
「次辺りからは中堅以上の強いところと当たるけど勝つつもりでいるから」
桜が当然と胸を張りチームメンバーを見回す。その言葉を聞いた面々は驚いた顔。そして代表するように末成が言葉にする。
「勝てるかしら?」
「最初から勝てないと思っていたら勝てるものも勝てないわよ。たとえ地力で劣っていても勝つつもりで当たれば同じ高校生だもの、どうにかなる……んじゃないかな」
最後は少し苦笑交じりであったけれど桜として負けるつもりでゲームに向かうつもりはない。その気持ちがメンバーたちに伝わった。それでも
「でも、次は3回戦よ。ベスト16よ。2回戦突破だってインターハイ初出場としては出来過ぎなのに」
そこまで水野が悲観的な意見を言ったところで、チームいち冷静な表が口を挟んだ。
「でも突破出来た。それに私たちの県は実は結構な激戦区。決勝、準決勝を争った学校は過去にインターハイ優勝経験もある。最近はベスト16止まりではあるけど、それなりに強豪。そこに勝ってきたのだから私達光野高校女子バスケットボール部がベスト16に入ったのは実力的には不思議ではないでしょ。そこからもう1段上を狙おうという桜の意識は必ずしも慢心しているとも夢見心地だとも言い切れない。ある程度以上は現実を見て言っていると私は思う」
「マッキーの冷静な分析で可能性があることは理解したけど、実際のところ桜の目からして3回戦のあの学校に勝てる可能性はどのくらいだと思う?」
末成が状況を受け入れたうえで桜の感性を頼りに聞いてきた。あまり可能性が高いとは思っていないようだ。
「そうね、多く見積もって30パーセントってところかしら」
桜の答えに息を飲む光野高校女子バスケットボール部のメンバー。
「根拠を聞いてもいいかしら」
「それほど難しいものでは無いわ。まずあたし達の地力は恐らくベスト16は適正ね。これは県大会で対戦してきたチームの過去のインターハイの戦績からしてそれほど間違ってないと思うわ。だから地力は相手が少し上」
なるほどと末成は先を促す。
「それとこれは希望的な部分もあるけど、相手の持っているあたし達のデータは少ないはず。最小であるのなら2回戦のデータだけの可能性もあるし、おそらくこれは間違いないわ。まあ私たちの県自体をマークされていたら別だけれど、それにしても」
「1回戦と2回戦の2試合が精いっぱい?」
末成の言葉に桜が頷く。
「それに対してあたし達は……」
決勝で破った相手チームから受け取った大量の動画データを思い浮かべたのは桜だけではない。
「ただ、相手チームはこういった全国レベルの大会の常連なので、経験値がうちとは違いすぎるわね」
桜自身は中学まで全国レベルで試合をしてきたため「場慣れ」はしている。しかし他のメンバーたちにはそれが無い。格上に仕掛けて状況をひっくり返す引き出しが相手と比べて少なすぎる。むしろ皆無と言って良い。それゆえに
「だから多く見積もって30パーセントなのね」
桜に言わせず、末成が納得の言葉を紡ぐ。
「それでも……」
と、言い掛けたところに愛翔が口を挟む。
「それでも全国ベスト16で勝機30パーセントと言うのは上等じゃないか。必死に死物狂いになっても良いんじゃないかと思う程度には高い可能性だと俺なんかは思うけどな。勝率が50パーセント以上の試合なんてそうあるもんじゃない。50パーセントで普通。こんな大会の上位とやるなら30パーセントなんてのは上等だぞ」
愛翔からの言葉にメンバーたちはハッとしたような顔を見せる
「そっか、50パーセントで普通。格上相手で30パーセントなんて諦めるのはもったいないわね」
末成の言葉に他のメンバーたちも頷き目に光が戻った。
「分かったな。頑張れ」
そうして愛翔の激励に動き出す
「そうと決まれば、まずは相手チームの戦力分析。それから対策練習よ」
そんな女子バスケットボール部の様子を愛翔と楓は嬉しそうに眺め
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「ありがとう愛翔。愛してる」
そう言うと桜も愛翔を抱きしめキスを返し、メンバーたちのもとに走った。
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